「管理職を辞めたい」と思ったときの対処法とキャリアの考え方を解説

管理職は自分のチームの目標を達成するために部下を率い、組織の発展に貢献する重要な責務を担っています。その責任は重く、業務量も多いため、「辞めたい」と考えたり、新しいキャリアを模索したりする方も多いのではないでしょうか。

一方、多くの組織では、管理職は裁量が大きく、キャリアアップを狙えるポジションでもあります。悩みを抱えているときこそ、自身のキャリアを見直すチャンス。選択肢としては、「転職活動を開始する」「今の会社に残る」「部署異動して今の会社に残る」などが挙げられるでしょう。

この記事では、管理職を辞めたくなる理由や対処法、管理職の仕事の悩みのほか、管理職の方が転職する際のメリットやポイントについて解説します。

管理職の職務と業務内容

管理職とは、組織全体の管理権限を持つリーダーのことです。企業によって呼称はさまざまですが、「課長」「部長」「マネジャー」などと呼ばれることが多いでしょう。組織全体での目標達成に向け、何をすべきか策定し、部下を育成し、経営層からチームの運営を任せられているポジションです。
ある程度の裁量を与えられているものの、経営層や役員と一般職員の板挟みになることも多く、悩みを持つ管理職も多いようです。

管理職に任されている業務は幅広く、多岐にわたります。企業によって違いはありますが、一般的な管理職の職務と業務内容は下記のとおりです。

■管理職の主な職務・役割

役割 内容
組織で求められる
成果の創出
組織の中長期的な戦略・方針の策定、課題に対する打ち手検討、ミッションの進捗管理
組織のマネジメント メンバーの労務管理、メンバーのキャリア支援、上司とメンバーの橋渡し

管理職が抱える悩みの実情とは?

厚生労働省の「平成30年版 労働経済の分析」によると、管理職が感じる職場環境の変化としては、「業務量が増加している」が最も多く挙げられており、調査開始以来、過去最高の水準に。管理職の悩みとしては、「部下がなかなか育たない(39.9%)」、また、育っているかを判断する「部下の人事評価が難しい(31.9%)」などが悩みとして挙げられています。
このような目標を達成することや成果を出せていないことへの心理的負担は年々増加傾向にあり、困難なチームビルディングと、求められる成果の狭間で管理職が悩んでいることが推測できます。

出典:厚生労働省「平成30年版 労働経済の分析」(2018年)

■管理職としての悩み

また、管理職の業務量の増加についてパーソル総合研究所が調査した「中間管理職の就業負担に関する定量調査(2019年)」によると、働き方改革の導入によってかえって業務量が増え、自身の負担が増えたと感じている管理職が多いことが分かりました。働き方改革による管理職の業務量の変化は、下記のとおりです。業務量にフォーカスすると、働き方改革が進んでいる企業群(青グラフ)では、中間管理職自らの業務量が増加したとの回答割合が62.1%、一方、進んでいない企業群(紺グラフ)では48.2%という結果になっています。

働き方改革による管理職の業務量の変化

参照:中間管理職の就業負担に関する定量調査(2019年)|パーソル総合研究所

管理職自身の業務量の増加によって、組織全体の業務量が増加したと感じているほか、管理職自身の新しい分野に関する学習や、部下・後任者の育成に手をつけられない状態であることが分かります。働き方改革による業務量の変化が、管理職の悩みにつながっているといえそうです。

また、業務量の減少や効率化が遅れているにもかかわらず、働き方改革が「残業時間の上限規制」を中心に推進されていることにより、管理職は自身に負担増加を感じているようです。

参照:中間管理職の就業負担に関する定量調査(2019年)|パーソル総合研究所

こうした実情によって管理職の担い手は、トラブル解決やハラスメント防止などの役割には「心理的負担」を、チームをまとめ上げるマネジメント業務などの役割には「業務的負担」を強く感じてしまいます。その結果、待遇や環境の改善を求めて管理職を辞めたいと考え、退職の意向が高くなる可能性があります。

管理職を「辞めたい」と感じたときの対処法

前述した管理職ならではのさまざまな悩みから漠然と「管理職を辞めたい」と感じている状態であれば、その理由と対処法をあわせて検討することで会社を辞めないで済む方法があるかもしれません。また、今後キャリアをどう積み重ねていくかを考える機会にもなります。管理職の仕事に悩んだときのおすすめの対処法は下記のとおりです。

現状を見直し、「辞めたい」と感じた理由を書き出す

「辞めたい」と思った理由を冷静に振り返り、自分がどのようなポイントで悩んでいるかを明確化しましょう。頭の中で考えるだけではなく、パソコンやスマートフォン、ノートなどに書き出して明文化することで、考えが整理されるのでおすすめです。今の悩みについて、何が原因であるかを明確にし、具体的なアクションプランを立てることにつながります。

ポイントは自身の振り返りだけではなく、自分が管理しているチームの現状についても課題点を見直すこと。自身に関わるすべての業務、組織について検討してください。「辞めたい」原因が自分にあるのか、周りの環境によるものなのかを見極めることが大切です。

自分自身に問題がある場合、下記のような解決方法も考えられます。

<自分が会社を辞める以外の解決方法>

  • スキルアップする
  • チーム内のコミュニケーションを改善する
  • ワーク・ライフ・バランスを見直して改善する
  • タイムマネジメントの見直しを図る
  • スケジュールを最適化する

こうした解決方法を試すことで、業務負担の軽減や、仕事とプライベートのバランスをとることができ、ストレスが軽減される可能性があります。
また、転職を検討することになった際にも、自分の優先順位を把握でき、志望する求人・企業を探すときに役立つでしょう。

同僚や部下に権限を委譲していく

どうしても業務量が多くなってしまう管理職。周囲に権限や仕事を委譲することで働き方を変えてみることも一案です。負荷となっている業務を、同僚や部下に委譲できるよう調整します。仕事を任せることで、自身の負担が軽減できるほか、周囲の人の成長にも寄与でき、組織全体の生産性と成果の向上も期待できます。

その際、相手とのコミュニケーションを大切にし、彼らの意見や提案に耳を傾けることが大切です。相手の能力を理解し、効率的に仕事を進められるようサポートに徹しましょう。

同じ悩みを持つ、もしくは過去に同じことで悩んだであろう相談者を見つける

管理職として同じ悩みを持つ人や、直属でなくても斜めの関係に当たる上司などに悩みを相談することで、さまざまな視点からアドバイスをもらうことができます。一般社員と比較すると気軽に悩みを吐露できる人が少なくなるため、自分の悩みや課題をさらけ出せる人間関係の構築を意識する必要があります。
相談相手を見つけることで新たな視点を手に入れ、悩みを解決できるヒントが得られれば、今後のキャリアプランを明確化することもできます。

会社に相談した上で、管理職から離れる

会社を辞めるとすぐに決断する前に、管理職を辞めて社内で別のキャリアを選択することも一案といえます。一般的に、管理職を離れるときの選択肢は、下記の2つです。

<会社内で管理職を離れるときの選択肢>

  • 一般社員(メンバー・プレーヤー)に戻る
  • 自分の専門分野・スキルを活かして、エキスパート職のような専門職に転向する

例えば、一般社員に戻り、後進の育成に集中するケースや、エキスパート職への転向が可能な企業ならばより専門性を磨いて専門職として組織貢献を目指すケースもあるでしょう。
自分の意思だけで決定することができない部分のため、上司との相談や擦り合わせは不可欠です。
管理職の経験を経て、改めて今、自分はどんなキャリアを描きたいのか、納得感のある説明が求められます。

自分の希望のキャリアを叶えるため、転職活動を始める

前述のいずれの方法でも悩みが改善できない場合は、転職を検討してみましょう。
「転職活動」を始めた時点で「転職」することを決める必要はありません。自分のキャリアや市場価値を検討するところから「転職活動」を始めてみることをおすすめします。
管理職としての経験という強みをもとに、自分自身のスキルやキャリアプランを再確認し、今後の方向性を見据えることが必要です。

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管理職を辞めて転職するメリット・デメリットは?

すでに企業から高い人事評価を得て管理職に就き、実績を残している人は、転職市場でも高く評価される可能性は高いでしょう。しかし、転職にはデメリットがある可能性も。
ここでは、管理職を辞めて転職する際のメリットとデメリットについて見ていきましょう。

管理職を辞めて転職するメリット

自分でできる改善では悩みが解決しない場合は、転職することも一つの方法。管理職を辞めて転職する際のメリットは、下記のとおりです。

<転職するメリット>

  • キャリアアップ、キャリアチェンジができる
  • ストレスや負荷を軽減できる
  • 人間関係を再構築できる
  • 新しいスキルを習得できる
  • ワーク・ライフ・バランスを改善できる
  • 待遇や職場環境の改善
  • よりやりがいのある仕事や活動に取り組める

管理職を辞めて転職することにより、このような改善が期待できます。視野が広がり、自分自身のキャリアやライフスタイルを変えられる機会となるでしょう。

管理職を辞めて転職するデメリット

現在の職場での管理職というポジションを自ら降り、新しい環境に行くことは勇気が必要です。転職のメリットとデメリットの両面を見つめ直し、転職活動することをおすすめします。管理職を辞めて転職するデメリットは下記のとおりです。

<転職するデメリット>

  • 業務範囲のミスマッチが生じる可能性がある
  • 期待とプレッシャーを結局感じてしまう
  • 社風のミスマッチもあり得る
  • 年収が下がる可能性がある
  • 管理職を対象にした求人情報が少なく、転職活動が長期化する

こうしたデメリットは、転職活動中の情報収集、面接時の質問で解消することが可能です。特に期待感を持って迎えられる管理職の転職では、一人での転職活動よりも、ヘッドハンターを活用することをおすすめします。より粒度の高い情報収集ができ、自分に最適な企業を見つけることが可能です。

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管理職が転職を考えるときに押さえておきたい4つのポイント

管理職として転職を検討する際のポイントをお伝えします。

自身が転職を通してかなえたいことを検討する

キャリアアップを考える上で、まずは、自分の仕事観をしっかりと捉えることが重要です。転職軸とも呼ばれる、「何のために転職をしたいのか」を理論立てて考えましょう。

今回の転職によってかなえたいこと、変えたいことは何なのか。そのためにどのような業種、職種、企業で、どのような働き方をしたいのか。年収やポジションなどの目標を掲げる前に、それらを明確にしておくことをおすすめします。

転職によってかなえたいことを明確にすることができれば、本当に譲れないものと、許容してもよいものが見えてくるため、忙しい中で転職先を選ぶ際にも冷静な判断ができます。

自分がアピールしたいスキル・実績が語れるようなエピソードを洗い出す

応募書類や面接で自分自身の価値をアピールするためには、これまで経験したことを具体的なエピソードで語ることが必要です。
まずはキャリアの棚卸しを行い、客観的な視点で自分が持っているスキル・経験を正しく把握・評価します。その上で、どのような場面でリーダーシップを発揮したか、自分の働きかけによりどんな成果を上げることができたかを具体的にプレゼンテーションできるよう、事前に整理・準備しておくことをおすすめします。直近だけでなく、これまでのキャリアを振り返って、検討してみましょう。

自分の強みがしっかりと把握できていれば、応募先が求める人材像にあわせて表現をアレンジしたり、より前面に出す部分を変更したりすることも可能に。採用担当者に興味を持ってもらえるように、プレゼンすることも重要です。

自分のキャリアにどんな選択肢があるか幅広く知る

管理職の人がこれから転職を考える際、キャリアプランとしてどのような選択肢が考えられるかを知っておくことは重要です。まずは幅広くさまざまな進路があることを知り、その中から自身に合ったキャリアを選択することをおすすめします。

管理職の方は、現在の会社に一定期間所属し、成果を出してきた人材といえます。現在の会社に長く所属する方は、他社での活躍の可能性を低く見積もってしまうこともあります。まずは自身の可能性を広げてみるといいでしょう。

また、できるだけ効率的に転職活動を続けるためにも、転職サービスを活用することをおすすめします。ハイクラス転職サービスであるdoda Xでは、希少性が高いハイクラスの非公開求人にアクセスできるほか、優良企業の求人を扱う経験豊富なヘッドハンターからスカウトを受け取ることができます。自分から応募せずとも、思ってもみなかった企業やポジションから、オファーを受けることもあります。
オファーをきっかけに、自分のやりたいことや興味が喚起されることもあるため、転職活動の第一歩としてdoda Xに登録するのもおすすめです。

いざというときに安心して退職できるような準備は少しずつ進めておく

管理職の人が転職活動を始めるなら、転職するその日のために少しずつ行動を始めておきましょう。自分しかできない業務があるなら、作業に関するマニュアルの作成をしておいたり、少しずつ部下に業務を渡していったりするなども必要です。

管理職として管掌範囲が広かったり一定の責任があったりするため、退職時のことを気にする人も少なくありません。希望先の企業とタイミングが合って転職先がいざ決まった際に慌てたり気を揉んだりする事項を少しでも減らせるように、準備はできるだけ入念に行っておきましょう。

「管理職を辞めたい」「今後のキャリアを考え直したい」と思ったら、ハイクラス転職サービスに登録を

業務量、責任ともに重い管理職の方の中には、悩みを抱えたり、管理職を辞めたくなったりする方も多いようです。「辞めたい」と悩んだ際は、まずは自分の業務を振り返り、変えられる要素・人に任せられる要素はないか検討することをおすすめします。
それでも悩みが解決しない場合には、転職を検討することも一つの選択肢です。
管理職は転職市場での評価が高い傾向にあるため、ハイクラス転職を狙うことも可能でしょう。

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doda X編集部

ハイクラス向け転職サービスdoda Xの編集部です。
ハイクラス転職の成功に向けたノウハウや中堅社員ならではのキャリアのお悩みに関する情報発信を通じて、キャリアを自ら選択し次のステップを目指す方々を応援します。

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