ありのままで転職希望者に接し、
その人の良さを引き出したい
株式会社ユーウィズ・
浦田 幸陽
さん
HeadHunter of the Year 2025
小売・流通・サービス部門 MVP
浦田 幸陽
株式会社ユーウィズ 代表取締役
福岡市に本社を置く株式会社ユーウィズ。人材紹介事業では、地元企業をはじめ、メディア関連の独自求人なども保有し、全国規模で幅広い業種の転職支援を行っています。
doda XによるHeadHunter of the Year 2025で「小売・流通・サービス部門」のMVPを受賞したのが、同社代表取締役の浦田
幸陽さんです。昨年の同部門MVP、ハイクラス支援人数部門2位に引き続きの受賞となった浦田さんに、人材紹介業に興味を持ったきっかけや、転職を支援する際の心がけなどについて伺いました。
地元とメディアのつながりで、
幅広い求人を展開
—— 初めに、浦田さんのご経歴について聞かせてください。
新卒で食品メーカーに入社し、6年ほど営業職として働いた後、地元に戻り、テレビ局に中途入社しました。
テレビ局でも営業職がメインで、企業へCM出稿をご提案する役割を担っていました。ですが、実際に企業を訪問して経営者と話をすると、必ずと言っていいほど人材の話題になるんです。「どこかに良い人いない?」と、どの会社も人手不足に悩んでいる様子でした。
テレビ局の営業もやりがいのある仕事でしたが、もしかしたら人材紹介業のほうが、より直接的に皆さんのお役に立てるのかもしれない。ちょうど人材紹介の仕事をしている友人がいたので、アドバイスを受けながら情報収集を進め、福岡で株式会社ユーウィズ(以下、ユーウィズ)を起業しました。
—— 未経験から人材紹介の会社を立ち上げられたわけですが、ヘッドハンターとしてのノウハウや企業とのつながりは、どのように形成していったのでしょうか。
人材業界支援のノウハウは、関連するセミナーに積極的に参加して知識を吸収していきました。
クライアントは、起業した当初はテレビ局時代に知り合った企業が中心でしたが、自ら営業活動を行って新規開拓していきました。お話を伺うだけでなく、工場などの拠点があれば現場の様子を拝見し、「どのような支援があるとうれしいか」といった聞き取りも行いました。
現在も新規開拓は続けていますが、全体的な割合を見ると、もともとつながりがあった企業や、過去に人材を紹介したお客さまからさらにご紹介いただいた企業が多いかもしれませんね。実績と信頼関係を評価いただけた証でもありますので、ご紹介くださった方にも恥じない支援を常に心がけています。
—— 人材紹介会社として、ユーウィズの強みはどこにあると考えられていますか。
昨年に続いて今年もMVPをいただいた小売・流通・サービス業はもちろん、メディア関連の独自求人を保有していることが強みだと認識しています。テレビ局をはじめ、広告代理店やIT・メディアの関連企業など、ほかの人材紹介会社ではカバーできない求人も多く取り扱っています。本社は福岡ですが、東京や大阪の企業もよくご紹介しています。
こうした幅広い求人を扱えるのは、テレビ局時代から「地元のつながり」と「メディアのつながり」を広げてきたことによるものなのかもしれません。テレビ局時代にさまざまな業種の企業を取材してきましたから、その業種の仕事内容や働き方について通じていることも強みのひとつではないでしょうか。
—— では、浦田さんご自身の強みや、ヘッドハンターとして普段から心がけていることを教えてください。
転職を希望される方との信頼関係を、何よりも大事にしています。面談中は転職の相談だけでなく、家庭の悩みなど、ほかの相談に乗ることも多いんです。ほぼ何でも屋ですね(笑)。
ただ、こうした話ができるのも、お互いに信頼関係が築けているからこそ。もちろん、すぐに心を開いてくださる方ばかりではありません。そうしたときは小まめに電話やLINEなどで連絡を取り、接触する回数を増やすように意識しています。
また私も、転職を希望される方とお会いするときは「ありのままの自分」でいるよう心がけています。
最終的に転職を希望される方が幸せになることが一番ですので、状況によっては「まだ現職のままでもいいのでは」とアドバイスすることもあります。最終的にほかのヘッドハンター経由で転職を成功されたとしても、ご本人が満足いく転職をされたのであれば、それは素晴らしいことだと思っています。
企業が求める人材像から、
想定外の選択肢を転職希望者へ提案
—— 今回受賞された小売・流通・サービス業界について、転職市場の特徴やトレンドを教えてください。
小売業界や流通業界では、DXによる業務効率化が推進されており、人件費削減を目的に省人化を図る動きも見られます。無人レジでの精算や、ロボットによる配送システム導入が進めば、現場スタッフを採用する機会は減っていくでしょう。
その一方で、特定のスキルを持つ人材を採用する方針に企業がシフトチェンジしている印象があります。AIやロボティクスといったDX関連のスキル、店舗開発や営業職といった、個別のスキルを持つ方の採用が増えていると感じています。
言い換えれば、システム開発やマーケティングなどの知見があれば、小売・流通業界でも活躍できるということ。実際に、異業種からの転職も増えています。
20代後半から30代前半の方が店長や店舗開発に抜擢されることも多いですし、IT企業の営業職だった50代の方がDX関連部署に採用されるなど、業界の経験がなくても、これまでの経験から即戦力人材として評価されるケースも多いですね。
—— 異業種から小売・流通へ転職される方には、どのような方が多いのでしょうか。
さまざまな求人を比べた上で、小売・流通分野で自分のスキルが求められていることを知り、最終的に転職を決意される方が多いように思います。小売・流通が最初の選択肢にまったく入っていなかった方も多く、「まさか自分がこの業界に行くとは思いませんでした」と言われることも少なくありません。
そうした方々に向けて「想定外の選択肢」を提示できるのが、私たちが介在する意味だと思っています。
小売や流通は、社会には絶対に必要な仕事です。インバウンド需要の高まりから、小売業はさらなる成長が期待できますし、トラックやタクシーのドライバー不足は、流通の需要が変わらず高いことを示しています。見方を変えれば、大いに伸び代がある業界といえます。
転職を希望される方との面談では、本人の希望はもちろん、本人が気づいていない部分にもフォーカスを当てるよう心がけています。
その上で、その方が持つスキルが小売・流通にもマッチするようであれば、今のようなお話をして「こういう選択肢もある」とご提案します。もちろん、これはあくまで選択肢のひとつであり、小売・流通以外の業界も同様の提案を行っています。
—— その方に合った選択肢を提示するには、相応のインプットも必要なのではと思います。各業種の情報収集はどのように行っているのでしょうか。
幅広い業種を扱っていることもあり、情報収集にはかなり力を入れています。企業の情報については、決算やIR、プレスリリースなどを小まめにチェックするようにしています。
ほかの人材紹介会社から情報を得ることも多いですね。ユーウィズの本社がある福岡は同業の仲間意識が強く、数カ月に一度のペースで集まって、食事をしながらざっくばらんに情報交換を行っています。本来はライバル同士のはずなのですが、福岡という土地がそうさせるのかもしれません。
—— 普段の転職支援の中で、転職に成功される方にはどのような傾向があると感じていますか?
転職活動に対して、真っすぐに努力される方です。
転職活動は、現職と並行して行うもの。仕事が忙しく、転職活動に時間をかけられないという方がほとんどでしょう。しかし、そうした状況は誰もが一緒のはずです。
忙しい中で、いかに企業分析や面接対策に取り組む時間をつくれるかが、結果を左右すると言っていい。実際に「自分の人生を変えたい」と本気で努力されている方は、最終的に良い結果を残されているように思います。
転職希望者の希望を受け止め、
企業とつなぐ「緩衝材」に
—— 過去のご支援で、印象的なエピソードがありましたら教えてください。
20代の、公務員の方をご支援した事例が印象に残っています。
お仕事の都合上、その方は本当に忙しく働かれていました。しかし、真剣に仕事へ向き合われた結果、プライベートが犠牲に。その結果、ご家族との関係性が崩れてしまったそうなんです。初めてお会いしたときは、「働き方から、自分の生活を見直したい」と肩を落とされていました。
—— 転職先には、どのようなお仕事を希望されていたのでしょうか?
公務員より待遇面で改善が望める、インセンティブがある営業職を希望されていました。
最終的には、複数の内定が出た中から、ご自身が納得された条件の営業職に転職を決められました。転職先で扱う商材が公務員時代に接点があったものであることも、大きな決め手になったようです。商材の売り上げに応じてインセンティブも支払われる仕事で、実際に年収もかなり上がりました。
そして、この話には続きがあって。後日、その方から現状報告と感謝の連絡があったんです。「再び、家族との時間を取れるようになりました」と泣きながら電話をいただきました。このときは、私も一緒に泣いてしまいましたね。
その方からは、今もご連絡をいただいています。こうして転職後もご連絡いただけること自体うれしいですし、すごくやりがいのある仕事だなと実感しています。
—— 転職希望者と企業のマッチングを成功させる上で、浦田さんが意識されていることを教えてください。
ミスマッチは絶対に防ぎたいので、転職を希望される方には懸念点や不明点がすべてクリアになった状態で企業を受けてもらいたいと考えています。そのためには、転職を希望される方の希望をしっかりヒアリングすること、そして企業側が求める人材像を把握することが重要だと思っています。
企業側とは普段から密にやりとりをし、求める条件について詳しく話を聞くようにしています。
このとき大事にしているのが、私が「最初の面接官」になれるレベルまで、企業と目線を合わせること。求人票に「2年以上の営業経験が必須」とあれば、私たちは「なぜ2年以上なのか」「具体的にどのようなスキルや経験を求めているのか」まで深くヒアリングし、そこで得た情報を転職希望者の方へお伝えしています。
もうひとつ、企業と転職を希望される方との間で希望条件をすり合わせる際に意識しているのが、自身が「緩衝材」になることです。年収の話はセンシティブですし、「子どもが小さいうちは転勤をしたくない」といった希望は、企業に直接は伝えづらいもの。私たちが間に入って交渉をスムーズに行い、ミスマッチをなくせたらと考えています。
履歴書や職務経歴書には載らない、
その人の良さを伝えたい
—— 転職を成功させたい方にアドバイスをお願いします。ヘッドハンターの目線で、「スカウトメールを送りたくなる」転職希望者のプロフィールとは、どのようなものなのでしょうか?
これまでやってきた仕事を、長文で詳しく記載されている方には、こちらからご連絡しやすいですね。
例えば現職が食品メーカーの営業職だとしたら、「東京でスーパーに営業をしています」といった一文で説明を済ませるのはもったいない。「問屋にこういうプレゼンをして、スーパーに営業をかけ、その結果100店舗にこの商品が納品され…」と、流れがていねいに書いてあると、ご本人のスキルが伝わりやすくなります。
「文章が短いほうが読みやすいのではないか」と思われる方もいるかもしれませんが、情報が多ければ多いほどスカウトの精度は上がるものです。多少ボリュームが出てしまっても、長文でプロフィール情報を書いてほしい。ヘッドハンターは、長文のプロフィールから必要な情報を読み取ることにも慣れていますから。
—— 転職希望者は、ヘッドハンターやエージェントをどのように活用すべきでしょうか。
私はよく「ほかのヘッドハンターの方にも聞いてみてください」という話をするんです。
転職活動を始めたら、ぜひ複数のヘッドハンターに会ってみてほしい。1人のみとのやりとりでは、そのヘッドハンターの良しあしが判断できませんから。その中で自分と波長が合う人、信頼できそうな人を見つけて、最終的にその1人に絞って支援してもらうのが、お互いにとっても幸せだと思っています。
あとは、皆さんが思っている以上に、ヘッドハンターは企業とのやりとりを重ねていることを知ってもらいたいですね。転職を希望される方の履歴書や職務経歴書には載らないような情報を、ヘッドハンターから企業へお伝えすることもあります。
私の場合、その方から受けた印象や、話していて優れていると感じた点も、企業に伝えるようにしています。反対に、ヘッドハンターが企業から得ている情報も多いので、ぜひ企業研究や面接対策などの場面で我々を頼っていただければと思います。
—— 人材紹介業界では、生成AIの活用も進んでいます。エージェントとして「人が介在する」ことの価値はどこにあると考えていますか。
AIは定量的な情報分析にたけていますが、定性的な情報分析はできません。求人票の分析などはAIに任せられるかもしれませんが、経営者や転職を希望される方の思いを汲み取るといったことは人間の仕事でしょう。
先ほどお話しした「履歴書や職務経歴書では伝わらないその方の良さ」など、まさにその一例だと思います。
転職を希望される方と対話を重ねていると、「学生時代の部活動が、その方の強みの原点になっている」といった気づきを得ることもあります。過去を掘り下げて強みを探ったり、それを踏まえてプランを立てたりするのはAIには難しいでしょうし、長期的な伴走については人が介在する価値があると考えています。
—— 最後に、浦田さんの将来的な展望について聞かせてください。
ヘッドハンターとしては、引き続き転職を希望される方に寄り添い、うそ偽りのないありのままの自分で支援に臨めたらと思っています。
加えて現在、ユーウィズとして企業側の人事コンサルティングにも取り組んでいます。
人材紹介の仕事で企業の方々とお話ししていると、企業の方から、転職希望者の動向や他社の施策などを質問されることも多いんです。そのうちいくつかの企業から要望を受け、外部の人事コンサルティングとして、採用に関わる情報発信やスキームの設計などに携わっています。
企業側の視点と転職を希望される方の視点、双方を理解するのがヘッドハンターの役割です。両者の橋渡し的存在として、この先も一人でも多くの方の転職をご支援できればと思います。
文=井上 マサキ/写真=遠藤 素子/編集=伊藤 駿(ノオト)
※各記事の内容や経歴は、インタビュー当時のものです。
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