日本の「ものづくりの自信」を取り戻したい

RGFプロフェッショナルリクルートメントジャパン(RGFタレントソリューションズ株式会社)・
村田 正樹 さん

HeadHunter of the Year 2025

地方創生部門 MVP
メーカー・商社部門 VP

村田 正樹

RGFプロフェッショナルリクルートメントジャパン(RGFタレントソリューションズ株式会社)
インダストリアルモビリティ&テクノロジーチーム マネジャー

日本国内でビジネスを展開するグローバル企業を中心に、幅広い人材の紹介を行っているRGFプロフェッショナルリクルートメントジャパン(※)。業界の知見が豊かなコンサルタントで構成される専門チームが、転職希望者と企業の双方へ最適なサービスを提供しています。

同社のインダストリアルモビリティ&テクノロジーチームのコンサルタントである村田 正樹さんは、doda XによるHeadHunter of the Year 2025で「地方創生部門」でMVP、「メーカー・商社部門」でVPを受賞しました。100年に一度と言われる大転換期を迎えている自動車業界をはじめ、環境変化が激しい製造業における転職支援の在り方を伺いました。
(※)RGFタレントソリューションズ株式会社が提供する2つのサービスのうち、村田さんはRGFプロフェッショナルリクルートメントジャパンに所属。

機械エンジニアの、
キャリアを前進させる支援

—— 村田さんのこれまでのキャリアと、今の仕事に就いた理由を教えてください。

大学卒業後、物流会社を経て大手人材会社へ転職し、法人営業やマネジメントを16年間経験しました。40代に入ってから現職に就いたのは、自身の仕事を見つめ直した結果、キャリアの後半は人材領域でも特定の専門分野に特化し、私自身の価値を発揮していきたいと考えたからです。

そこで今後注力する分野として選んだのが、自動車業界を中心としたモビリティの領域でした。

前職でも自動車業界の機械エンジニアの方々と多く接していたのですが、皆さん真摯に仕事に向き合い、業界の未来を発展させようと考える方々ばかり。こうしたエンジニアの皆さんによりご活躍いただくため、私はキャリアのご支援から役に立ちたいと思ったんです。

—— RGFプロフェッショナルは、どのような強み・特徴がある企業なのでしょうか?

弊社はグローバル人材の紹介に強みを持っています。 近年の求人傾向としては、ビジネス英語のレベルまでいかなくとも、日常英語を必要とするポジションが増えている印象があります。希望される年収が一定ラインを超えると、メールのやり取りなど基本的な英語でのコミュニケーションスキルが必要となることが多いです。

なお弊社の転職コンサルタントは、約2割が日本以外にルーツを持っています。業務の一部は英語でやり取りするなど、社内もグローバルな環境です。

—— 村田さんご自身には、どういった強みがあるとお考えですか?

製造業の企業を多角的に見られることだと思っています。

前職時代から現在に至るまで、100社を超える企業を担当しました。その経験から、求人票に書かれている内容だけでなく、事実に基づいた情報を私自身の考察も交えて転職を検討する方に提供しています。一社一社を熟知した上で、「この会社でキャリアを積む場合、ご本人にどういう影響があるか」を考えられることが強みです。

またご支援の過程で大切にしているのは、転職がご本人のキャリアを前進させるものとなるのはもちろん、「妥協した選択」にならないようにすることです。

目先の条件だけで転職を勧めることはありません。転職は、目の前の困難から逃れたいことがきっかけになるケースが多くあります。しかし、だからといって年収や残業の少なさといった条件面だけで企業を選ぶと、入社後に「条件はよくなったが、仕事が面白くない・自分の力が活かせない」などと後悔してしまうことがあるんです。

面談では転職を視野に入れている経緯をお話いただくのはもちろんですが、仕事でモチベーションが高まる瞬間などもお話いただくことが多いですね。私との対話をご自身の考えを整理するきっかけとしていただくことも、ヘッドハンターとして大事にしています。

—— 村田さんは、HeadHunter of the Year 2025で地方創生部門のMVPに輝きました。この受賞をどう受け止めていますか。

地方創生部門でMVPをいただいたのは、私が担当している自動車、建機、農機業界は地方に拠点を持つ企業が多いことも背景にあると思います。工場がある地域は、ひとつの企業でその街の経済が成り立っていることも少なくありません。 製造業で働く方々は、「地域」に対する強い貢献意識を持っている人が多い印象です

また、働く人の中には「家族とこの街で一緒に生活したいので、できる限り今の地域で働き続けたい」という方も少なくありません。ヘッドハンターとしても、家族や街に対するご本人の思いは大事にして働いてほしい。その取り組みが、地方創生部門MVPにつながったことをうれしく思います。

面接は「取引先との商談」
「社内のキャリア面談」のように
平常心で

—— 村田さんは、担当業界の知識やトレンドをどのようにインプットしていますか?

企業の人事担当者からヒアリングしたり、新聞や経済誌などのメディアに目を通したりといった情報収集は日常的に行っています。しかし転職支援に最も活かせているのは、全国で開かれる業界の展示会に足を運んで、現場社員の方から直接伺ったお話かもしれません。

展示会は、企業の最新の取り組みや製品を見られる場。実際の製品を見ると、各企業の戦略や投資している領域、成長著しい企業や分野が分かります。

加えて、そこで聞ける社員の方々の話は、メディアや人事担当者を通したものではない、貴重な現場の情報です。開示されている情報には載っていないような企業の強みや業務内容、現場目線でのビジネス上の悩みをお聞きできるので、転職支援にもとても役立っています。

転職希望者がヘッドハンターに求めるのも、求人票に書かれていない「生の情報」です。検索では手に入らない情報を足で稼いで得ることは、納得できる転職支援をするための重要な活動だと考えています。

—— 担当されている自動車業界の求人には、近年どのような傾向が見られますか?

自動車の「知能化」と「電動化」を支える求人が増えています。

「知能化」はAIやソフトウェアを用いたものづくり、「電動化」はEVやハイブリッド車の開発をそれぞれ目標としたものです。しかしながら、機械エンジニアが大半の自動車業界では、それらの領域を専門とするエンジニアは非常にまれな存在。そのため、 各社が他業界からのエンジニア採用を推進している流れがあります。

もうひとつ特徴だと感じるのが、ミドル・シニア人材の採用が盛んであること。ソフトウェアの需要が増えてはいるものの、自動車事業の最終目標は、ソフトウェアが搭載されたハードウェアを動かすことです。そしてハードウェアの高度な技術や、自動車に関わる法規制の知識に長けているのはやはりベテランの方です。こちらは、業界内で転職する人が多い印象です。

ミドル・シニア人材が転職する理由として多いのが、「現場で、もっと技術に向き合いたいから」。

会社からマネジメントを任されているものの本当は現場で技術を磨き続けたい、役職定年を迎え現在の勤務先では第一線から離れた位置に移ったが、やはり引き続き第一線でものづくりに携わりたい。そんな、エンジニアとしての「自分がありたい姿」を求めて、転職を視野に入れる方は多いように思います。

近年は定年を60歳から65歳に延長する企業も多く、定年後の再雇用制度がある企業も増えています。健康寿命も伸びているので、70歳くらいまで働き続ける方も少なくありません。そう考えると、40代や50代での転職が増えていることも不思議ではないと思います。

—— 多くの転職支援をしてきた中で、転職活動を成功させる人には、どのような特徴や傾向があると思いますか?

「自分を客観視できる人」だと思います。自分が持つスキルと、企業が求めるスキルがマッチしているかを冷静に考えられる人は、納得できる転職先を見つけ、入社後も活躍しています。

また採用面接では、「自分について、企業側が知りたいこと」を想像して会話できることも大切です。

面接は、取引先との商談や上司とのキャリア面談と似ています。相手の困り事に対して商談では自社の商品をプレゼンしますが、面接では自分自身についてプレゼンします。自分の経験と取り組みを伝えるのはキャリア面談と一緒。ところが採用面接になると、相手の課題を無視して自分のことを延々と話してしまうなど、普段はできているはずのコミュニケーションを忘れてしまうんです。

エンジニアの方は営業職と異なり、普段はご自身が提案する側の立場での商談に参加しない方も多いです。そのため「面接官を上司だと思って、キャリア面談のつもりで話してください」と伝えています。すると、皆さん安心して面接に臨めるようになる。相手が求めることを考えながら話をすることで、よい結果に繋がりやすい印象があります。

課題を把握しているからこそ
できた、企業への紹介

—— これまでの転職支援で、印象的なエピソードを教えてください。

以前、60歳を超えた方の転職をご支援しました。その方は、勤務先企業で定年を迎え再雇用制度を利用して働いていたものの、「まだまだ打ち込める仕事をしたい」という思いを持っておられました。勤務先企業ではフェローや顧問のような役割を務めていたのですが、そうではなく引き続き第一線で働ける環境を希望されていたのです。

このご支援では、ご本人のキャリア志向を伺った上で、私が以前からつながりを持っていた企業を紹介しました。 実はその時、その企業は求人を出していませんでしたが、そんな中でも両者をつなげようと思ったのは、「この企業とこの方の出会いは両者にとって不可欠なものになる」という確信があったからです。

私は、たくさんの企業と情報交換する中で、それぞれの会社が現在取り組んでいる課題やテーマをヒアリングするようにしています。その方は、その企業が取り組んでいる課題の解決に必要なスキルや経験をまさにお持ちでした。

転職エージェントとして「貴社にとって、なくてはならない人材になると思う」ということを企業に伝えると、「そのような方なら一度お会いしてみたい」と企業も快諾。 面接を経て、 入社はスムーズに決まりました。求人情報だけでなく、企業が経営として取り組んでいる、あるいは取り組みたい課題やそれに関連する情報を日ごろから収集していたことがご縁を作ることに繋がりました。

—— 素晴らしいご支援ですね。求人を出していない企業へ、村田さんから人材をご紹介することも多くあるのでしょうか?

正直なところ、頻繁に行っているわけではありません。しかし今回の出来事のように、「この方しかいない」と感じたときは積極的に提案しています。

求人票とは、企業が今の課題とそれを解決できると思われる人材像を整理し、まとめた「仮説」や「原案」のようなものだと私は思っています。そこに書かれているのは、企業が人材に対して抱く要望の一部であることも多いと考えています。つまり、課題解決に寄与できる人材であれば、書かれている要件とマッチしていない要素があったとしても「企業が求めている人」である可能性は十分にあると思います。

—— 仕事では、どのようなときに喜びを感じますか? 逆に、大変だと感じることも教えてください。

転職希望者の方が志望度の高い企業から内定を獲得したときや、入社された方から「仕事にやりがいを感じワクワクしている」という連絡をもらったときがうれしいですね。

また、転職をご支援した方から「自動車業界には村田さんのような人が必要です。自動車に関わる多くの方が私のようにやりがいある仕事につけるよう、これからも頑張ってください」 というご連絡をいただいたことも印象に残っています。仕事の領域は違うものの、ものづくりの未来を担う仲間として認めてもらった気持ちになり、とても感動しました。

つらいときは、実はほとんどありません。現在行っているすべての仕事はずっとやりたかったことであり、毎日が学びにあふれています。自分にとって、ヘッドハンターは天職かもしれないですね。

ものづくりに携わる人々の、
誇りや責任感を輝かせたい

—— 転職希望者へのアドバイスもぜひお聞かせください。まず、ヘッドハンターが転職希望者へスカウトメールを送るときは、どのような点に着目しているのでしょうか?

これまでの経験をしっかり書いていただいているとありがたいです。

自動車業界をはじめ、製造業の求人で重視するのは「これまでに手掛けた製品」です。また、使用経験のあるツールやソフトウェアの言語、マネジメント経験の有無なども、求人を出している企業にとって貴重な情報になります。

加えて、ヘッドハンターとしては、特に着目しているのは「希望」よりも「経歴」です。

条件面や職種などの希望は、転職活動の最中に変わることもありますし、人によっては「現実的なラインはこのくらいだろう」と考えて、本当の希望ではない内容を書いているケースもあるでしょう。

一方、経歴は事実なので変わることはありません。だからこそ、しっかり書いていただくことでヘッドハンターの目に留まりやすくなると思います。

—— 転職希望者は、どのようにヘッドハンターを活用すべきだと思いますか?

信頼できる一人を見つけて、その人に頼るのがいいと思います。「信頼できる一人」は、最初の面談で話をしたときに、「有意義な会話ができたな」と感じた人がよいのではないでしょうか。

ヘッドハンター経由の転職活動では、転職希望者とヘッドハンターの「すれ違い」が起こることがあります。

例えば 「キャリアにおける目標」 など転職活動の軸となる話は、 両者で最初に共通認識を持っておいた方がよい重要な部分だと思っています。しかし、ヘッドハンター側でその掘り下げが不十分だと、 そもそもやりたかったことが叶う求人の紹介がなされない。選考が進んだタイミングで「実はやりたいことと違うような気がしていて…」 と、 転職希望者と企業がミスマッチとなってしまう場合も少なくありません。

そうならないよう、最初にお話する1時間で、転職理由の背景にある悩みや目標をじっくり聞いてくれるヘッドハンターを信頼するのがよいと思います。

ヘッドハンターが最初に紹介する求人に惹かれてしまう場合もあると思うのですが、求人は面談後に紹介してもらえる場合も多々あるんです。とにかく、 深い会話ができるヘッドハンターに頼ることをおすすめします。

—— これからの時代、生成AIを活用して転職希望者と求人情報をマッチングすることも増えていくと思います。転職活動で、ヘッドハンターをはじめとする「人」が介在する価値はどこにあると考えていますか。

求人情報のような客観的な情報に主観を加えて届けることが、人が果たすべき役割だと考えています。

デジタル化が進めば進むほど、客観的な情報はいつでも、いくらでも手に入るようになります。 「多くの求人案件を持っていること」はヘッドハンターの強みにならない時代になってきているように思います。だからこそ価値を持つのが、生の情報です。

求人票やニュースリリースにはこう書かれているが、現場のエンジニアは実際にどう考えているのか。自らの足を運び情報を取得・理解すること、そして転職を視野に入れる方のキャリアの志向や悩みなどを理解したうえで提案することは、ヘッドハンター、つまり人だからこそできることと思っています。

—— 最後に、今後のご自身の目標をお聞かせください。

日本の「ものづくりの自信」を支援し続けたい、と思っています。自動車・建機・農機業界で活躍するエンジニアの皆さんと話していると、多くの方が日本のものづくりの力を信じ、また一方で今後の日本のものづくりを心配しておられることを感じます。

皆さんがものづくりに対する自信を取り戻し、責任感・使命感を輝かせ続ける、そのご支援に自分の力を使っていきたいです。

文=御代 貴子/写真=舛元 清香/編集=伊藤 駿(ノオト)

※各記事の内容や経歴は、インタビュー当時のものです。

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