転職希望者ファーストを掲げ、提案と転職活動の質にこだわる

株式会社未来想創サポート・
奥村 大智 さん

HeadHunter of the Year 2025

建設・不動産部門MVP

奥村 大智

株式会社未来想創サポート 首都圏紹介事業部 責任者

建設・不動産業界に特化した転職支援を展開する、株式会社未来想創サポート。土木コンサルや住宅、ゼネコンといったそれぞれの領域に特化したエージェントが在籍し、転職希望者へ「転職の質」にこだわったキャリアの提案をしています。

同社エージェントの1人である奥村大智さんは、ゼネコン・住宅メーカーを専門領域とし、これまで数多くの転職希望者を新たなキャリアへと導いてきました。その姿勢が評価され、doda X主催の「HeadHunter of the Year 2025」では、建設・不動産部門MVPを受賞しています。

徹底した「転職希望者ファースト」を実践する奥村さんの転職支援と、建設業界で行う転職活動のポイントを伺いました。

対面重視で、多忙な転職希望者に
寄り添う柔軟なサポート

—— 奥村さんがキャリア支援の仕事を始めたきっかけを教えてください。

前職は、大手人材サービス企業の代理店に勤めていました。入社2年目から建設業界向けの派遣営業を担当し、施工管理やCADオペレーター、現場事務員といった方々を派遣社員として企業へ紹介していました。

その後、転職を考えるようになったのは、転職希望者の方へより長期的なキャリアをつくるご支援をしたいと考えるようになったからです。

派遣社員の働き方は、担当者と働く人との関係がすぐに切れてしまいがちです。契約期間も半年から1年。派遣社員が「この現場でまた働きたい」と思っても、関係者の異動など企業側の都合でつながりが途切れてしまうことも多々あります。契約終了と同時に、それまで培った関係がリセットされてしまう状況をもったいなく感じていました。

そこで、もっと長期的に人と企業をつなぎ、入社後も継続的に働く人を支援できる環境に行きたいと考え、2022年7月に株式会社未来想創サポート(以下、未来想創サポート)に転職しました。不動産業界に携わってきた経験を活かし、正社員の転職支援で、転職希望者の方と企業に貢献したいと思ったんです。

—— 未来想創サポートの、会社としての強みを教えてください。

建設業界に特化した深い専門性と、少数精鋭ならではの迅速な対応力です。

現在在籍しているエージェントは4人で、住宅・ハウスメーカー、内装、ゼネコン、土木コンサルなど、それぞれの専門分野を持っています。中でも私の担当は、ゼネコンや住宅メーカー。担当領域に関しては、企業のご担当者や転職希望者の方々との関わりを通して、情報収集をしています。

エージェントはそれぞれが専門を掘り下げて情報収集を行っているので、転職希望者の希望する領域やキャリアの方向性に合わせたご支援ができます。

もし転職希望者の方が希望する領域・職種が私の専門と異なる場合は、社内で情報を持っているメンバーにすぐ相談し、希望に合わせた企業や求人を紹介します。少人数体制だからこそ情報共有のスピードも速く、結果としてその方にとって最適な選択肢を提示できるのが強みだと思います。

加えて、企業としてとても重視しているのが「対応の速さ」です。転職希望者からの問い合わせや不明点にはできるだけ早く応えることを心がけています。悩みやお困りごとに対してすぐに回答がご用意できることも、安心して任せてもらえる理由のひとつなのかもしれません。

—— その中で、ご自身の強みはどういった点だと思いますか?

前職の経験を通して、建設現場での仕事や、そこでの働き方を把握していることだと思っています。

ご支援にあたっては、「転職希望者の方の生活やお仕事スタイルに合わせる」ことをなるべく心がけています。例えば、施工管理者の方はとても多忙で、普段からたくさんのタスクを抱えて仕事をされています。そのため、転職エージェントへ返信する余裕がないときも少なくありません。

そんなとき私は、休憩や仕事終わりの時間を見計らってお電話し、口頭でご回答をいただくようにしています。メールだと10分かかる連絡でも、電話なら1分。返事をせかすよりもそのほうが早いし、お返事をするほうも楽ですよね。現場で働く人に合わせたご支援ができるのは、そのお仕事を知っているからこそ、できるものなのかもしれません。

またご支援にあたっては、転職希望者の方と、可能な限り直接お会いすることを大切にしています。オンラインや電話では情報共有がメインになりがちですが、対面なら雑談から本音を引き出せたり、その場で履歴書・職務経歴書を一緒に作成したりすることも。都合が合わないときは、私がその方の元に出向いてお話しする機会を設けます。

転職活動は、人生に直結する大きな決断。だからこそ転職エージェントとしてできるのは、転職希望者の方が安心して一歩を踏み出せるよう、意思決定や転職活動の負担を減らすことなのだと思っています。

転職希望者ファーストの、
量より質を重視した提案

—— 担当されている建設・不動産部門の求人トレンド、ならびに転職希望者のニーズはどのように収集しているのでしょうか?

最も参考になるのは、やはり現場で働いている方々の声です。

企業の人事担当者から現場のお話を伺うこともありますが、そこで得たものは「人事担当者」の視点を通した情報です。場合によっては、残業の実態や職場の雰囲気など、実際の状況と差があるケースも少なくないんです。ですので、現職でその企業に勤める転職希望者の方とお会いした際に、「現場は実際どうなのか」とお話をていねいに聞き取り、社内でも蓄積するようにしています。

現場の声から実際の様子が分かれば、仕事に打ち込みたい方には成果を重視する企業を、自分のペースで働きたい方には無理なく続けられる企業を…と、転職希望者の方が求める働き方と比較して会社を紹介できますよね。実際に働く人の声を得ることが、その結果として入社後のミスマッチ防止につながるんです。

—— 企業と転職希望者のマッチングはどのように行っていますか?

マッチングで一番大切にしているのは、転職希望者の希望やこれまでの経験に的確に合う案件を紹介することです。

転職希望者の方とお話をしていると、時折「他社から求人を紹介されたが、自分が求める条件に合わなかった」という声を耳にすることもあります。例えば「転勤を避けたい」と希望しているのに転勤必須の求人を紹介されたり、オフィスビルの施工経験者が住宅系の求人を紹介されたり、といったご経験のある方が少なくないようです。

オフィスビルと住宅では、工事規模や工法が大きく異なります。「同じ建築施工の仕事だから」といって経験と異なる現場にアサインされても、その方の本来の力を発揮できません

エージェントとして「たくさん提案して、その中から選んでもらう」スタイルのご支援もあると思うのですが、この方法では転職希望者の方に余計な労力がかかってしまいますよね。未来想創サポートではこういった提案を行わず、「転職希望者ファースト」の目標の下で、ご本人の希望や条件に合致した求人だけを厳選してご紹介しています

スムーズな選考や入社後のミスマッチの防止、そのすべてのスタート地点にあるのが「ご希望に合わせた、精度の高いご提案」なのだと思います。

—— 転職を成功させている方には、どんな特徴がありますか?

これまで500人以上の方を支援してきましたが、「入社後にどうなりたいか」の明確なビジョンをお持ちの方は、良い転職をされている印象があります。

「給与アップ」や「転勤を避ける」などの条件だけでなく、その背景にある理由を言語化できているか。例えば「結婚や子育てのため、手取りを増やしたい」や「地元で落ち着きたいので、転勤は避けたい」のように、理由を自分の言葉で整理できている方ほど、納得感のある転職につながります。

加えて、そのような方は、希望条件を完全に満たす求人に出会えなくても、本来の目的からぶれずに転職活動を進められます。

例えば「残業をできるだけ減らしたい」という希望であれば、残業が減る代わりに年収が減ったり、業務範囲が狭まったりしてしまう懸念があります。良い点と懸念点の両方を理解した上で意思決定できれば、入社後のミスマッチも起きにくい印象です。

希望条件が現実的に難しい場合には、あえて「今は転職すべきではないかもしれません」とお伝えすることもあります。大切なのは、短期的な視点にとらわれずに、中長期的に見てキャリアをどう築きたいのかを考えること。結果的に、将来の姿を思い描き、条件のメリットとデメリットを受け止めた上で意思決定できる方こそ、転職で成功しやすいのだと思います。

本人の意思を汲み取り、将来につながるキャリアを提案したい

—— これまでのご経験の中で、特に心に残っているご支援はありますか?

20代の転職希望者の方へ、今後の長期的なキャリア構築につながる提案ができたご支援でしょうか。その方は地方から上京し、派遣社員として設備の施工管理に従事していましたが、「正社員として腰を据えてスキルを積みたい」との思いで、転職を考えられていました。

その方の転職にあたっての希望は、「もっと大きな設備工事に携わりたい」というもの。そこで私からは、大手ゼネコンの案件を担当できるサブコン企業をご紹介しました。規模の大きな現場で経験を積め、そして地方にも拠点を持っているため、将来的に地元へ戻れる可能性があることが決め手となり、転職を決断されました。

その後、入社から2カ月ほどして彼から突然メッセージが届きました。

普段ならあまり連絡をしない時期なので「悪い知らせではないか」と不安だったのですが…。開いてみると、その方からの感謝のメッセージだったんです。「給与も上がり、ワーク・ライフ・バランスも改善しました。いずれ地元に戻れる道も見え、両親も喜んでいます」といううれしい報告で、胸が熱くなりました。

ご支援をした方から、入社後のフォローアップの中でいろいろなメッセージをいただきますが、その中でも特にうれしい、記憶に残るメッセージだったと思っています。

—— 反対に、大変さを感じるのはどういったときですか?

「最終的な決定権がないこと」には、歯がゆさを感じるときがあります。

エージェントとしてどれだけ良い提案をしていても、最終的に判断するのは企業と、転職希望者の皆さんです。こちらとしては「この選択肢がベストだ」と思っても、ご本人にとってフィットしない場合も。なかなか良いご提案ができないときは、自分の力不足を感じます。

転職活動がなかなか軌道に乗らない場面では、「ご本人が考える理想」と「私が考える、転職希望者の方の理想」、両者の間にギャップがあることがほとんどです。そんなときは、改めてご希望に関するヒアリングを行い、どこに引っかかりがあるのかを整理。選択肢や可能性を広げていけないか、条件や希望をすり合わせ直していきます。

「ぶっちゃけ」で、悩みや希望と
本音を語ってほしい

—— 転職希望者の方に向けたアドバイスをいただければと思います。自分に合ったスカウトメールをもらうため、履歴書や職務経歴書ではどんな点を意識するのがよいと思いますか?

文面の時点で、希望条件と経験の輪郭が伝わることが重要だと思っています。

まずは、希望を具体的に書くこと。ヘッドハンターや企業が目にする情報は限られているため、「施工管理をやりたい」「転勤は避けたい」など、希望や条件が明確に記載されていると、それにマッチしたスカウトにつながりやすくなります。

加えて、現職での仕事内容やこれまでのご経験を、とにかく細かく記載するのも効果的です。建設業界のお仕事ですと、担当した工事の規模や金額、次席や現場代理人といった現場でのポジションなどが分かると、「この方ならこういう求人が合いそうだ」というイメージをしやすくなるかもしれません。

とはいえ、普段の仕事をしながら転職活動をするのは大変だと思います。忙しく、詳細を書く時間がないのであれば、「現在こういう仕事をしています」といった基本情報だけでも構いません。そこからでもアプローチできる求人も多くあるはずです。

—— スカウトサービスを上手に活用する、おすすめの方法を教えてください。

エージェントやヘッドハンターは、ご自分の「意見の整理役」として使っていただくのが一番だと思います。

転職を考え始めたときは、「自分は何がやりたいのか」「何ができるのか」が見えづらいもの。まとまっていなくても、その気持ちを率直に伝えてもらえれば、エージェントが客観的に整理し、「この働き方なら合いそうです」「今は辞めないほうがよいかもしれません」といった提案ができるはずです。

加えて、私がより大切だと思っているのが、本音を隠さず話していただくことです。

エージェントに対して、面接時のような「外向け」のスタンスでお話をされる方もいらっしゃいます。しかし、我々に対しては「ぶっちゃけ」の気持ちで、本音をいろいろ話していただきたいんです。そうした情報をお話しいただけるほうが、よりよい提案ができるようになりますから。

—— 近年、AIを活用した人材マッチングなども進みつつありますが、「エージェントの介在価値」について、どのようにお考えですか?

AIは急速に発展していますが、人材紹介の分野では、まだ人にしかできない部分が多く残っています。例えば、企業ごとの社風や事業部の特性、非公開の情報など、細かなニュアンスを含んだ実態は、人を介して初めて伝えられるものですよね

AIは条件の整理や効率化には強みを発揮します。しかし「この会社で働きたい」と心から思えるかどうかを判断するためには、こうした細やかな情報が欠かせません。人が介在する価値は、今後もなくなることはないと思います。

—— 最後に、今後のご自身の目標を教えてください。

日々「転職希望者ファースト」で価値を提供し続けることの大切さを実感しています。

今後も目指すのは「転職して失敗した」と思わせない支援です。そのために必要なのは、各企業の強みや特徴だけでなく、社内の課題や現場の声まで把握する力。情報を正確に分析し、提案へとつなげる力。こうしたスキルを磨き続けたいと考えています。

知識と情報を積み重ね、転職希望者が安心してキャリアを選択できるよう、より質の高い提案ができる存在へ成長していきたいです。

文=西谷 忠和/写真=品田 裕美/編集=伊藤 駿(ノオト)

※各記事の内容や経歴は、インタビュー当時のものです。

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