異動をきっかけに30代で初めての転職。証券会社から大手銀行へ、専門性を磨く選択

大手金融グループ傘下の証券会社で、情報セキュリティ関連の実務経験を重ねてきたT.Nさん。会社都合の異動をきっかけに、転職を検討するようになりました。
そんなT.Nさんですが、初めての転職活動では、選考で「自分の経験を簡潔に伝える難しさ」に直面したといいます。キャリアアドバイザーとの対話を通じ、経験を「伝わる強み」へ整理した過程と、大手銀行への転職後に直面した課題を伺いました。


社内と対話しルールを築く「金融機関×セキュリティ」の専門職
―これまでのご経歴と、前職で担当されていた業務について教えてください。
大学卒業後、新卒で大手金融グループ傘下の証券会社に入社しました。
最初はITインフラの管理部署に配属され、主に社員が利用するパソコン環境の維持・管理を担当していました。
数年後、コンプライアンス部門へ異動となり、情報セキュリティ管理の仕事を担当するようになりました。
情報セキュリティの仕事は、単にルールを作るだけでなく、社内の各現場と対話を重ねながら「いかに実効性のある情報管理体制を敷くか」に力を注ぐ日々でした。思い返せば、ここでの経験が私のキャリアの核になったと思います。
近年サイバー攻撃などの手口が巧妙化している中で、それに対抗していくためにも情報管理の重要性が叫ばれています。専門性を磨く意味でも、今後も、情報セキュリティに関する仕事を続けたいと考えるようになりました。
異動を契機に「社外で専門性が通用するか確かめたい」
―転職を意識するようになったのには、どのようなきっかけがあったのでしょうか。
大きな要因となったのは、直近の引受審査部への異動です。
引受審査とは、株式や債券を発行しようとする企業の財務状況や内部管理体制を分析して「この案件を引き受けて投資家に届けてよいか」を審査する、専門性の高い業務です。仕事のやりがいはあったのですが、この会社都合の異動をきっかけに働き方が大きく変わってしまったんです。
―働き方に、どのような変化があったのでしょうか?
ひとつ目の変化は、情報セキュリティに関わる業務から離れてしまったことです。
金融機関のビジネスは、お客さまとの信頼関係の上で成り立っており、他業界と比較しても情報漏えい対策の水準が極めて高いのが特徴です。個人情報保護委員会のガイドラインに加え、金融庁が提示する情報管理のガイドラインを遵守・運用する必要があるなど、ほかの業界とは異なるセキュリティ施策が求められます。金融業界のセキュリティは、一般的なセキュリティ専門職とは異なった特殊性がある領域ですが、そういった難しさも含めて、セキュリティの仕事にやりがいを感じていました。
もうひとつの変化が、仕事の進め方でした。前の部署では、社内の各現場と対話しながら情報管理体制を築いていましたが、引受審査部では、一人で担当案件の分析や審査に向き合う時間が増えました。こうした変化を通じて、自分は専門性を活かしながら、周囲と対話して仕事を進めることにもやりがいを感じていたのだと、改めて気づきました。

―転職を意識する中で、不安を感じることはありましたか?
初めての転職だったことに加え、長年勤めた好きな会社を離れることには不安がありました。
最初に「前の部署に戻りたい」と異動希望を出したものの、人事制度上、一度離れた部署に短期間で戻ることは難しい状況でした。しかし、「情報セキュリティ領域で再び専門性を磨きたい」という気持ちと、「一度外の世界に目を向け、自分のスキルが他社でどこまで通用するのかを試してみたい」という思いが強くなり、転職を決意しました
専門領域を理解するアドバイザーとなら「突破できるかも」
―スタート時は、転職活動をどのように進めていたのでしょうか。
まずは自身の市場価値を客観的に把握しようと、大手スカウトサービスに職務経歴を登録しました。そして、スカウトメッセージを通じてコンタクトを取ってきた複数のエージェントを経由して、転職活動を開始したんです。
自分で直接企業に応募する道もありましたが、「エージェントを通したほうが、不採用の理由などについて適切なフィードバックが得られる」と知り、そのほうが選考プロセスの透明性が保たれると思いました。そのため転職活動の初期は、金融業界に強い小規模なエージェントなどを介して選考を受けていました。
―転職活動の初期での手応えや、印象に残っているエピソードはありますか。
dodaのキャリアアドバイザーとお会いする前に、大手金融機関2社の選考を受けています。しかし両社とも、「相性があまり良くないな」と面接中に感じてしまって。面接官の方が、なかなか「体育会系」な印象があり、話しづらさを感じたのを覚えています。
結果的にそちらの企業とはご縁がなかったのですが、やはり相性が良くなかったのだろうなと、どこか納得している自分もいました。ただ、面接を通して、自分自身が応募先の社風と合うのかどうかを判断できたのは、とても良い経験だったと思っています。
―dodaのキャリアアドバイザーである坂本が、ご支援をするようになったきっかけを教えてください。
キャリアアドバイザー坂本さんから、スカウトサービス経由でスカウトメッセージをいただいたのがきっかけです。
最初の連絡の時点で、私が最も希望していた「大手銀行のコンプライアンス・情報セキュリティ関連」という求人をピンポイントで提案してくださったので、「これはぜひ受けてみたい」と思い、すぐに返信しました。
実際にお話をしたときには、私の実務経験を深く理解してくださって、セキュリティに関する十分な専門知識をお持ちだと感じました。とても心強く感じ、初回の面談ですっかり心を開いてしまって。
思い返せば、ほかの一部のエージェントでは、面接対策や書類作成をほぼ自分一人で進める場合も少なくありませんでした。しかし坂本さんは、この後の面接対策だけでなく、履歴書や職務経歴書の添削も細かくご対応いただけました。チェックいただいて完成した職務経歴書を見て、その出来に「これなら、大手銀行の選考であっても突破できるかもしれない」と感じたのを覚えています。
5回の面接対策で「思考と言葉を洗練させていった」
―坂本からの支援で、特に印象に残っているものはありますか?
面接対策で、自分の会話の「癖」や「弱点」を的確に指摘していただいたことです。
私は面接のときに、「相手に正しく伝えよう」と意気込むあまり、話の情報量が多く、冗長になってしまう癖があるんです。それに対して坂本さんから、「それはT.Nさんの良いところでもありますが、要点がぼやけてしまいます」「面接の場では簡潔に話すことを心がけましょう」とアドバイスをいただきました。
そして、本命だった現職の面接前には「回答の精度にこだわらなくていいので、とにかく出しきってください」と励ましの言葉をくださって…。緊張していたので、その言葉にはかなり勇気をもらいました。

―それ以外の部分で、面接対策はどのように進められたのでしょうか。
選考が進むごとに、坂本さんと時間を設けて面接の練習をしていました。面接の数日前に坂本さんから想定質問がメールで送られてきて、私が事前に回答案を作成、本番前日にオンラインで模擬面接をする、という流れです。
「面接の準備体操」のような時間だったと思うのですが、事前に用意している回答でも、相手に向けて実際に話すことで思考が整理され、言葉がより洗練されていくんです。現職では、内定まで5回の面接・面談があったのですが、坂本さんは毎回遅い時間まで練習に付き合ってくれました。
そんな中迎えた現職の面接では「自分の話が伝わっている」手応えが強く、面接官が深く頷き、スキルや経験を正しく評価してくれていることが伝わってきてうれしかったですね。おかげで無事に、第一志望の大手銀行から内定をいただくことができました。
―内定をいただいた後、承諾にあたって迷いはありませんでしたか?
当初から志望度の高い企業だったので、迷いはありませんでした。前職の証券会社から考えると、専門性や年収の面ではキャリアアップにつながる転職ができたと思っています。
ただ、8年間勤めた前職の証券会社は本当に好きな会社でしたし、5年間かけて社内で築き上げた人脈や、自分を頼ってくれた仲間たちと離れることへの一抹の寂しさはありました。それでも、「金融セキュリティのトップランナーを目指して、新たな挑戦をしたい」という意志に揺らぎはありませんでした
入社後に感じた「大規模組織で求められる個人の責任」
―入社後にギャップを感じることはありましたか?
一番大きいと感じているのが、組織全体の業務スタイルでしょうか。一人ひとりに任される業務の幅が広く、特に最初のころは、慣れない環境だったこともあり、長時間残業が続いてしまった時期もありました。
また現職は、一人ひとりが自身の担当業務に責任を持ち、主体的に完遂することが求められるスタイルです。配属先の風土や規模感による違いもあると思うのですが、前職以上に担当者自身の判断と責任が求められると感じています。
今勤めている銀行は、グループ全体で10万人を超える従業員を抱える巨大組織です。そのため、各自が担当領域に責任を持つ体制になっています。プレッシャーも大きいですが、その分、高い水準の業務に向き合い、金融セキュリティ領域の専門性をさらに磨ける環境だと感じています。

―最後に、現職でのキャリアや転職に悩んでいる読者へメッセージをお願いします。
「頑張っているのに適切に評価されていない」「本当にやりたい業務から遠ざかってしまっている」と感じているなら、ぜひ一度、外の世界に目を向けてみてください。自分のキャリアを棚卸しし、転職エージェントと対話してみるだけでも、「他社で自分はどう評価されるのか」「自分の強みはどこにあるのか」という客観的な立ち位置が見えてきます。
私の場合、給与面は大幅にアップしましたが、その分、期待されるレベルも高いと感じています。
入社してみなければ分からないことがあるのも確かです。でも、少しでも迷っているのであれば、信頼できるキャリアアドバイザーという伴走者を見つけ、一歩を踏み出してみてください。きっと、今までとは違う視点が持てるようになるはずです。
文=神代裕子/編集=伊藤 駿(ノオト)
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