50代でのハイクラス転職の実態とは?成功事例やポイントを解説

50代での転職を考えるにあたり、中には尻込みしてしまう人もいるのではないでしょうか。特に50代で初めての転職の場合、これまでの実績やキャリアがあったとしても、なかなか動き出すことは難しいかもしれません。

そこで、この記事では50代の転職を取り巻く実態や、経験と専門性を活かしたハイクラス転職で必要なスキルについて解説します。さらに、転職を成功させるポイントや成功事例について、転職のプロの視点からお伝えします。

50代のハイクラス転職の実態は?

実際に、50代の転職はどれくらい可能なものなのでしょうか。データを見ると、近年では50代の転職希望者が増えてきているという実情が見えてきます。その背景や企業からのニーズについて解説します。

50代の転職希望者は増えている

総務省の労働力調査によると、2012~2022年の11年間で45~54歳の転職者は40万人から54万人に、55~64歳の転職者は38万人から45万人に増加しています。

その背景にあるのは、「人生100年時代」と呼ばれる時代性です。終身雇用が当たり前だったころは、今ほど50代での転職は一般的ではなく、そのまま60歳まで勤め上げたら定年退職して、余生を過ごすライフスタイルが一般的とされる傾向がありました。ですが、平均寿命が延びたことで、これからの時代は生活維持や社会との接点を持つために、より長期的な労働機会を求める人が増えていくでしょう。

また、50代ごろから「社会貢献をしたい」という意識が芽生え始める人も多いようです。実際に「これまでは自己実現やお金のために目の前の仕事をがんばってきたけれど、今後は社会の役に立つ仕事がしたい」と考えて転職を希望する人も増えています。

ミドル層の即戦力人材が求められている理由

企業にとって、社会人として経験を積み、高い専門性やスキル、知識を備えているであろう中途人材は、新卒にはない魅力があります。それがミドル層ともなると、キャリアの中で積み上げてきた多くの経験や実績を、自社でもすぐに活かしてくれることを企業側は期待します。

こうした中途人材へのニーズや期待は以前からありましたが、コロナ禍を経てより加速しています。かつての日本企業は、新卒を大量に一括採用し、じっくりと育成していく方針を執っていました。しかし、コロナ禍で厳しい経営状況に迫られる企業が即戦力人材の重要性を改めて実感。さらに製造業の国内回帰や半導体など新産業投資、DX化が進んだことで、成長領域の組織強化、特定業務やDX導入経験のある人材がより求められるようになりました。

こうした背景から、即戦力人材を採用しようという企業の動きが活発になっているのです。

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50代のハイクラス転職で求められるスキルや経験

では、具体的にどのようなスキルや経験が50代のハイクラス転職に必要なのでしょうか。一般的に求められる要素をいくつか紹介します。

優れたマネジメントスキル

管理職としてチームを導いた経験や実績があれば、マネジメント層を必要とする企業から求められる可能性が高まります。マネジメントスキルは、社会人経験を豊富に持つミドル層ならではのスキルです。仮に管理職経験がなくても、プロジェクトを牽引した経験があれば、アピールポイントになるでしょう。50代での転職を成功させるには、そういった「長いキャリアを持つからこそのスキルや経験」が武器になります。

高い専門性や実績がある

高度な専門性や実績を持っていることも、50代のハイクラス転職を成功させる鍵となります。例えば、専門性と聞いて一般的にイメージするような特定分野の職種でなくても、人事や法務、経理、新規事業開発といった分野での専門性もニーズがあります。長いキャリアの中で、自分の専門といえる領域があるかどうかが肝心です。    

加えて、その専門領域の中で数値化できる実績を複数持っていると、評価されやすくなります。そしてそれが、自社の中だけでなく、他社で通用するかどうかも企業から見られるポイントです。

人的ネットワークがある

キャリアの中で築いてきた人的ネットワークも、50代ならではのアピールポイントになります。前職までに培ってきた人脈を活かすことで、営業であれば新たな販路を開拓したり、新規事業開発であれば協業につなげたりと、さまざまな形で会社に利益をもたらせるからです。こうした人的ネットワークは属人的なものであるため、採用企業へのアピール材料になるでしょう。

柔軟性や適応力がある

企業は50代を採用するにあたって、過去のやり方に固執せず、新しい環境に柔軟に適応できる人材であるかどうかを重視しています。

例えば、過去に転職や出向の経験がある人は、まったく新しい環境に順応して成果を出すためにどう考え、行動したのかをアピールしましょう。
また、これまで転職経験がない人は、部署異動や新しいプロジェクトを任されたときのエピソードで構いません。

変化に対応してきた経験や実績を押し出すことで、柔軟性や適応力をアピールできるでしょう。

課題発見・解決力がある

会社から求められる仕事をただこなすだけでなく、自ら課題を見つけ出せる「課題発見力」があるかどうかは重要です。自ら課題を発見し、能動的に仕事に取り組んでいるかどうかという視点で過去を振り返って実績を探しましょう。

その上で、エピソードを自分の言葉で分かりやすく客観的に語ることが大切です。また、応募先企業の課題を想定して、いかに解決に貢献できるかアピールしてみましょう。

50代のハイクラス転職を成功させるポイントとは?

次に、50代での転職を成功させるための8つのポイントを見ていきましょう。

転職が決まる前に退職しない

まず前提として、基本的には「転職が決まる前に退職しない」ことが肝心です。「転職活動をするなら退職するのがけじめ」という人もいますが、先に退職してしまうと、焦って不本意な条件で転職することになる可能性が高まります。退職さえしていなければ、転職活動の結果が芳しくなかった場合、「転職しない」という選択をすることもできます。

市場価値を把握する

転職活動は、「自分自身にどれだけの市場価値があるのか」を認識するところから始まります。市場価値とは、「企業からの採用ニーズ」のことで、時代性や時期によっても変わるため、「このキャリアならこれくらいの市場価値がある」と一概にいえるものではありません。50代ともなると、市場価値は人それぞれで大きく違ってくるので、周りの同世代と比べる必要はありません。

市場価値を測る方法については、以下の記事を参考にしてみてください。

【関連記事】市場価値とは?自身の価値を知って高める方法やポイントを紹介

選択肢を広く持つ

特に50代の場合、条件にこだわり過ぎると転職の難度が高くなる傾向があります。例えば、転職先に大手企業を希望する人は多くいますが、他の年代と比較して50代ではより難度が増すのです。

逆に、大手企業から中小企業やベンチャー企業に転職できた、というケースはあります。というのも、中小やベンチャーからすると、大手で得た経験やスキルを持つ人材は魅力的だからです。

このように、意外なところに自身の経験やスキルがマッチする企業があるかもしれません。他の年代と比較したときに、50代はより企業やポジションとのマッチ度を細かく見られるため、求人への応募検討時には条件を絞り過ぎず、幅広い選択肢を検討することをおすすめします。

転職への許容条件を言語化する

50代では家庭を持つ人も多いため、転職にあたって条件面の折り合いも重要だと考える人も多いでしょう。例えば、最終面接で合格となっても、年収などの面で希望通りの条件にならないことも十分に考えられます。

そのため、転職することが本当にベストなのか、転職するなら許容できる条件やラインはどこなのかなどを事前に言語化しておきましょう。例えば、下記のような問いに対して、現状の自分はどう考えているのか、答えを持っておくことをおすすめします。そうすれば、最終的に転職をするかしないか決める際にスムーズに意思決定ができるはずです。

  • ある程度の条件を妥協してでも転職をしたいか
  • 現職に残る選択肢はあるのか
  • 家庭やライフプランを考えたときに最低限、必要な年収はどの程度か

企業の採用ニーズとのマッチング

転職活動が成功するかどうかは、企業の採用ニーズがあるかどうかに大きく左右されます。企業が求める要素や実績を持っていて、なおかつ条件面がマッチすれば転職は可能です。

例えば、これから本格的に事業を拡大するフェーズに入ったベンチャー企業であれば、人的ネットワークを持ち、実績や知見が豊富で、組織をマネジメントしてきた経験もある50代は魅力的な存在です。このように、企業側のビジネスフェーズやニーズとマッチすれば、エグゼクティブ層としての転職も不可能ではありません。

さらに、企業の採用ニーズは時代性やトレンドの影響も受けます。例えば、DXやAIに精通した人材のニーズなどの時流をつかむことも大切です。

残りのキャリアや定年後の過ごし方も見据える

仮に70歳で仕事を引退する場合、50歳で転職後すればあと20年は働くことになりますが、60歳で引退するなら10年です。後者のように働ける期間が10年以下なのであれば、転職せずに待遇を維持したまま、現在の仕事で退職後の生活資金を蓄えたほうがよい、という選択肢も出てくるかもしれません。

または、定年後にも再雇用などで働くのであれば、そのことを見据えたキャリアを積むという考え方もあるでしょう。50代での転職は、残りのキャリアや人生をどう歩むのかを見据えて行うことが大切です。

非公開求人を活用する

転職エージェントは、一般に公開されていない非公開求人を持っていることがあります。非公開求人をうまく活用することで、転職活動で有利に働くでしょう。また、自分の市場価値を確かめるのにも、転職のプロであるエージェントを通したほうが効率よく進めることができるはずです。転職を検討し始めた段階で、まずは転職エージェントに相談してみましょう。

経歴や自己アピールは分かりやすく簡潔に

職務経歴書や履歴書は、つい過去にさかのぼって書きたくなるかもしれませんが、直近の経歴・履歴から書くようにしましょう。50代になると、20代のキャリアは30年前のことになります。それよりも企業が見たいのは、直近の仕事でどんなことを成し遂げてきたのか、ということです。また、経歴や自己アピールは長文ではなく、要点を押さえて分かりやすく簡潔に書きましょう。

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50代のハイクラス転職の成功事例

ここでは、実際に50代で転職を成功させた方のケースを紹介します。

50代男性のケース

<男性(50代):コンサルティングファーム・コンサルタントへ転職>

転職前(1社目):大手通信会社 事業開発

転職後:コンサルティングファーム コンサルタント

転職前の年収:1,200万円

転職後の年収:1,300万円

この方は転職や出向の経験がなく、新卒入社以来、ずっと1社に勤めてこられました。主に新規事業開発を担当されており、転職活動の結果、未経験にもかかわらずコンサルティングファームに入社が決まりました。

50代未経験で転職を成功させ、年収までアップしたケースはまれですが、新規事業開発という転職先でも求められる知見を持っていたことや、業務のプロセス改善が強みであると自覚してアピールされたこと、根気よく応募を続けたことが成功の要因になりました。

まとめ

50代のハイクラス転職は、転職活動の戦略をしっかりと立て、長いキャリアから強みと実績を拾い上げ、アピール内容や方法を磨き上げていくことが大切です。また、積極的に粘り強く活動を続ける姿勢も肝心です。

そのため、一緒に戦略を立てて伴走してくれる転職のプロに頼るのも一つの手。「doda X」では、ハイクラス層に特化したキャリアの専門家であるヘッドハンターが転職を支援します。まずは、50代のハイクラス転職がどれくらい現実的なのか知りたい、という方はぜひご登録ください。

藤田 有佳(ふじた・ゆか)

dodaキャリアアドバイザー

損害保険会社での勤務を経て、2014年にパーソルキャリア株式会社へ入社。​
キャリアアドバイザーとして、一貫して個人の転職活動をサポート。​
入社後、金融業界からさまざまな業界の企画職、経営・業務コンサルタント職の方のご支援を担当。​
現在は、40~50代の管理職の方を中心としたハイクラス転職のご支援に従事。​

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