コンサル転職の動向は?必須スキルやキャリアパスも解説
コンサルタントへの転職を検討しているのであれば、まずコンサルティング業界全体の動向をはじめ、近年の採用ニーズ、求められている人材像を知る必要があります。 この記事では、コンサルティング業界の転職動向と選考時のポイントのほか、キャリアパスについて解説します。企画職やコンサルティングファームへの転職支援経験が豊富なキャリアアドバイザーから得た最新情報を踏まえて紹介していますので、転職活動にお役立てください。
コンサルティング業界の転職動向
2024年現在、コンサルティング業界ではどのような転職動向が見られるのでしょうか。実際に転職希望者との面談を日々実施している、キャリアアドバイザーの見解をもとに解説します。
昨年に引き続き、中途採用ニーズは高い傾向
近年のコンサルティング業界の転職動向は、引き続き中途採用を積極的に継続している企業が多く見られます。企業課題としてDX推進が挙げられるケースが急増しており(詳細は後述)、それに伴うコンサルティング案件も増えているためです。
ただし、一部の外資コンサルティングファームで積極採用の勢いに落ち着きが見られます。外資系の採用は、本国をはじめグローバル規模での判断にもとづいているため、日本国内の採用が活発であっても、状況によっては採用稟議が下りないケースも少なくないからです。
ミドル層の採用ニーズの高まり
刻々と変化する企業の人材ニーズの変化を背景に、コンサルティング業界ではミドル層、つまり30代後半~40代以上の経験値の高い人材の需要が高まっています。コンサルタント未経験であっても、事業会社で経営戦略の策定から実行に関わってきたなどの経験があれば、特定のテーマ(前述したDXをはじめ、サステナビリティ推進・M&A・リスクマネジメントなど)のコンサルタントとして即戦力になり得るからです。
このように、ミドル層の採用ニーズに関しては、コンサルタントとしての経験に限らず、専門性と実務経験を一定水準まで備えているかどうかが重視されるケースが少なくありません。
DXやそれに伴うリスクマネジメントに関連する案件の増加
2023年に引き続き、企業のDX推進はコンサルティングの重要なテーマのひとつといえます。したがって、ITに関する豊富な知見を備えた人材を求める傾向が見られます。コンサルタント未経験者であっても、事業会社でDX推進に携わった経験があれば選考に有利となる可能性が高いです。
DX人材へのニーズをいっそう高めているのが、2023年に入って利用が急拡大した生成AIの存在です。
生成AIをはじめとする新しい技術利用やデジタル化への対応を急速に進めるためには、社内データの利活用が必要となります。データ利活用時のリスクを検知でき、リスクマネジメントを行いつつ、テクノロジーを事業に取り入れていくバランス感覚がよりいっそう重要視されています。こうした新しい領域に対応できる人材が、転職市場でも求められているといえます。
監査法人のアドバイザリー部門の採用案件も増加傾向
コンサルティングファーム以外の領域では、監査法人のアドバイザリー部門の求人案件が増加傾向にあります。監査法人のアドバイザリー部門のコンサルティングファームとの主な違いは、内部統制やリスクマネジメントがベースにある点です。
監査を適切に行うには、対象企業の事業や業務内容への深い理解が不可欠であることから、対象企業が抱える経営課題の解決に向けた支援に知見を活かせます。コンサルタントへの転職を検討する際には、コンサルティングファームだけでなく、監査法人のアドバイザリー部門も選択肢に加えておくといいかもしれません。
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コンサルタントへの転職で求められているスキルや経験とは
ここからは、コンサルタントへの転職を検討している人に向け、求められているスキルや経験について解説します。
コンサルタント業界に転職するにあたって、企業が求める採用要件を満たしていることや、コミュニケーション能力が高いことなどは大前提として必要です。これらに加えて求められるスキルについて、代表的なものをいくつかご紹介します。
論理的思考力
論理的思考力とは、物事を筋道立てて考える力のことです。論理的思考力が重視される職種は多く存在するものの、コンサルタントにとっては特に必須の能力といえます。コンサルタントとして備えておくべき能力の土台といっても過言ではありません。
選考においてもケース面接を取り入れることにより、論理的思考力やコンサルタントとしての適性を判断されることが多く見られます。
ケース面接とは、コンサルティングの実務において実際に対峙するような課題を出題され、面接官とのディスカッションを通じて解決策を見いだしていく面接の手法のこと。ケース面接には特定の正解や求められる回答が存在するわけではなく、対象者が解決策を導き出すまでにどのような過程を経ているのかを面接官はチェックしています。コンサルティング業界の選考においてはケース面接への対策は必須といえるでしょう。
問題解決力
問題解決力とは、困難な課題に直面した際に、解決策を着実に導き出すことができる能力のことです。企業が抱える課題を洗い出した上で解決していくことがコンサルタントの仕事のため、携わる分野や領域を問わず、問題解決力は欠かせません。
コンサルタントとして求められる問題解決力は、いかなる状況でも発揮されるものであるかどうかが重要です。クライアントとなる企業によって課題感や組織体系などは異なるため、臨機応変に対応することが求められます。日々状況が変わっていく中で、クライアントの意向を汲み取り、課題解決へ導くことができる能力が問われると捉えてください。
交渉力
交渉力とは、さまざまな利害関係を踏まえた上で、適切な落としどころを探る能力のことです。
コンサルタントにとって、最終的なゴールはクライアントの課題解決にほかなりません。理想論にもとづく提案に終始するのでなく、クライアントの実態を踏まえた提案になるよう、さまざまな解決策を検討し、調整していく必要があります。
一方、クライアントから了承を得やすい場当たり的な提案をすればよいというものでもありません。本質を捉えてクライアントに課題認知を促すとともに、納得して意思決定をしてもらうための説得力も必須です。
プロジェクト管理能力
プロジェクト管理能力とは、プロジェクトにおけるスケジュール設定と進捗管理を適切に行う能力を指します。コンサルタントが関わるプロジェクトでは、具体的な期限を設定するのが一般的です。クライアントの課題解決へと期限内に到達できるよう、逆算しながら各方面を調整し、進行するプロジェクト管理能力が求められます。
実際には、プロジェクトが当初の予定どおりに進行しないケースも少なくありません。遅れを取り戻せなくなる前に先手を打ち、対応策を講じていく必要があります。
専門知識・スキル
コンサルティングに携わる領域における専門知識やスキルも、重要な要素といえます。コンサルタントが活躍する領域はIT、業務改善、人事、企業・事業戦略など多岐にわたっており、各領域において求められる専門性が異なるからです。企業が求める専門知識・スキルを備えていることは、必須条件となります。
また、近年は企業が抱える課題のテーマが多様化しているのが実情です。DX推進やSDGs、サステナビリティ推進、リスクマネジメントといった難度・重要性ともに高い課題に対処できる知識・経験が求められるケースも少なくありません。新興分野へのアンテナを高く張っているか、情報や知識を豊富に備えているかといった点も評価対象となります。
コンサルタントのキャリアパス
コンサルタントのキャリアパスにはどんなものがあるか、下記で見ていきましょう。
▼コンサルタント未経験者がコンサルティング業界へ転職する場合
事業会社で培った知見・経験を活かしコンサルタントへ転職する
事業会社で経営企画などの戦略立案経験がある人や、業務改善・DX推進などに携わっていた人が、コンサルタントへ転職するのも、コンサルタントを目指す人の代表的なキャリアパスです。
転職理由としては、自社の成長スピードが鈍化していて、頭打ちの様相を呈していたり、現状の業務に物足りなさを感じていたりするケースが想定されます。あるいは、個人としてのスキルアップをいっそう図りたいといった理由で転職に踏みきる人もいるかもしれません。
前述のとおり、近年は30代後半~40代のミドル層の人材ニーズが高まっており、この年代の方が事業会社からコンサルタントへ転職するケースが増えつつある状況です。コンサルタントとして経験を積んだのち、再び事業会社へ転職するといった流れも多く見られます。
▼コンサルタント経験者が同業界で転職する場合
ほかのコンサルティングファームへの転職でキャリアアップを図る
コンサルタント経験者が転職を検討する際に多く見られるキャリアパスとして、これまでの領域や規模とは異なるほかのコンサルティングファームへ転職し、キャリアアップを図る方法が挙げられます。
主な転職理由としては、ポジション・年収アップの実現や、扱うテーマの変更によるキャリアチェンジなどが想定されます。例えば、ITコンサルタントなどの専門分野に特化したコンサルタントから、企業の経営戦略全体を視野に入れる戦略コンサルタントへの転職などが好例です。
一方で、反対のパターンもよくある事例です。より専門領域に特化したIT・人事・リスク管理などのコンサルタントへ転職するケースもあります。コンサルティングファーム間での転職であれば、このようにさまざまなキャリアパスが想定されます。
コンサルタント経験後は多様なネクストキャリアが考えられる
コンサルタント経験者のキャリアパスは、人によってさまざまです。事業会社の経営企画部門や、専門知識を活かせる部門に転職するケースも多く見られます。シニアコンサルタントやマネジャークラスの経験者であれば、ベンチャー企業や外資系企業から、幹部候補や管理職クラスなどの好待遇で迎えられる可能性もあるでしょう。
いずれの場合も、コンサルタントとして経験してきた階級や実績によるところが大きいといえます。実力次第では引く手あまたの状態となることが想定されるため、自分の意思で多様なキャリアを選択していくことも可能です。 こうした状況を現実のものにするためにも、コンサルタントに転職する際には、当面の働き方や仕事内容だけでなく、中長期的にどのようなキャリアを築いていきたいのかを念頭に置いて動くことが求められます。
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コンサルタントへ転職する際に対策しておくべきポイント
コンサルタントへの転職を考えている人が、対策をしておくべきポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、3つのポイントをご紹介しますので、コンサルタントを目指す方はぜひ参考にしてください。
キャリアの成功体験を再現性あるものとしてアピールする
大前提として、自身のキャリアにおける強みはどこにあるのか、キャリアの棚卸しを通じて把握しておく必要があります。その上で、今までどのようなプロジェクトに携わってきたのか、どのような役割を担い、プロジェクトを成功へと導いてきたのかを伝えられるようにしておくことが大切です。
また、こうした経験を過去の功績として語るのみでなく、それらの経験から得たスキルや知識を今後、いかなる環境下でも発揮できることを伝えなくてはなりません。なぜ、これまでの経験に再現性があるといえるのか、論理的に語れるよう準備しておきましょう。
ケース面接の対策をしておく
前述のとおり、コンサルティングファームの採用面接では、通常の面接に加えてケース面接が実施されることがあります。ケース面接では、即座に回答するのが容易ではない複雑なテーマに対して仮説を導き出し、論理的に説明できるかどうかが問われます。代表的な例として、「フェルミ推定」が挙げられます。
<フェルミ推定の出題例>
・現在、日本人が所有している傘の本数を試算せよ。
・日本で1年間に消費される割り箸の本数を試算せよ。
・日本における自動車業界の市場規模を試算せよ。
このように、実際に調査することが難しい数を、知識を使って論理的に概算するのがフェルミ推定です。試算結果が現実とあまりにもかけ離れていてはいけないものの、出題されるテーマによっては実際の数値データが存在しないものも少なくありません。
ケース面接において重視されるのは、仮説を立てる能力や仮説をもとに結論を導く能力です。こうした面接が実施されることを想定し、事前に対策を練っておく必要があります。
ミスマッチ防止のためにも、選考時には要件を入念に確認する
入社後のミスマッチを防止するための対策を講じておくことは、重要なポイントです。よくある失敗例として、業務内容のミスマッチやスキル面でのミスマッチが挙げられます。入社後にこうしたミスマッチが発覚した場合、早期退職の原因にもなりかねません。
入社後のミスマッチを防ぐには、アサインが予定されているプロジェクトの内容や、どのような役割を担うことになるかといった点について、解像度を高めておく必要があります。
ミスマッチ防止には、多様な選択肢を同時に検討することも大事
また、コンサルティングファームへの転職を検討する際には、多様な可能性を同時に検討しておくとよいでしょう。場合によっては、コンサルティングファームよりも事業会社や監査法人・代理店といった業態のほうが自分のやりたいことができる可能性もあるかもしれません。
コンサルタントへの転職といえばコンサルティングファーム、と決め込んでしまうのではなく、視野を広げて、考えられる選択肢を洗い出してみるのもよいでしょう。転職サービスを通じてキャリアアドバイザーにアドバイスを求めたり、ヘッドハンターから幅広く求人を紹介してもらったりするのもひとつの方法です。
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コンサルタントへの転職では、高度な知識やスキルが求められることに加え、一般的な採用選考とは異なるケース面接が実施されることも想定されます。
コンサルタントと一口にいっても、企業やプロジェクトによって携わる領域が大きく異なるのが実情です。自分の強みを最大限に活かせるフィールドを見つけるためにも、ヘッドハンターを通じて非公開求人を含むさまざまな案件の紹介を受けるのが望ましいでしょう。
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