ミドル・ハイクラス層が転職先で陥る5つのミスマッチ ギャップを埋める情報収集のポイント

30代〜40代のミドル層、およびハイクラス層のビジネスパーソンであっても、「思っていた環境と違う」「想像していた働き方ができない」など、転職後ミスマッチに気づくケースは少なくありません。

特に期待値の高いポジションでは、転職者と企業の事前のすり合わせ不足による認識のズレが、入社後に大きな違和感へとつながってしまうこともあります。

本記事では、ミドル・ハイクラス層の転職でミスマッチを防ぐために見抜くべき「5つのポイント」を解説。加えて、ミスマッチを事前に防ぐための情報収集や、自身の「働く上での条件」を言語化する方法をお伝えします。

転職先とのミスマッチは「情報のギャップ」から生まれる

転職先とのミスマッチの主な原因は、入社前後に生じる、転職者と企業側との「情報のギャップ」です。企業側が転職者について知らない情報があるケースはもちろん、転職者側が事前に聞いていた業務内容や職場の様子が実態と異なっている、または異なっていると感じることも、ミスマッチの大きな原因になります。

ミドル・ハイクラス層の場合、転職先とのミスマッチの原因で特に多いのが、「面接段階での確認不足」です。

即戦力としての活躍が求められるハイクラス層の転職では、採用する社員に期待されること、つまりミッションの抽象度が高いケースがほとんど。そのため、ミッションへの理解が十分でないまま入社すると、企業と転職者、それぞれが不満を抱くようになってしまう可能性があります。

即戦力であることを求められている以上、なかなか成果を出せない状態が続けば「求めている働きができていない」と企業から評価を下げられてしまう場合もあるでしょう。求められている役割や働きを入社前に十分に理解しておくことは、特に重要なのです。

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ミスマッチが顕在化するのは「入社3カ月目以降」

ミドル層のハイクラス転職でミスマッチが最も顕在化しやすいのは、「入社3カ月目以降」とされています。

経験豊富な人材とはいえ、新しい環境のルールやミッションを一通り把握するまでには入社から3カ月程度の時間がかかるもの。3カ月目からがオンボーディングを経て実力を試され始める時期であり、仕事のやり方の違いや与えられたミッションに対する違和感を抱きやすいタイミングでもあります。

5つのミスマッチを防ぐために見抜くべきポイント

具体的にどういったポイントでミスマッチが起きやすいのでしょうか。ミドル層・ハイクラス層の転職で、特に注視すべき要素を5つご紹介します。

配属先となる部門の業務量

ミスマッチの原因として特に多いのが、「想定よりも仕事が多い」といった、業務量に関わる認識の相違です。選考時に確認したつもりでも、いざ入社してみると、想定以上の業務を任されてしまうケースも少なくありません。

転職者が入社前にするべきは、「全社平均」ではなく「配属先となる部門の業務量」を企業に確認しておくこと。部門の業務量に関わる情報は、人事担当者に聞くよりも、現場の社員や配属先の部門長に質問したほうがより正確な答えが得られる場合があります。面接時の逆質問や、カジュアル面談などの機会を有効活用しましょう。

質問をする際も、「業務量はどれくらいですか?」といった抽象度の高い聞き方では、本当に必要としている情報が得られない場合もあります。例えば「私は入社後に、経営企画部で新規事業開発に携わるイメージをしている」「私に課されるミッションで、業務内容の詳細と業務量を教えてほしい」と、自らの認識と具体的な情報を組み合わせて質問することで、より実態に近い回答を得られる可能性が高まります。

また「繁忙期と閑散期」や後述する「事業フェーズ」など、企業のその時々の状況下によって業務負荷が変わる場合もあるでしょう。あわせて確認できれば、業務量に関わるミスマッチを避けられる可能性が高まります。

キャリアアップ機会の有無

「より大きな意思決定に関わりたいが、実際はオペレーションに関わる管理業務が中心になっている」「役割や経験できる仕事の幅が、前職と大きく変わらない」など、業務を通じてキャリアアップの実感が得られないことも、ミスマッチの原因になります。

こういったギャップは、これまで豊富な経験と実績を積んできたミドル・ハイクラス層ほど強く感じやすい傾向があります。「次にどういった経験を重ねられるのか」「今の経験が、今後のキャリアにどうつながるのか」と考えたとき、成長を感じられない業務が停滞感につながりやすいのです。

そうならないためには、入社前やオファーを受けたタイミングで、自分の希望する業務とそれに携わることができるのかを確認し、必要であれば自ら働きかけておくことが大切です。

一方で、「仕事の手応えがあるか」は、ほとんどの場合、入社前の時点で判断できるものではありません。入社後に違和感を持った場合も、まずは「この業務ではキャリアアップできない」と考えるのではなく、「この業務を起点にして、どのように役割を広げていくか」また「既知の業務からなにを学び、どう次につなげていくか」と視点を切り替えることで、仕事の捉え方やモチベーションが変わる場合もあるでしょう。

意思決定スピードが遅い・早い

転職先となる企業の意思決定スピードも、働きやすさや働きがいに直結する重要な要素です。「早く業務で成果を出したいのに、組織の判断が遅い」、逆に「意思決定のスピードが早すぎて、リスクのある案件も慎重に進められない」といった場合もあるでしょう。

ミスマッチを防ぐため事前にチェックしたいのが、「どの階層に最終決定権があるのか」ということです。例えば、部門決済のみで稟議を進められる職場環境であれば、業務は迅速に進むでしょう。対して、すべての案件に役員クラスの承認を要するルールであれば、意思決定の精度は高まるものの、業務のスピード感は損なわれてしまうかもしれません。

それに加えて、「自分はどれくらいの決裁権を持てるのか」もあわせて確認できれば、「入社後に、どのような責任とスピード感で業務に当たるのか」をより具体的にイメージしやすくなります。

企業の意思決定スピードは、その業態や組織風土によって決まるもの。「大手企業はスピードが遅く、中小企業は早い」といった先入観で判断せず、企業それぞれの業務の進め方を確認し、ミスマッチが起きないように努めましょう。

企業の変革度

例えば「安定した環境を求めて転職したら、実際は部門再編の真っ最中で、想像以上に混沌とした環境だった」など、企業の規模感や創業年数の長短にかかわらず、組織のフェーズによって働き方は大きく変わります。

特に重要ポストで新たな採用を行う企業の多くは、事業拡大・展開を控えた「攻めのタイミング」にあり、社内ではダイナミックな変化が起きているケースが少なくありません。こうした環境下では、転職したばかりの社員であっても「与えられた役割をこなす」だけでなく、「自ら役割を見つけ、価値を発揮する」姿勢が求められるでしょう。

こういった入社後のミスマッチを防ぐには、組織のフェーズに関わる事前の情報収集が必要になります。面接で直接聞くのはもちろんのこと、業界動向やIR情報、ヘッドハンターへの確認を通し、企業の現状を俯瞰しておくと、その企業が「攻め」と「守り」のどちらの状態にあるかを想像しやすくなるでしょう。

評価軸

成果やアウトプットを重視する、またはプロセスを含めて総合的に判断するなど、評価制度のあり方も企業によって大きく異なります。

こうした評価軸の相違が、入社後の納得感やミスマッチにつながることもあります。このギャップを防ぐには、選考段階で「求められる具体的なアウトプット」や評価の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。

またハイクラス層の転職では、プロセスの遂行は前提とした上で、「個人や組織としての成果」を問われるケースが多いことも覚えておきたいポイントです。

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ミスマッチを防ぐための情報収集に注力する

こうしたミスマッチを未然に防ぐためには、選考フェーズで、転職先となる企業を多面的に、かつ深く理解することが欠かせません。表面的な条件だけでなく、実態を捉えるためには、どのような情報収集をするのがよいのでしょうか。

求人票を読み解く

求人票は、人材の募集要項であるだけでなく、企業がイメージする「理想の人材像」がまとめられた貴重な情報源です。中でも「募集背景」と「業務内容」の2点は、意識的に読み込むようにしましょう。

「募集背景」は、そのポジションで求める人材に対して採用側が定めた要件で、「なぜ今、私たちにその役割が必要なのか」という企業の切実なニーズがまとめられています。

「業務内容」には具体的なミッションも含まれており、詳細に目を通すことで、入社後の自身の動きをより解像度高くイメージできるようになるでしょう。これらの記述から企業の募集背景と意図を読み取ることが、ミスマッチを防ぐ第一歩となります。

なお、ハイクラス層に向けた求人には、企業の新規事業や経営の中核に携わるものなど、秘匿性の高いものも少なくありません。「募集背景」に関しては事業戦略の機密性などから募集背景が明記されていないケースも多く見られます。

そういった求人情報を確認する際は、面接の場で直接確認するかヘッドハンターを通した情報収集をして、求人票を読み解いていくことが重要になるでしょう。詳しくは、後述の『逆質問』『転職サービスの活用』に関する内容で解説します。

面接で逆質問し、期待値をすり合わせる

面接での逆質問は、応募者が企業の担当者へ直接質問ができる貴重な機会のひとつです。「面接で、自分を評価してもらうためのアピールの機会」と考える人も少なくありませんが、直接聞かねば分からないことを質問するなど、企業の情報を主体的に得られる場として活用するようにしましょう。

外部からの情報だけでは見えない実態も多いため、懸念があるポイントについては積極的に確認すべきでしょう。より細かく双方の認識をすり合わせるためには、「私はこのように理解しているのですが、いかがですか?」のように、自身の考えを伝えながらの質問も有効です。入社前の徹底した対話こそが、互いの期待値をすり合わせる最良の手段となります。

転職サービスを活用して、認識のズレを正す

ミスマッチをなくすためには、転職サービスの活用も有効です。企業側の情報を保有している第三者が介在することで、情報の理解度が高まり、よりスムーズに転職活動を進められるようになるでしょう。

特に、応募先企業と深い接点を持つヘッドハンターは、求人票だけでは読み取れない「生の情報」を保有しています。「このポジションの真のミッションは」「求められるアウトプットの具体像は」といった一歩踏み込んだ質問を投げかけることで、実態に即した情報が得られるでしょう。

また、情報収集の中で「理解したつもり」になり確認を怠っている事実や情報の認識を正すことにも、ヘッドハンターとの対話が有効です。入社前の主観的な思い込みは、ミスマッチの大きな原因のひとつ。事前にヘッドハンターへ質問・確認をして、思い込みによる認識のズレを、可能な限り打ち消せるようにしましょう。

企業を理解するための切り口を知る

面接や求人票、IR情報などから要素を集めても、それぞれを個別に眺めるだけでは企業の実態は見えにくいものです。

ミスマッチを防ぐには、得た情報を一定の切り口で整理し、「自分に合う環境か」を見極める視点を持つことが重要です。

入社前に得られる情報から企業を深く分析したいときは、その業態や組織規模、直近の事業フェーズなど、それぞれの要素を組み合わせることで、企業の特徴やカルチャーを類型化できる場合があります。具体的にどのような要素に注目し、企業の実態をつかむかについては次の『企業を理解するための切り口とは?』で解説します。

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企業を理解するための切り口とは?

企業の実態は、一部の要素や業態に注目することで、その特徴や傾向をある程度予測することが可能です。特に注目すべきは、以下の3つの要素です。

  • 企業規模

従業員数や売り上げ規模など

  • 事業フェーズ

導入期(0→1):事業・組織が未完成な段階

拡大期(1→10):事業が急成長し、組織化が進む段階

成熟期(10→100):事業が安定し、シェア・利益を最大化する段階

再生期(第二創業):既存事業を見直し、事業転換や多角化を行う段階

  • ビジネスモデル

顧客:(例)BtoB、BtoC、BtoBtoC

商材:(例)有形、無形(コンサルティング・サービスなど)

収益:(例)売りきりの「フロー型」、サブスクリプションなどの「ストック型」

これらを組み合わせることで、例えば以下のように企業の特徴を想像することができます。

メガベンチャー × 成長期(IPO前後) × BtoB事業(無形商材)

メガベンチャーならではの豊富な既存資産や顧客基盤を活かしたダイナミックな挑戦ができる一方で、スタートアップ並みの事業変革や意思決定の早さが同時に求められる傾向にあります。

ITサービスのような無形商材を取り扱う企業は、市場の反応をうかがいながら、柔軟かつ短いサイクルでプロダクトの改善を行わなければいけません。市場変化へ素早く反応するため、事業運営でもスピード感が求められるでしょう。

中小 × 成熟期 × BtoB事業(有形商材)

長年にわたり法人向け市場が確立されている製品を手掛けており、組織や体制・収益が安定している企業であると予想できます。

独自の技術や製品を持つ企業では、その優位性により一定の収益を上げる一方で、高い品質とサポートを維持するため、事業運営でも「安定していること」が重視される場合があります。また、有形商材を取り扱っている場合、製造・リコールなどの不可逆なリスクがあるため意思決定が慎重になりがちです。組織の体制は安定している一方で、手掛けるプロジェクトは前例踏襲型のものが多く、前例のない新規事業に取り組む機会は少ないかもしれません。

このように、得た情報を組み合わせれば「企業のおおよその傾向や特性」をイメージすることができます。

この方法で企業の特徴を予測するためには、自ら情報収集を行うことが大切です。会社の沿革やIR情報、さらには業界動向や競合他社との比較を通じて、その企業の「現在地」を正しく把握することが、予測の精度を高くするためのポイントになるでしょう。

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自分の働きやすさの条件を言語化する

どれほど企業の情報を集めても、「自分が求める働き方」の基準があいまいでは、それに合う環境かどうかを見極めるのは難しいもの。企業分析をミスマッチ防止につなげるためには、まず自分自身が理想とする「働き方の条件」を言語化しておくことが不可欠です。

積み上げてきたキャリアや経験によって、かえって「自身が真に何を大切にしているのか」を整理しきれなくなってしまう場合も少なくありません。そして、経験豊富なミドル層であるからこそ、「自分のことは分かっているから」と、この過程をスキップしてしまう場合もあるでしょう。自らの理想を見失わないように、転職活動の過程で「理想とする働き方」や「取り組みたいこと」を改めて言語化する時間を設けましょう。

働きやすさを言語化するときは、「理想とする働き方や興味の対象を書き出し、優先順位をつける」や「過去の経験から、印象的な瞬間を書き出す」といった方法が有効です。要素を書き出す作業を通して、自分の思わぬ理想や価値観が見つかることもあるでしょう。

そうして見つけた「転職の軸」と企業分析の結果を冷静に突き合わせることが、入社後のミスマッチを最小限に抑え、納得感のあるキャリアを選択するための確かな指針となるはずです。

【関連記事】ミドル層の転職成功のカギは「キャリアの棚卸し」  効果的な手順やコツを現役キャリアアドバイザーが解説

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一人で向き合うだけでは見落としてしまいがちな自身の本音も、第三者の客観的な視点を通すことで、新たな角度から再発見できるはずです。自らの理想をより鮮明にするためのパートナーとして、プロの知見を賢く活用してみませんか?

文=スギモトアイ/編集=伊藤 駿(ノオト)

有泉 玲児(ありいずみ れいじ)

国家資格キャリアコンサルタント

新卒でパーソルキャリアに入社後、一貫してキャリアアドバイザーとして転職支援に従事。延べ1500人以上の相談を通じ、製造・建設・不動産業界の技術職や専門職、ミドル・マネジメント層を中心に支援。転職をゴールとせず、自己分析やキャリア設計など転職前段階から伴走し、一人ひとりに寄り添った支援を大切にしている。

<メッセージ>
ミドル・ハイクラス層の転職では、年収やポジションといった条件面に目が向きやすい一方で、企業が重視する期待役割や評価軸とのズレにより、入社後にミスマッチを感じてしまうケースも少なくありません。
大切なのは、表面的な求人情報だけで判断するのではなく、「自分には何が期待されているのか」「どんな価値を発揮することが求められるのか」を正しく理解することです。
この記事が、ご自身の強みや志向を整理し、納得感のある選択をするための一助になれば幸いです。

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