戦略コンサルタントに向いている人とは?仕事内容や転職のコツを解説

戦略コンサルタントへの転職を目指すにあたっては、具体的な業務内容を理解したうえで、転職活動のポイントを押さえておくことが重要です。

この記事では、戦略コンサルタントの役割や業務内容、必要とされるスキル・経験、キャリアパスについて解説します。転職する際に押さえておきたいコツや注意点もまとめていますので、転職活動の準備を進める際に役立ててください。

戦略コンサルタントの役割

戦略コンサルタントは、クライアント企業が抱える課題解決や発展のために、中期経営戦略や事業戦略を、あらゆる観点から総合的に提案する役割を担う職種です。経営方針に直接影響を与える提案をするため、仮説立てや分析能力、思考力、プレゼン能力などで高いレベルが求められます。

また、提案にとどまらず、戦略を実行するための支援に携わるケースも近年は増加しており、特定テーマに対する専門性も求められています。

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戦略コンサルタントの業務内容

戦略コンサルタントは、クライアント企業の経営戦略の提案やその支援がメインの業務となりますが、企業ごとの課題感によって、戦略コンサルタントに求められる役割も大きく異なります。そのため、実際の業務内容は多岐にわたるのが実情です。

戦略コンサルタントの具体的な業務内容の例として、下記のようなものが挙げられます。

中期経営戦略や事業戦略の策定

企業は、継続的な事業成長および発展のために、3~5年後を見据えた、中長期的な視点で今後の事業戦略やそれにひも付く組織目標を計画します。その中期経営計画の策定支援や提案を行うのが戦略コンサルタントの最も主要な業務内容といえます。

マーケティング戦略

マーケティング戦略とは、自社の商品やサービスを顧客に選んでもらうために、市場や顧客動向を分析して提供価値を検討した上で、どのようなターゲットにどのような手法でアプローチするのか、その方向性を決定することです。経営戦略や事業戦略と密接に関わるマーケティング戦略の立案・実行は、戦略コンサルタントの主要な業務のひとつといえます。

マーケターのメイン業務がマーケティング戦略の立案であるのに対して、戦略コンサルタントは経営戦略・事業戦略を立案した上で、それらを実現するための手段としてマーケティング戦略を策定する点が大きく異なります。また、クライアント企業のポジショニングを見極め、事業の方向性を定めるブランド戦略を手掛けるケースも珍しくありません。

M&A戦略

M&A戦略とは、企業の合併・買収の計画を指します。中期経営戦略の一環として、M&A戦略の立案・実行支援も戦略コンサルタントの重要な任務のひとつです。

クライアント企業が自社の事業を育てていくだけでなく、M&Aによって自社にない事業ノウハウや技術力の獲得を目指すケースもあります。買収ターゲットの選定や潜在的なリスクの洗い出し、M&Aによって得られるシナジー効果の可視化など、携わる業務は多岐にわたります。

新規事業戦略

新規事業戦略の策定や実行も、戦略コンサルタントの業務のひとつです。近年、国内人口の減少やテクノロジーの発展、それに伴う顧客動向の変化などを背景に、既存の事業以外に新たな事業の柱を確立したいと考えている企業は決して少なくありません。こうした企業の要望に応え、クライアント企業の強みを活かせる新たな事業展開について提案します。

また、昨今はグローバル戦略に関する提案を求められるケースも増加しており、国内市場にとどまらず、グローバル規模でのビジネスに関する知見が問われます。

人事・組織戦略

人事・組織に関する課題解決に、戦略コンサルタントが携わるケースも見られます。中長期的な企業の成長を考えたときに、社員の育成や組織の活性化は欠かせません。特に近年は、サステナビリティ推進に重きを置く企業も増加しつつあり、人事制度の再構築や人材育成体系のブラッシュアップ、リーダーシップ開発、パーパス策定といった、企業組織が抱える「人」にまつわる課題を解決へと導くことが重要なミッションとなるケースもあります。

DX戦略など優先度の高い経営課題の解決

近年の傾向として、DX戦略の策定および実行も、戦略コンサルタントの中核的な役割のひとつとなりつつあります。15歳以上65歳未満の生産年齢人口が減少に転じ、生産性向上や業務効率化が喫緊の課題となっている企業が少なくありません。戦略コンサルタントはこうした企業を高い知見を持って支援し、さまざまな経営課題を解決する役割を果たします。

単にITツールを導入・リプレイスするのではなく、経営課題を解決するための手段のひとつとして、DX戦略を提案する知見が必要とされています。

戦略コンサルタントに必要とされるスキルと経験

戦略コンサルタントへの転職を目指すからには、企業課題に沿った戦略立案に必要な知見やコミュニケーション能力を備えていることは前提条件です。このほかにも、戦略コンサルタントに求められるスキルは複数あります。ここからは、特に求められる主要なスキルについて紹介します。

論理的思考力

戦略コンサルタントに必要とされる能力の中でも、筆頭に挙げられるのが論理的思考力です。企業が抱える課題の抽出や解決に向けた推論・仮説立て、データ収集と分析、分析結果を裏付けるための検証、提案といったプロセスには、一貫して論理的思考力が求められます。

選考時に実施されるケース面接(※)を乗り切るための対策という意味にとどまらず、実務を遂行するための能力の柱として、論理的思考力が問われることは確実と考えてください。

※ケース面接:特定の課題について制限時間内に施策プランや解を導き出し、面接官に提案する形式の面接のことです。詳しくは後述しますが、企業の業績を伸ばす方法や市場規模の推計などが課題として出されるケースがよくあります。

高い専門性

戦略コンサルタントには経営戦略や事業戦略に関する幅広い知見が求められる一方で、高い専門性も求められます。特に近年は、サステナビリティ推進やDX推進など専門的な知識が必要となる多様な課題を抱える企業が増加傾向にあるからです。汎用スキルにとどまらず、企業の課題感やニーズに応える専門性を備えていれば、戦略コンサルタントへの転職を目指す上で大きな強みとなるはずです。

ヒアリング力・傾聴力

戦略コンサルタントにとって、ヒアリング力や傾聴力は必須の能力といえるでしょう。戦略コンサルタントは経営戦略・事業戦略に直結する課題に取り組む必要があるため、必然的に経営者や経営企画部門と対話する機会が多くなります。

企業が抱える課題は顕在化したものだけではありません。経営者との対話を重ね、深掘りすることで、潜在的な課題感を引き出すスキルが求められます。また、プロジェクトメンバーと円滑にコミュニケーションを図り、チームとして課題解決に当たることも重要な能力といえ、ここでもヒアリング力や傾聴力が必要です。

胆力

戦略コンサルタントにとって必要なスキル・能力として頭脳面が注目されがちですが、実は困難や課題へ物おじせず取り組む能力である胆力も重要な資質といえます。戦略コンサルタントは求められているミッションが企業の今後に影響を与えるものであることから、多くの場合、提案に向けて関係部署と調整する中で想定外の事態に直面したり、タフな交渉を重ねたりすることになります。困難な状況に直面しても最後までやりきる胆力は、戦略コンサルタントの土台となる能力といえます。

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戦略コンサルタントに向いている人とは?

戦略コンサルタントに向いている人は、どのような特徴があるのでしょうか。戦略コンサルタントに転職した後も活躍できる人材像について解説します。

時流に敏感で学び続ける姿勢がある人

ビジネスにおける重要課題は、時代の流れとともに移り変わっていきます。過去に習得した知識や培った経験を基盤としながらも、時代が求める新たなニーズを積極的に学び続けていく姿勢がある人は、戦略コンサルタントに向いている可能性が高いといえます。

そのため、常に学び続けることを苦痛に感じないかどうかは、戦略コンサルタントへの適性を見極める上で重要なポイントでしょう。

再現性の高い仕事ができる人

変化をいとわず、所属する企業や環境・状況が変わっても高い成果を出せるタイプの人は、戦略コンサルタントに向いているといえます。現職で優れた成果を挙げている人であっても、状況や環境が大きく変わると能力を十分に発揮できないケースは少なくありません。

再現性高く成果を出すには、定量的な成果指標にとどまらず、その成果に至るまでのプロセスや自身のスタンスを緻密に分析する能力や、成功要因・失敗要因を客観的な視点から把握する認知能力が問われます。こうした資質が備わっている人であれば、異職種から戦略コンサルタントに転職した場合も新しい環境で活躍できる可能性が高いでしょう。

自己管理・スケジュール管理能力がともに高い人

戦略コンサルタントが携わる案件の多くは、プロジェクト期間が数カ月から半年、長いものだと年単位にわたります。ゴールから逆算して計画を立て、進捗状況を着実に管理していく自己管理能力やスケジュール管理能力が欠かせません。

表層的なタスク管理だけでなく、本質的な目的を見失うことのないよう、自身を律していくことも自己管理能力に含まれます。自己管理能力・スケジュール管理能力ともに高いレベルで備わっていることは、戦略コンサルタントに向いている人の特徴です。

未経験から戦略コンサルタントへの転職は可能?

コンサルタント未経験者であっても、基本スキルをはじめ、経営戦略・事業戦略にひも付く専門知識や経験を前職で培ってきた人であれば、戦略コンサルタントへ転職することは可能です。可能とはいえ、難度の高い転職になることは認識しておく必要があります。

よくある転職事例としては、事業会社で経営企画や事業企画・DX戦略などの推進に携わっていた人が、戦略コンサルタントへ転職するといったパターンが挙げられます。

あるいは、戦略コンサルタントに近い業務に携わっていた人が、知見や経験を活かして戦略コンサルタントに転職するケースも少なくありません。特に、経験豊富な35歳以上のミドル層の転職においては、この傾向が色濃く見られます。職種としての戦略コンサルタントの経験の有無だけでなく、前職で携わっていた業務との親和性が問われます。

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戦略コンサルタントのキャリアパス

続いては、戦略コンサルタントを経験した後に、想定されるキャリアパスの例をご紹介します。戦略コンサルタントの経験を活かすことにより、多彩なキャリアを実現できるイメージをつかんでください。

事業会社の経営企画・事業企画部門への転職

戦略コンサルタントの代表的なキャリアパスとして挙げられるものには、事業会社の経営企画部門や事業企画部門への転職があります。携わってきた案件の特性に応じて、会社の経営全体を見ることもあれば、新規事業の開発を手掛けるケース、既存事業のグロースを担うケースなども考えられるでしょう。戦略コンサルタントとしてマネジャーやパートナーといった上位の階級で手腕を振るっていた経験があれば、実力次第では、ベンチャー企業などに幹部候補として迎えられる可能性もあります。

戦略コンサルタントは、あくまでもクライアント企業の課題解決に当たる役割を担うのに対して、事業会社では自社の課題に取り組む点が大きな違いです。所属企業の成長にダイレクトに貢献する仕事がしたい人に適しています。

投資銀行・ベンチャーキャピタル・PEファンドへの転職

投資銀行やベンチャーキャピタル、PEファンドへの転職を目指す方法もあります。戦略コンサルタントとして培ってきた知識や経験を活かすことにより、企業を客観的・論理的に分析し、経営に深くコミットして経営改革を推進することが可能です。

出向などにより数年にわたって投資先の経営を実際に担うこともあり、投資先候補の発掘や評価、経営支援、売却、新規上場などを経験することになります。意思決定者として経営課題への対応を経験し、戦略から実行まで主体性を持って業務に取り組むことで、企業価値の向上を担える高いスキルが得られるでしょう。

別のコンサルティングファームへの転職

コンサルティングファームから別のコンサルティングファームへと転職するパターンも選択肢のひとつです。例えば、扱う分野や領域を変えてキャリアの幅を広げたり、取り組む事業課題の規模や範囲を広げたりするケースが想定されます。

また、日系コンサルティングファームから外資系コンサルティングファームへ転職するケースやその逆のケースも少なくありません。戦略コンサルタントとしてスキルをいっそう研鑽し、キャリアアップを目指すことができるでしょう。

戦略コンサルタントに転職する際の注意点

戦略コンサルタントへの転職を実現する上で、選考対策などについて知っておきたいポイントを紹介します。戦略コンサルタントとして求められる条件を満たし、入社後のミスマッチを防ぐには、下記の3点を押さえた上で転職活動に臨むことが大切です。

コンサルタントならではの面接対策は必須

コンサルタントへの転職全般にいえることとして、業界特有の面接対策が必須です。コンサルタント志望者の選考では、多くの場合「ケース面接」が実施されます。

ケース面接とは、特定の課題について制限時間内に施策を検討したのち、面接官に提案する形式の面接のことです。限られた時間内で論理的に仮説を構築する能力が問われるため、さまざまなテーマを想定して対策を講じておく必要があります。

ケース面接では、「フェルミ推定」が出題されることがよくあります。フェルミ推定とは、実際に調査するのは容易ではないテーマについて、推論を重ねながら結論を導き出す思考法のことです。

例えば、「日本国内にマンホールの蓋はいくつあるか?」「日本におけるヘアアイロンの市場規模は?」といった問いに対して、仮説にもとづいて概算していきます。戦略コンサルタントの選考時には、こうしたケース面接に対応できるよう、対策を講じておくことが大切です。

経歴を具体的に論理立てて伝える

戦略コンサルタントに求められる論理的思考力は、自身の経歴を面接で伝える場面でも問われます。これまでに携わってきた業務や挙げてきた実績を単に羅列するのではなく、自分がどのような役割を担ってきたのか、プロジェクトを成功へと導くためにどういった貢献をしたのかを、具体的に語れるようにしておくことが重要です。

入社後に活躍することができそうな人材かどうか、採用側がイメージしやすいように論理立てて説明することがポイントといえます。前職で携わっていたプロジェクトが複雑で第三者からすると分かりにくい場合もあるでしょう。そうであっても、どのような案件でどのような過程を踏み成果を出したのか、聞き手である面接官が詳細にイメージできた状態であなたの経歴を聞けることが理想的です。それを念頭に置き、発言するよう心掛けるとよいでしょう。

コンサルティングファーム以外の選択肢を合わせてみておくことも大事

戦略コンサルタントに転職して自分は何を成し遂げたいのかといった大前提に立ち返ったとき、それを実現するためのフィールドがコンサルティングファームに限られるのかは一度検討しておくことをおすすめします。例えば、広告代理店でも、クライアントの事業戦略やブランディング戦略に携われることはあるでしょう。また、事業会社の経営企画・事業企画部門、または監査法人などでも中期経営戦略やその他経営課題に対して直接的にアプローチできるプロジェクトに携われることは十分にあり得ます。

このように、転職先の候補をコンサルティングファームに限定するのではなく、幅広い視野を持って検討していくことが大切です。

複数の選択肢を見ておくことによって、最終的に納得のいく転職が実現しやすくなるからです。そもそも自分は何を成し遂げたいのか、どのような仕事をしたいのかを明確にした上で、広い視野でさまざまな業態の企業を見ていくことが、転職成功のポイントといえます。

選考を通じてポジションの解像度を上げていくことを意識

入社後のミスマッチを回避するには、応募者側から働きかけて自分のイメージしている働き方やポジションと相違がなさそうか、すり合わせをしていくことも重要なポイントです。戦略コンサルタントはクライアント企業の要望や状況によって、扱うテーマや関わり方、支援する際のスタンスが大きく異なるため、入社後のギャップが発生しやすいものと捉えておく必要があります。

その上で、いかにギャップを最小限にとどめるかを考え、対策を講じておくことが大切です。実際に携わることになる案件や、配属予定のプロジェクトなどについて気になる点は質問し、働くイメージの解像度を上げたうえで入社を決断するのが望ましいでしょう。

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戦略コンサルタントが携わるプロジェクトは非常に幅が広く、求められるスキルや経験も企業によってさまざまです。コンサルティングファームはもとより、多様な業界・業態の企業を選択肢として検討しておくことによって、希望していた働き方がかなう確率が高まります。

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小野寺 昌子(おのでら・まさこ)

dodaキャリアアドバイザー

新卒で、日系自動車メーカーに入社し、エンジンの新製法技術開発の業務に従事。その後、外資系産業装置メーカーで産業用熱交換機の技術営業、外資系計装装置メーカーでプロダクトマネジャー、営業企画、マネジメントの経験を経て、自身の転職経験を活かしたキャリア・就業支援をしたいと考え人材業界へ転身。外資系エグゼクティブのヘッドハンティングを含む両手型エージェントに従事。その後、2014年に株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社。キャリアアドバイザーとして、機械・電機を中心とするメーカー領域、コンサルティング領域、企画職領域に従事している方を担当後、現在は、企画職領域で、転職市場の実情を社内外に発信する役割も担う、キャリアアドバイザーエキスパートとして就業従事。

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