スタートアップとは?ベンチャーとの違いや転職のメリットを解説
スタートアップとは、革新的な技術やアイデアで急速な成長を目指す企業のことです。近年、スタートアップへの転職を希望する人が増えています。しかし、ベンチャーとの違いや、転職するメリット・デメリットについては、まだ十分に知られていないのではないでしょうか。
この記事では、スタートアップのメリット・デメリットのほか、向いている人の特徴や、転職する際の注意点について解説します。
スタートアップとはどのような企業か?
スタートアップという言葉は、もともとアメリカで生まれたものです。すでに安定的なポジションを得ている既存の企業を相手に、より先進的な技術やアイデアを武器に、ゼロから新たなニーズやビジネスモデルを創出し、短期で急成長を目指す企業を指す言葉として、広く使われるようになりました。
スタートアップと聞くと、その言葉のイメージから「設立間もない企業」というイメージを抱くかもしれませんが、本来は会社の設立時期は関係ありません。
スタートアップとベンチャーの違い
スタートアップと似たような意味を持つのが、ベンチャーです。ベンチャーには「投機的」「リスキーな試み」といった意味があります。アメリカの投資家が使っていた言葉で、本来は「Venture Capital(ベンチャーキャピタル)」のように、投資する側を意味するものでした。
ところが、この言葉が日本に入ってくると「ベンチャー企業」という言い方が生まれ、既存のビジネスモデルをベースに、新しい商品やサービス、ビジネスモデルを創造する中小企業を指す言葉として使われるようになりました。一方、スタートアップは、今までの常識を打破し、過去にはなかった新しいビジネスを展開する企業を指します。革新性があるかどうかが大きな違いといえるでしょう。
スタートアップとスモールビジネスの違い
スタートアップと混同されがちな言葉として、スモールビジネスがあります。スモールビジネスは既存の事業を小規模に始められる事業のことで、定義はありませんが、従業員5人以下の事業を指すことが多いようです。事業規模を指すため、ベンチャーともスタートアップとも意味合いは大きく異なります。
スモールビジネスに向いている業種としては、ネットショップ、Webサイト制作、プログラマなどが挙げられます。
スタートアップとスモールビジネスの大きな違いは成長曲線です。
スタートアップは、新しい市場を予測し、これまでにない革新的な事業を展開します。そのため、創業初期は経費がかかるばかりで、赤字が積み上がっていくことが多いでしょう。事業が世の中に受け入れられると急速に市場が形成され、その中で急成長を遂げていきます。「J字カーブ」または「U字カーブ」と呼ばれる急激な成長曲線を描くのが特徴です。
一方のスモールビジネスは、すでに顕在化しているニーズや市場を対象に、既存のビジネスモデルで小規模に事業を展開。そして、自社が持っている新たなアイデアや独自技術を武器に、長期的な成長を目指します。そのため、成長曲線はほぼ直線、あるいは直線に近い緩やかなカーブが理想です。
スタートアップとスモールビジネスでは、理想とする成長曲線が異なることにより、組織構成や事業成長の時間軸、必要とする人材の違いが生じます。
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スタートアップで働くメリット
スタートアップで働くことには、メリットもデメリットもあります。転職先にスタートアップを選ぶ際には、それらを踏まえて検討することが大切です。
まずは、スタートアップで働くメリットから見ていきましょう。
裁量が大きく、広い権限を持って働ける
急成長を理想とするスタートアップは、当初は必要最低限の少人数で運営されることが多くなっています。そのため、従業員間、部署間の垣根が少なく、仕事の幅や深さを広げていきやすい環境です。
仕事量が増える半面、幅広い裁量権を与えられ、自分の手で事業を動かしている実感を強く得られます。
また、経営者と現場との距離が近く、自分の意見が経営に取り入れられやすいという点も、やりがいを感じられるポイントでしょう。
意思決定が迅速である
スタートアップは急速な成長を遂げて、M&AやIPOなどによって、短期間での投資金額の回収を目指すため、スピードを重視します。経営の意思決定も速く、大企業に見られがちな、一つの合意形成に多くの時間や工数をかけることが基本的にありません。
「検討に時間をかける」というより、「まずは実行、動きながら検討する」スタイルが多いのが特徴です。
また少人数の組織なので、稟議を通す必要がある階層が少ないというのも、意思決定の速さにつながっています。時間やプロセスを消費せず、すぐに決めてすぐに動けるという環境は、従業員にとってもストレスのない環境といえます。
多様な人材を採用している
これまでの常識が常識として通用しないことも多いVUCA時代。年齢や価値観、バックグラウンドなどが異なる多様な人材を採用し、それぞれの能力が十分に発揮できる環境や制度を取り入れる企業が、不測の事態にも対応できる強い組織だといえるでしょう。
柔軟性が高く、自由な企業風土
新たなニーズや市場を創出するスタートアップは、既存のセオリーや慣習にとらわれない傾向が強いものです。急成長を実現することが最優先なので、そのために注力事業や社内の体制などを時と場合に合わせて変化させていく柔軟さがあります。また、ユニークな制度や福利厚生を備えている企業もあります。
スタートアップで働く上での留意点
スタートアップでの就業には、留意しておくべき点もあります。転職する前に知っておきたい、スタートアップで働く上での主な留意点は、下記のとおりです。
給与や制度などの待遇面が希望に沿わない場合がある
スタートアップは創業から利益が出るまでに、ある程度の時間がかかります。これは、スタートアップの特性といえるものですから、仕方のないところです。そのため、創業間もないスタートアップへの転職は、給与や福利厚生の面で十分とはいえない場合があるでしょう。
「年収や待遇」と「その会社で得られる経験」を比較したときに自分にとって最適なバランス、何を得るための転職なのかをよく考えて意思決定することが重要です。
裁量が大きい分だけ責任も大きい
スタートアップで働くメリットとして、裁量や権限が大きいことを挙げましたが、これは裏を返せば、大きな責任を負うことにもなります。そのプレッシャーをストレスに感じる人も多いでしょう。
自分の仕事の範囲を超えた幅広い裁量を与えられてしまうと、判断がつきにくい上、自分の仕事に集中できないということも起こります。少人数のスタートアップならではの傾向として、従業員一人ひとりの責任の大きさや仕事量が多い傾向がありますので、注意が必要でしょう。
しかし、大きな裁量を与えられるということは、それだけ期待されているということです。その期待に応えるべく、責任と覚悟を持って裁量権を行使していくことが、自分自身の成長にもつながっていくはずです。
社内体制が変わる頻度が高い
スタートアップでは、事業成長や利益率向上をよりシビアに判断するため、事業のピボットや社内体制の変更などが短期間で起こることが珍しくありません。それによって、自身の業務内容や役職、果たすべきミッションの内容などが上書きされることになります。
これは企業の柔軟さというメリットの裏返しでもありますが、企業としての方針や組織構成が大きく変わると、実働する現場は混乱しがちです。一つの作業を集中して行いたい人や、安定した環境を求める人は、こうした変化がストレスになることもあるでしょう。
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スタートアップに向いている人の特徴
さまざまな特徴を持つスタートアップですが、当然ながら、その環境に向いている人と向いていない人がいます。ミスマッチがある状態で安易に転職してしまうと、本人にとっても会社にとっても、良い結果にはなりません。
スタートアップに向いている人の適性とはどのようなものでしょうか。
変化に柔軟に対応できる人
スタートアップでは、より速く事業を成長させるために「一度決めたことでも運用してみて効果が上がらなければ、すぐに別の方法を試す」「全体の大枠だけ決めておき、細部は運用しながら詰めていく」というやり方もよく見られます。まさに、動きながら考えるというスタイルです。
こうした柔軟なやり方に抵抗がなく、変化することをいとわない人、自分自身の変化にも意欲がある人は、スタートアップに向いているでしょう。
現場で手を動かしながらスピード感を持って意思決定できる人
スタートアップでは、さまざまな問題や課題をスピーディーに解決し、さらに先に進むことが求められます。例えばマネジャークラスであっても、自ら現場で課題に切り込んで、解決を主導していかなければならないこともあるでしょう。不定形な課題を前にしたときも、細かく意思決定をしながら、プロジェクトを進める姿勢がスタートアップには求められます。
マルチタスクができ、多様な業務を「自分ごと」として捉えられる人
少人数で事業を展開するスタートアップでは、従業員の一人ひとりが複数の領域をカバーし、同時進行で業務を進めていくこともあります。このような環境では、マルチタスクが得意かどうかはもちろんのこと、自分の役割を決めつけすぎず、事業成長や利益率向上のために必要なことを幅広く「自分ごと」と捉えられるかがさらに重要な資質になります。
一つのことに集中したいというタイプの人にも活躍の場はありますが、どちらかといえば、常に複数の業務を抱え、素早く処理していける人がスタートアップに向いている人材といえます。
自分の意見を軋轢を恐れずに伝えられる人
他者との相違を恐れず自分がいいと思った意見を積極的に伝えていく姿勢を持つ人は、スタートアップに向いているといえます。
立場によって意見に相違があるのは当然のことで、その相違をコミュニケーションによってすり合わせ、どこに着地させるかが重要です。
異なる意見をぶつけることは、衝突ではなく議論です。実りのある議論を経てこそ、より洗練された結果を生み出すことができます。それを理解し、意見を伝えられる人は、スタートアップにマッチした人材といえるでしょう。
スタートアップに向いていない人の特徴
一方で、スタートアップには向いていない可能性がある人もいます。一概にはいえませんが、向いていない人の特徴について紹介します。
安定を求める人
先ほども触れましたが、スタートアップは、事業の方向性や業務の進め方などについて大幅な転換を行うことがよくあります。そのたびに現場の指示系統が変わったり、手掛ける業務内容が変わったりするため、従業員が混乱を来す可能性もあります。
環境の変化を嫌う人や安定的な状況の中で一つの仕事に集中したいという人にとって、スタートアップは居心地の良い職場とはいえないかもしれません。
指示を受けて納得してから動きたい人
上司から指示や指導を受けずとも、自分の裁量内で判断して行動する主体性がないと、スタートアップで活躍するのは苦労するでしょう。
また、スタートアップでは、十分な議論や検討がなされていなくても、まずはやってみることが優先される場面もあります。
動きながら考えることが求められるので、しっかりと納得してから動きたい人にとってはストレスに感じることもあるかもしれません。
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スタートアップへの転職の際は、まず自分の適性を確認してみよう
先進的な技術やアイデアで急成長を目指すスタートアップと一般的な企業とでは、求められる適性に違いがあります。スタートアップへの転職を考えるなら、まずは自分自身の適性とスキルをチェックして、スタートアップに向いているかどうか、確かめてみるといいでしょう。
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