「出世したくない」昇進を断るリスクは?キャリア戦略も解説

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時代が移り変わるにつれ、昇進・出世を望まない人が増えていると言われています。
会社に入ったら課長や部長を目指すのがあたりまえという価値観は既に過去のものとなり、多様な働き方が肯定されるようになっています。

しかし、昇進・出世を目指さない生き方にはデメリットもあります。この記事では、昇進・出世したくない人の実情と、その場合に伴うリスクを紹介します。
また、昇進を断る場合のポイントや伝え方も解説します。

INDEX(読了時間8分)

日本では昇進・出世したくない人が圧倒的に多い

現代の日本では、出世したくないと考える人の割合が増えていると言われています。パーソル総合研究所が日本を含むアジア太平洋地域(APAC)14の国・地域を対象に2019年に行った調査では、日本では管理職になりたい人の割合が21.4%しかなく、対象地域の中で最も低い数値でした。
※「APAC就業実態・成長意識調査(2019年)」パーソル総合研究所

では、管理職になりたくない、出世を望まないのはなぜでしょうか。その理由と心理についてまとめました。

「昇進・出世したくない」人に考えられる心理

価値観が多様化した現代では、仕事を最優先にしない人も増えています。出世をしたくない理由にはいくつかのパターンがあります。

責任を負いたくない、自信がない

出世して役職に就くと、責任が重くなり負担になるので出世したくないと考える人もいます。部下がいれば指導やマネジメントをしなければなりませんし、部下がミスをすれば責任を取らなければなりません。指導や育成に自信がない場合や、責任を負いたくないため役職者になることに積極的になれないのです。
他にも、同僚との出世争いに耐えられない人や、競争を望んでいないために勝負を降りる人もいます。

トラブルを避けたい

出世・昇進に伴うトラブルには、同僚からの嫉妬で悪い評判を立てられ、業務に支障をきたすことがあります。
また、女性が役職に就いた場合、女性に偏見を持つ人が否定的な言動を行い、職場がギクシャクすることもあります。
このような不利益を避けるために出世しないことを選択する人もいます。

給与が上がらない、出世しても得がない

努力して昇進しても残業が増えて責任が重くなるだけで給与が上がらないことが予想できるため、昇進したがらない人もいます。
管理職になると残業代がつかなくなり手取りが少なくなる職場も珍しくありません。ならば、出世しないほうが合理的だと判断し現状維持を望むこともあります。

仕事にやりがいや魅力を感じられないために出世を希望しない人もいます。上司にロールモデルがいない、人事評価に不信感がある、自分の能力を発揮できる業務がないなどの理由でモチベーションが上がらないのです。

現在の業務に没頭したい

現場の職務にやりがいを感じていて、現場で仕事を続けたいと考えるために出世や昇進を望まない人もいます。
直接人と関わり合う営業職、モノづくりの現場に携わる技術職、デザイナーなど専門職に就いている人に多くみられます。

こういったスペシャリスト志向の場合、現場を離れマネジメント業務に移るとやりがいがなくなると感じ、昇進を断ることがあります。

家庭の事情がある・プライベート時間を確保したい

出世を望まない大きな理由の一つに「家庭の事情」があります。責任がある役職に就くと、家族の体調不良などがあっても休みを取得しづらく、仕事との両立で苦しむこともあります。
家族の事情を別にしても、趣味などプライベートの活動に充てる時間を確保することを優先して、出世をしたくないと考える人もいます。

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昇進・出世を望まない働き方にはリスクもある

しかし、あえて出世しないという選択にはリスクも伴います。出世を望まなかった場合のデメリットを考えてみましょう。

1. マイナス評価・減給

出世を断ると人事評価や給与が下がることがあります。自分では現状維持を続けているつもりでも、成長や変化に消極的で自己研鑽の意欲がないというネガティブな印象を会社に与えてしまうのです。

また、役職限定の研修などスキル取得の機会を持てないために相応のスキルが身につかず、その結果、社内評価が下がり給与が下がることもあります。

2. 会社に居づらくなる

昇進せずに年齢を重ねた場合、同期が出世して役職に就いてしまうと、劣等感を抱いてしまい仕事のパフォーマンスに影響が出ることもあります。

あるいは、出世自体は望んでいなくても、実際に年下の上司に指示されたり人事評価されたりして初めて、自分がストレスを感じていることに気付くかもしれません。
また、年の離れた同僚になじめず孤立したり、周囲から「年齢が高くて接しにくい」と思われ敬遠されたりすることもあります。

3. 早期希望退職の対象になる可能性がある

出世を選ばないことで、早期希望退職のターゲットになる可能性があります。人生100年時代とも言われる現代では、定年まで勤められる保障はなくなりつつあります。
このような状況で、役職を持たないのに相対的に給与が高い立場にいると、人員削減の対象になりやすいのです。

4. いざ出世したくなってもできない

出世や昇進には、給与や仕事での裁量など社内的な信用に加え、社会的な信用が得やすいというメリットがあります。
不動産を購入したり、住宅ローンを組んだりする時などは、役職に就いていると有利になることもあります。

しかし、昇進を一度断ると、向上心がないと見なされ二度と出世コースに戻れなくなることが少なくないため、いざ出世したいとなっても後戻りが難しいのが現状です。

将来的なこともあります。一般的に、役職、管理職を目指す理由の一つに「年齢を重ねて体力的に現場が厳しくなっても会社でのポジションや収入を確保しやすい」ということがあります。

こういったことを踏まえ、今は問題なくても将来的に後悔することがないか、いろいろな角度から慎重に検討しましょう。

5. 転職が難しくなる

今の会社に希望が持てずに転職を検討しているなら、出世して役職を得たほうが良い転職先を見つけやすい場合もあります。
全く役職がないと、キャリアに相応するマネジメント経験やスキルがない、意欲や向上心がないと判断されてしまい、不利に働くこともあります。

会社に不満があり出世に興味が持てないなら、出世の話が出たタイミングで転職するか、いったん役職を得てスキルを実証してから転職先を探したほうが得策です。

うまく昇進・出世の話を断るにはどうすべき?円満に着地する伝え方

昇進・出世を断るデメリットがあることは承知のうえで、いろいろな理由で現状維持を望んでいて、出世はしたくないということもあるでしょう。円満に断って感情的なしこりを残さないための伝え方や例文を紹介します。

家族やプライベートを優先したい

育児や介護など家庭の事情で断るなら、正直にその理由を伝えましょう。

小さな子供や介護が必要な家族と同居しているなどの理由があれば、会社も納得しやすくなります。その場合、現状をはっきりと伝えておくと、プラスアルファでさまざまな配慮が受けられる可能性もあります。

プライベートを大事にしたいという理由で断る場合も、上司や会社の立場を尊重し、柔らかい言い方で伝えましょう。昇進の話を受けたその場では「少し考えさせてください」など返事を保留し、後日改めて丁重に断るなど、相手が受け入れやすい言い方になるよう努めましょう。

例文:
「昇進のお話をいただきありがとうございます。しかし、私事ではありますが、母の介護で時間の融通がきかないため、現状では現在の勤務時間や働き方が最適だと考えております。大変申し訳ありませんが今回は辞退させていただきたく思います」

現状に満足している・今の業務を続けたい

現場で今の業務を続けたい場合や現状に満足している場合も正直に伝えましょう。

家庭の事情などを口実にして断る方法もありますが、虚偽の理由を伝えたために後から矛盾が生じて困ったり、真実が発覚した場合に信用を大きく落としたりする結果になることもあります。

例文:
「昇進のお話をいただきありがとうございます。しかし、今の仕事内容に満足していますし、先輩から学びたいこともまだまだたくさんあります。申し訳ありませんが今回は辞退させてください」

自己評価から力不足だと感じている

自信がないので出世したくない場合もあるでしょう。
会社としても、役職や管理職に登用してみたが業務に支障が生じてしまっては困ります。

ですから、やはり自信がない、プレッシャーに耐えられないと自分の中で答えが出たなら、勇気を出して潔く断るのも一つの生き方です。その場合も、相手の立場や気持ちを尊重して、柔らかい言い方に努めましょう。

例文:
「評価していただきありがとうございます。しかし、正直なところ、任せていただける職務で結果を出して期待に応えられる自信がありません。今回は辞退させていただけませんでしょうか」

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昇進・出世したくない場合のキャリア戦略

昇進・出世したくない場合、キャリア戦略としては「役職のない立場で現状を維持して働き続ける」「専門スキルがあるスペシャリストを目指す」のいずれかを選択することになります。
しかし、現代社会においては、現状維持では早期希望退職の対象になりやすく、定年まで雇用を得られる可能性は低いでしょう。会社に残りたいのであれば、スペシャリストを目指すのが現実的です。

1. 専門性を磨きスペシャリストになる

今の会社で出世せずに働き続けるなら、専門スキルに秀でたスペシャリストを目指すことが大切です。

長年培った幅広い人脈など「あの人に頼めば大丈夫」「あの人にしかできない」というような会社に欠かせない人材になれば、役職に就かなくても長く働き続けられるでしょう。専門スキルを身に付けて、社内で替えがきかない存在を目指しましょう。

2. 副業やセカンドキャリアの道も探す

人生100年時代では、出世しないまま会社に残って十分に収入を得られる可能性は低くなっています。
したがって、副業などにチャレンジし、複数の収入源を確保しておくのも一つの方法です。正社員にこだわらず自分の知識を活かせる場を見つけ活路を得たり、新たな分野に飛び込んで起業してセカンドキャリアを切り開いたりという道もあります。

どちらも決して簡単な方法ではありませんが、出世とは別の面白さがあり、自分の思わぬ才能を発見できる可能性もあります。多様な働き方が認められつつある現代ならではのチャンスと考えて、こうした別ルートを模索するのも楽しいでしょう。

まとめ

会社にいても、昇進・出世を望んでいない人もいます。多様な生き方が肯定され推奨される時代ではありますが、出世を目指さないことで生じるデメリットもあります。どちらにしても、出世を断るなら、自分の意思を上手に伝えることが大切です。

また、出世を選ばない場合は、専門性を高めスペシャリストを目指したり、副業で収入源を分散させるなど今後のキャリアの道筋をつけるようにしましょう。

あるいは今の会社では出世しても意味がないと考えている方もいるでしょう。将来に不安がある、やりがいのある仕事で上を目指したいなら転職を検討するのも一つの方法です。

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