CIOとは? 企業経営における役割と重要性について解説

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現代社会において、情報は企業の重要な資産かつ事業戦略の柱となるものです。近年は、特にビッグデータやAIの活用などが注目されていることから、IT戦略の最高責任者であるCIO(Chief Information Officer)を置く企業が増えてきました。国の機関でもCIOの設置が進んでいることを考えるとその重要性が伺えます。

CIOは、「ITに基づいた経営戦略の提案」「全社内のIT資産最適化」といった重要かつ多岐にわたる役割を担う重職といえるでしょう。
今回は、CIOの役割や求められるスキル、具体的な業務内容などを解説していきます。

INDEX(読了時間8分)

CIO(Chief Information Officer)とは

CIOの概要

CIO(Chief Information Officer)は「最高情報責任者」と訳され、主に社内のITシステムの導入や運用に責任を持つ役職です。しかし、単に情報システム部門の長ではありません。ITシステムの最適化を実施しながら、部署や部門を越えて企業全体を俯瞰し、企業においてITを活用した事業貢献の最大化を図るのが役割です。

そのため、CIOはITに精通しているだけではなく、経営戦略とIT活用戦略への理解が必要となります。さらに、業務フローや業務プロセスの改善についても、熟知していなければなりません。つまり、CIOにはデータの取り扱いに関するスキルと経営に関する知識・経験の両方を兼ね備えた人材が求められています。

主な業務内容/役割

CIOは、いわばITと経営を融合させる存在です。企業のビジネス戦略を実現するためのIT活用戦略を提案し、実施する役割を担っています。
具体的な役割には、主に以下が挙げられます。

・IT戦略を立案・実行し、企業戦略に貢献する
・ITシステムを最適化して業務プロセスの効率化を図る
・ITやデータに関連する分野を統括するなど

また、CIOの具体的な業務内容は、システム更改と社内の各部署の業務が円滑に進められるようにサポートすることです。例えば、自前の基幹システムを時代に合わせてどう置き換えるのかを考え、最適なベンダーの選出や予算とコストのバランスを見ながら、各要素をハンドリングして進めていくことが求められます。

CIOの重要性

CIOを設置する企業が増えている背景には、現代企業にとってITを活用した業務効率向上が急務となっていることが挙げられます。経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」問題でも見られるように、既存システムの肥大化・複雑化・ブラックボックス化している企業は市場競争力低下のリスクを招く恐れがあります。

老朽化しつつあるシステムでは膨大なデータが活用しきれない、またDXが進まないといった問題があり、業務効率の向上が期待できません。そのため、現在多くの企業がテクノロジーの進化や発展に合わせたシステムの見直しを迫られています。

なおこれまでは、開発部門をまとめるCTOと、CIOを兼務させていた企業が多く見られました。しかし、IT投資が増加する中、社内システムの責任者との分業の必要性が高まってきています。外部向けの開発を行うCTOと、社内向けシステム管理、ITを活用した経営戦略への提言を行うCIOでは、まったく役割が異なるのです。

CTOが市場で戦える製品の開発を行う「攻め」だとすれば、内部強化を図るCIOはいわば「守り」の立場といえるでしょう。攻めと守りの体制を明確にしていくため、両者を分けようとする動きが強まっているのです。さらに、先述したように、ビッグデータの重要性が増していることもCIOの設置を後押しする要因の一つといえます。

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CIOの設置率に関して

総務省が公表している「平成30年度情報通信白書」によると、国内のCIOの設置率は、諸外国と比較してもかなり低いことがわかります。
実際のCIO設置率(2018年)は、最も高い英国の44.4%に対して日本では11.2%でした。「検討中」の割合でも、米国・英国・ドイツ各国の3分の1程度と、今後も設置率に差が開いていくことが懸念されます。

米国におけるCIOの役割と重要性

米国では、CIOの重要性が早くから企業で認識されていました。1990年代後半には、大学においてCIO育成カリキュラムが組まれるなど、優秀なCIOの輩出に重点が置かれています。
CIOは、ITの幅広い活用とその質の向上のキーパーソンであり、米国企業にとっても非常に重要度の高い役職です。日本においても、CIOの設置が労働生産性上昇に影響していることを国が示しています。IT投資の効果は、CIOがいる企業といない企業で大きな差異があるのです。

企業戦略に即し、ITの活用を統括的に管理しながら投資効果を最大限に引き上げる存在として、CIOの必要性は今後も高まることが予測されます。

※「平成30年度版 情報通信白書」総務省

CTO、CRO、CDOとの違いについて

近年「CxO」という表現が良く聞かれるようになりました。「Chief Officer」という部分が共通する、さまざまな分野の責任者のことを表しています。主な役職の意味や役割、CIOとの違いや関係性を確認しておきましょう。

CTO(Chief Technology Officer)「最高技術責任者」

企業の開発部門の最高責任者です。特に、IT系の企業では自社の製品やサービスをどう開発していくかを決定づける重要な役割を担っています。同じIT系管理職でも、CIOが社内の守り、CTOが外部への攻めといった住み分けとなる傾向です。

CTOについてはこちらでも詳しく解説しています。
CTOとは? 役割やCIOなどとの違い、キャリアパスについて解説

CRO(Chief Revenue Officer)「最高収益責任者」

MMR(月間収益)の最大化に対して、レベニューの視点から事業戦略と組織編成の最適化を考え、実行する役職です。月間収益を最大化するため、各部門が各個に部分最適化するのに対し、CROは組織を横断的に見て全体最適する調整役として機能します。レベニューという軸から横割りの視点を持ち、全体を連携させる思考が求められます。

CDO(Chief Digital Officer)「最高デジタル責任者」

デジタル部門の最高責任者として、DXの推進役を務めます。CIOが主に社内システムの整備や運用、業務プロセスの改善を行うのに対し、CDOはDXを通じて業務プロセスやビジネスモデルに革新をもたらす役割です。また、社内だけではなく、顧客へのサービスなど外部をも視野に入れた行動が求められます。

CIOに求められる役割

CIOに求められる役割は、企業によっても変わります。基本的なITリテラシーやマネジメント経験はもちろん前提となりますが、加えて企業に合わせたスキルが必要です。

例えば、日系企業の大手・中堅企業の場合、部門間の調整が課題となるケースも多くみられるため、部門間の関係構築を促進し、相互的に理解を求めるスキルが試されます。そのため、コミュニケーションを厭わず、根回し力がある人が適しているといえるでしょう。

ベンチャー・スタートアップ企業の場合は、CIOでありながらCTOの領域ともいえる役割をあわせて求められるケースもあるため、職務内容に何がどの程度求められているのかをしっかりと見極めることが必要です。

外資系企業におけるCIOは、主に本国との調整役としての役割を担っています。語学が堪能なだけでなく、国内状況について端的に説明できるスキルが必要でしょう。

CIOには、経営陣の一人として、企業の経営戦略をIT活用の視点から考えることが求められます。そのため、時にはITを専門としない他の経営陣に対して専門的な知見から意見することも大切な役割です。

具体的には、以下のような内容はCIOの務めと考えられます。

・IT活用において他経営陣から実現性の低い案が出た場合の調整役
・コストとリスクのバランスを考慮した方策を提案する
・システムを円滑に運用するために改善の要求をするなど

ほかにも、IT予算に対してどのような投資や配分をしていくのかといった予算策定力も必要とされるケースが多いです。特に潤沢な予算を持つ大企業になるほど予算策定力の重要性は高いといえるでしょう。

CIOになるためのキャリアパス

ここまでCIOの役割や重要性について解説してきましたが、CIOを目指すうえでは、どのようなキャリアパスが考えられるのでしょうか。CIOの今後の可能性についても解説していきます。

CIOへのキャリアパス

CIOへのキャリアパスは、比較的多くのルートが考えられます。SEやソフトウェアエンジニアの場合、管理職を経て自社のCIOを目指すのは順当なキャリアパスの一つです。

転職によりCIOを目指す場合は、プロジェクトマネジメントのスキルがあると良いでしょう。実際にシステムインテグレーター(SIer)でプロジェクトマネジメントに携わり、CIOとして転職される人もいます。また、セキュリティやITシステムに関するコンサルタントとして、企業のIT課題を解決してきた人が事業会社のCIOとして転職するケースもあります。

ただし、CIOのような重要なポジションは、秘匿性が高いため公開求人から見つけることはなかなか難しいでしょう。
CIOを目指す場合には、非公開求人を多数持つ人材紹介会社やヘッドハンティングサービスの活用がおすすめです。

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CIOに関する求人事情(頻度)や将来性について

CIOの求人は現在、IT業界に限らず、IT投資を積極的に行うさまざまな業界で見られます。また、上述したように、現在自社で保有するシステムに課題を抱えている企業が多く見られることから、改善へのニーズが高まっています。

そうした流れの中で、CIOはITへの深い知見を持って、経営戦略の立案に参画し、事業とその業績をけん引していくことが期待されています。ITの進化が続く限り、ビジネスセンスとITスキルを兼ね備えたCIOの需要は今後も続いていくでしょう。

CIOは、企業が情報やITを核とした経営戦略を進めるうえで、不可欠な存在です。もしCIOを目指しているのであれば、ヘッドハンティングサービスの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

CIOをはじめとする企業の重要ポジションへの転職支援の実績を持つヘッドハンターに出会うことで、キャリアの選択肢が広がるはずです。

監修
竹村 潤
パーソルキャリア(株) エグゼクティブエージェント エグゼクティブコンサルタント

大手企業で営業を経験後、人材業界へ転身。以後、IT/インターネット業界に特化し、求職者、採用企業、双方の転職/採用支援に従事。マネージャーとしてマネジメント業務にも携わりながら、一コンサルタントとしても活躍。2014年より現職。その後、IT/インターネット業界のコンサルタント歴15年のノウハウを活かし、エンジニアやクリエイティブ職に限らず、経営企画等の管理部門職も含め網羅的な支援を行っている。大手メディアでの顧客満足度に関する表彰の受賞歴有り。

[編集・構成]doda X編集部

この記事のポイント

Q.CIOとは?
A.CIOはChief Information Officerの略で、「最高情報責任者」と訳されます。主に、社内のITシステムの導入や運用に責任を持つ役職です。ITシステムの最適化を実施しながら、部署や部門を越えて企業全体を俯瞰し、企業においてITを活用した事業貢献の最大化を図ります。
Q.CIOの重要性は?
A.CIOは非常に重要度の高い役職です。日本においても、CIOの設置が労働生産性上昇に影響していることを国が示しています。IT投資の効果は、CIOがいる企業といない企業で大きな差異があるのです。

Q.CIOとCTOの違いは?
A.CTOは企業の開発部門の最高責任者です。特に、IT系の企業では自社の製品やサービスをどう開発していくかを決定づける重要な役割を担っています。同じIT系管理職でも、CIOが社内の守り、CTOが外部への攻めといった住み分けとなる傾向です。
Q.CIOの役割は?
A.CIOには、経営陣の一人として、企業の経営戦略をIT活用の視点から考えることが求められます。そのため、時にはITを専門としない他の経営陣に対して専門的な知見から意見することも大切な役割です。具体的には、
・IT活用において他経営陣から実現性の低い案が出た場合の調整役
・コストとリスクのバランスを考慮した方策を提案する
・システムを円滑に運用するために改善の要求をするなど
といったことや、IT予算に対してどのような投資や配分をしていくのかといった予算策定力も必要とされるケースが多いです。

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