CTOとは? 役割やCIOなどとの違い、キャリアパスについて解説

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AI、ビッグデータの分析、IoTなど、新しい技術が注目される事が多くなりました。企業経営においては、科学や工学的な技術や知識を活用する「技術経営」という言葉も知られるようになりつつあります。
こうした動きを受けて、IT関連以外の企業でも技術部門の総責任者となるCTO(Chief Technology Officer)を設置する企業も見られます。CTOは、一部門の長にとどまらず、役員として経営に参画する立場です。

今回は、CTOの基本情報やその役割と重要性、求められるスキルについて解説していきます。

INDEX(読了時間7分)

CTO(Chief Technology Officer)とは

はじめに、CTOの基本的な情報、役割や重要性ととともに、現在の日本企業の中での設置状況について紹介します。

CTOの主な業務内容/役割

CTOとは、Chief Technology Officerの略で、日本語では「最高技術責任者」と訳されます。経営と執行が分業化されているアメリカでは、取締役会の下でCEO、CFO、COOなどと並んで任命されるポジションです。特に、製造業や情報通信業など、技術が企業経営に直結する業種では早くから設置が進んでいました。
一方、日本国内におけるCTOの定義は企業によっても異なりますが、主に自社の製品をどう開発するかという方向性を決定し、技術や技術者を統括する役割を担っています。
特に、技術が細密化している近年は、社内で分散した技術や技術者を統合し、企業収益につなげるため、CTOの存在は重要性が高まっているといえるでしょう。

CTOの業務内容には、具体的には主に以下が挙げられます。

  • 事業展開に必要とされる技術の選定
  • 予算のチェック
  • 最新の技術動向をふまえた開発の方向性の決定など

また、CTOには技術系人材の確保という面も期待されることがあります。エンジニアの採用は、需要の高まりからほかの職種と比較しても厳しい状況にあるため、優秀な人材を採用することは企業の中でも課題の一つです。

この点、技術者として著名なCTOがいる場合には、優秀なエンジニアを採用できる可能性が高まります。小規模な採用現場であれば、優秀なエンジニアを採用するためにCTO自らが採用プロセスに関わり、採用フローを指揮することも少なくありません。近年見られるようになったカジュアル面談でも、CTOが直接事業内容や業務について説明することで採用の確度を上げようとする動きも見られます。

CTOの重要性(必要とされる背景)

CTOが企業で必要とされる背景には、どのような業界でもITを活用した製品やサービス開発が必須の時代となってきたことが挙げられます。コロナ禍を経ても、企業がかけるIT予算は増加基調です。DX推進体制の違いが、将来的に企業戦略と業績に大きく影響することも考えられるでしょう。

なお、CTOと似た役職の一つにCIO(Chief Information Officer)があります。CIOが「守り」の立場であれば、CTOは市場で戦える製品の開発を行う「攻め」の立場であるといえるでしょう。

CIOは、主に社内向けのITシステムの運用や管理を担当し、IT活用の視点から経営戦略に関わる役員です。

これまではCTOとCIOを兼務していた企業も多くありましたが、近年はCTOとの業務の違いを明確にし、両者を分けて任命する動きが見られます。ITシステムにより内部体制の強化を図るCIOと、外部との競争力を高めるための指揮を執るCTOでは方向性が大きく異なるためです。

企業は、顧客や市場のニーズに対してブレのない製品を送り出すために、プロダクトマネジメントができる人材を求めています。開発からポジショニング戦略まで一貫して推し進めるためにも、社内の責任者を分化させ、CTOという優れたリーダーを置くことが必要と考えられているのです。

CTOの任命状況(データ)

では、CTOは実際にどの程度普及しているのでしょうか。2020年6月に一般社団法人日本能率協会(JMA)がJMA開発・技術部門評議員会社、CTOフォーラム参加企業、およびサンプル抽出した全国主要企業合計2279社に対して行った調査によると、CTOの任命状況について「専任で任命されている」が17.6%、「他の役職との兼務で任命されている」が27.9%と合計では約半数の45.5%でした。

特に、3,000人以上の大企業においては「任命されている」(専任・兼任 の合計)と答えた割合が55.3%と、大企業がよりCTOの任命率が高い状況となっています。

※「『日本企業の研究・開発の取り組みに関する調査』報告書」一般社団法人日本能率協会(JMA)

CIO、CKO、CEOとの違いについて

近年役員のポジションとして「CxO」という役職が多く見られるようになりました。CTOと混同されやすい主な役職を紹介します。

CEO(Chief Executive Officer)「最高経営責任者」

株主代表で構成される取締役会によって選任される、経営の最高権力者です。企業全体での経営方針を決定し、経営戦略の立案とその推進を行い、企業利益全般についての責任を担います。

CIO(Chief Information Officer)「最高情報責任者」

先述したとおり、社内向けのIT・基幹システムの管理や、自社内の運用改善を担当する部門の最高責任者です。ITを事業戦略に役立てるための戦略立案も行います。

CIOについては以下の記事で詳しく解説しています。
CIOとは? 企業経営における役割と重要性について解説

COO(Chief Operating Officer)「最高執行責任者」

日々の業務執行の最高責任者です。CEOの定める方針に従って、具体的な業務執行の指揮を執り、経営のサポート役を担います。

COOについては以下の記事で詳しく解説しています。
COOとは? 役割や業務内容、CEOとの違いについて

CDO(Chief Digital Officer)「最高デジタル責任者」

デジタル部門の最高責任者であり、最高データ責任者と表現することもあります。経営側の視点でDXの推進役を務めます。

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CTOが担う役割

CTOは役員として経営に参画する立場です。技術者としての実績や経験に加え、冷静に状況を判断するための論理的思考が求められます。さらに、社内の技術と技術者を統制し、企業利益に貢献する事業とするための優れたマネジメントスキルも大切です。

CTOに求められる役割は、企業が何を求めているかによっても変わります。例えば、技術に特化したビジネスを展開している企業であれば、何よりもまず技術力が特に重視されるでしょう。

その一方で、社内外とのコミュニケーションスキルを重視する企業もあります。

大まかな傾向としては、日系の大手・中堅企業では、技術力、コミュニケーションスキルなどをバランスよく備えた人材が好まれることが多い印象です。セミナーやイベントでの登壇が出来たり、「その人の下で働きたい」と思われるような人は、他のエンジニアの採用にも貢献するため、重宝されるでしょう。

一方で、ベンチャー・スタートアップ企業では、市場競争で抜きん出るために、まずは技術力があり攻めの姿勢での開発が出来る人が求められる傾向です。

CTOになるためのキャリアパス

CTOになる方法は、社内での昇進や起業して自身がCTOに就任するほか、転職によって目指すことが考えられます。

転職で考えられるルートは様々で、決まったキャリアパスはありません。

前提として、開発の現場で技術やマネジメントの経験は必要となりますが、

<会社規模>
・大手⇒中堅企業
・中堅⇒大手企業
・スタートアップやベンチャー⇒大手企業 他

<業界>
・システムインテグレーター(SIer)⇒インターネットサービス企業
・コンサルティング会社⇒事業会社
・インターネットサービス企業⇒別のインターネットサービス企業 他

など、会社規模や業界を跨いでCTOとして転職される方が多いため、一括りにまとめられないのが事実です。

なおCTOを目指す場合には、マネジメントと技術のどちらが重視されているのか、あるいはその両方なのか、企業によって異なることを理解しておきましょう。

★CTOへのキャリアパスに興味のある方はぜひこちらもご一読ください。

起業家から大企業CTOへ。デジタル時代のロールモデルのキャリアはこうして築かれた──クレディセゾンCTO小野和俊さん

CTOの将来性について

CTOの需要は、今後も続いていくものと考えられるでしょう。エンジニアに関連する職種が細かく分類されてきており、それを統括するCTOがいないと、企業として方向性が取りづらくなると考えられるからです。

なおCTOを目指す場合、日系の大手・中堅企業、ベンチャー・スタートアップ系の企業においても、キャリアの中で役員の経験があると評価に繋がります。

CTOは技術的側面から企業を支える重要ポジション

CTOは、今後も自社事業を展開する企業において、中核を成すポジションといえるでしょう。日々進化を遂げるIT技術を自社事業に活かし、優位性を担保するためには、技術的側面からしっかりと支える人材が必要です。

ただし、CTOのような重要なポジションは、秘匿性が高いため公開求人から見つけることはなかなか難しいでしょう。CTOを目指す場合には、ヘッドハンティングサービスの活用を検討してみてください。CTOをはじめ非公開求人を多数保有すヘッドハンターと出会うことで、キャリアの選択肢が広がる可能性があります。

監修
竹村 潤
パーソルキャリア(株) エグゼクティブエージェント エグゼクティブコンサルタント

大手企業で営業を経験後、人材業界へ転身。以後、IT/インターネット業界に特化し、求職者、採用企業、双方の転職/採用支援に従事。マネージャーとしてマネジメント業務にも携わりながら、一コンサルタントとしても活躍。2014年より現職。その後、IT/インターネット業界のコンサルタント歴15年のノウハウを活かし、エンジニアやクリエイティブ職に限らず、経営企画等の管理部門職も含め網羅的な支援を行っている。大手メディアでの顧客満足度に関する表彰の受賞歴有り。

[編集・構成]doda X編集部

この記事のポイント

Q.CTOとは?何の略?
A.CTOとは、Chief Technology Officerの略で、日本語では「最高技術責任者」と訳されます。日本国内におけるCTOの定義は企業によっても異なりますが、主に自社の製品をどう開発するかという方向性を決定し、技術や技術者を統括する役割を担っています。
Q.CTOとCEOの違いは?
A.CTOは自社の開発の責任を担う技術面の最高責任者です。一方CEOは、企業全体での経営方針を決定し、経営戦略の立案とその推進を行い、企業利益全般についての責任を担います。株主代表で構成される取締役会によって選任される、経営の最高権力者です。

Q.CTOの役割は?
A.CTOは役員として経営に参画する立場です。技術者としての実績や経験に加え、冷静に状況を判断するための論理的思考が求められます。さらに、社内の技術と技術者を統制し、企業利益に貢献する事業とするための優れたマネジメントスキルも大切です。
Q.CIOはどんなポジション?
A.CIOはChief Information Officerの略で、「最高情報責任者」と訳されます。主に、社内のITシステムの導入や運用に責任を持つ役職です。同じIT系の責任者でも、CIOが社内の守り、CTOが外部への攻めといった住み分けとなる傾向です。

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