ヘッドハンターに聞く、50代転職の現実は？転職理由や企業が求めることも解説　

多くの人がキャリアの円熟期を迎える50代。「このまま今の会社で定年を迎えたい」と望む人もいれば「より自分が本当に好きな仕事に携わりたい」「会社の体制が変わったので心機一転したい」などと転職を意識する人もいるでしょう。
本記事では、業界や企業動向に精通するヘッドハンターに聞いた、50代の転職事情を解説します。

INDEX（読了時間6分）

• • • • • • • • 50代で転職している人の割合
              • 50代に見られる転職理由
              • 50代転職の現実
              • 企業が50代に求めるポイント
              • 50代の転職活動の進め方
              • 50代での転職を成功させるためのポイント
              • 50代の転職は焦らずに、広い視野で進めることが成功につながる

50代の転職者数は増えている

総務省の労働力調査によれば、2014年と2024年を比較すると45～54歳の転職者は41万人から58万人と17万人増え、55～64歳の転職者は40万人から49万人と9万人増加しています。

終身雇用制度の崩壊やキャリアパスの多様化により、50代においても新たな挑戦や自己実現を追求する動きが活発化しており、スキルアップやキャリアの再設計を行い、より適した職場を選ぶ傾向が強まっているのです。

かつて、終身雇用が当たり前だった時代には、50代での転職は一般的ではありませんでした。一つの企業でキャリアを全うし、定年退職後は余暇などを楽しみ過ごすというライフスタイルが主流でした。しかし、人生100年時代とも呼ばれる現代では平均寿命の延びに伴い、生活を維持し社会との繋がりを保つために、より長期的な労働機会を求める人が増えています。

50代に見られる転職理由

50代の転職理由はさまざまです。特に、自分の実力を理解した上で、給与、やりがい、プライベートといったあらゆるバランスを取るようになり、入社可能な企業を探す傾向にあるといえるでしょう。

具体的には、今後のキャリアプランを考えた上で「役職定年が迫っているものの、転職してまだまだ全力で働きたい」「大手企業に勤めているが、小さい会社に移っても構わないので地元に貢献していることを実感したい」と、ポジティブに転職する人もいます。

一方で「子どもの学費がかかるので収入を落とせない」「家族の介護が必要になった」といった家庭的な事情もあれば「人間関係や仕事内容が刷新された」「早期退職を迎えた」など、所属する会社の環境が変化したことを理由に挙げる人もいます。

また、dodaが調査した「転職理由ランキング2024」によると、50代が挙げる転職理由は「給与が低い・昇給が見込めない」が1位、次いで「社内の雰囲気が悪い」「人間関係が悪い／うまくいかない」となりました。

50代においても、さらなる待遇改善を求めて転職を検討する人が多いことが分かります。

50代転職の現実

ここでは年収や異業界・未経験転職の観点から50代の転職について見ていきましょう。

転職後の年収について

厚生労働省の厚生労働統計一覧より、令和6年上半期の「転職者の賃金変動状況」を見ると、50代の転職後の年収額は以下の通りです。

転職者の賃金変動状況

	増加	変わらない	減少
50~54歳	34.1%	34.4%	30.7%
55～59歳	28.7%	35.3%	33.7%

年収が増加した人の割合は、50~54歳で3割以上、55~59歳においても3割近くとなっています。一方で、50代の中でも、55歳以上は50代前半と比較して、年収が減少した割合がやや増えていることがわかります。

参照：令和6年 厚生労働統計一覧｜厚生労働省

異業界・未経験職種への転職について

50代においても特定分野で高い専門性を持つ人材のニーズは高まっており、異業界・未経験職種へ即戦力として転職できる可能性があります。

近年では特にコロナ禍以降、企業が厳しい経営状況に直面する中、新規事業への投資や成長領域の組織強化といった文脈で既存社員にはない知識や経験を持っている人材がより求められるようになりました。

また、DX（デジタルトランスフォーメーション）導入など業界を問わず求められる経験のニーズも高まっています。

企業が50代に求めるポイント

では企業は50代の転職者に何を求めているのでしょうか。主なポイントは以下の通りです。 

• 実績
• 人脈
• 専門性
• マネジメントスキル
• 適応力や柔軟性

企業からは、職務経験が増える分、専門性やマネジメントスキルなどが期待されます。

先述したとおりその企業では経験したことのない規模での新規事業立ち上げや、プロジェクトをまとめた実績は、高く評価されると考えられるでしょう。

50代の転職活動の進め方

実際に50代が転職活動する際に活用したいサービスは次の通りです。

• ヘッドハンティングサービス
• 人脈を活用
• 直接応募
• 転職エージェント、転職サイト

転職活動をするにあたっては、まずは転職市場を熟知したヘッドハンターや転職エージェントと相談し視野を広げることをお勧めします。第三者と会話する中で自身の過大・過少評価も分かってくるので、市場価値との乖離が防げるでしょう。

また、役員や管理職など、重要なポジションでの転職を目指している場合には、ヘッドハンティングサービスの利用も良いでしょう。重要ポジションは非公開求人になることが多く、そのような求人はヘッドハンターが保有していることが多いためです。

50代での転職を成功させるためのポイント

50代が転職を成功させるために必要な項目を以下に紹介します。

• 視野を広く持つ
• 優先順位を整理する
• 専門性を最大限に活かす
• 諦めずに粘り強く動く

年代やライフステージが変化することにより、仕事にもさまざまな希望条件の変化が生じるものです。ご自身の中で譲れないポイントは何なのか、優先順位を明確にし、粘り強くチャンスを狙うことが成功のカギとなります。

そのうえで、そのポジションに見合う人材であることをこれまでの経験や実績を踏まえ、積極的にアピールしましょう。

採用担当者に具体的な活躍のイメージをしてもらえるように伝えることがポイントです。

doda Xを活用して50代で転職を成功された方の体験談もぜひご覧ください。

https://doda-x.jp/success/vo_ag/50/index.html

50代の転職は焦らずに、広い視野で進めることが成功につながる

50代の転職においては豊富な経験が期待されることから、企業から求められる人材であることを適切にアピールすることが重要です。

定年の引き上げや再雇用の動きが活発になるなか、50代以上の活躍を必要とする企業は存在します。これまで培った専門性やマネジメントスキルなどを活かし、活躍できる場所を探してみてください。

また、一緒に戦略を立てて伴走してくれる転職のプロに頼るのも一つの手です。「doda X」では、ミドル・ハイクラス層に特化したキャリアの専門家であるヘッドハンターが転職を支援します。ぜひ登録して、理想のキャリアをかなえるために転職活動を進めましょう。

※この記事は2022/01/27に取材・掲載された記事となります。一部調査データを2025/7/1に最新化しています。

監修

教育業界にて講師や営業職、マネジメントを経験。その後当社へ参画し、長年、消費財・メーカー・サービス領域の転職支援業務に従事。現在は650万以上のハイキャリアセールス領域の支援をメインに行っている。前職から現在に至るまで、幅広い年齢層の方を対象に15,000件以上のキャリアカウンセリングを実施。国家資格であるキャリアコンサルタントを取得し、転職希望者が長期的なキャリアプランを描けるような支援を行っている。