キャリアパスとは? 意味や書き方のポイントについて詳しく解説
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企業の中でも「キャリアパス」という言葉が聞かれるようになってきました。昇進や昇格のモデルとして使われる場合もありますが、転職においては将来的にたどり着きたいゴールまでの道のりを意味します。キャリアパスを描くことでモチベーションを保ち、進むべき方向性をしっかりと定めることが可能です。本稿では、キャリアパスの基本的な考え方やその有効性、作成方法について解説していきます。
- INDEX(読了時間6分)
キャリアパス(Career path)とは
キャリアパスは、企業と個人にとって重要な考え方の一つです。組織体制強化の施策として、「キャリアパス制度」を設置する企業も少なくありません。はじめにキャリアパスの概要と、年代別のキャリアパスの変化について解説します。
キャリアパスの基本的な考え方
キャリアパス(Career Path)とは、直訳すると「キャリア(経歴・職歴)の道」ですが、企業内においてはあるポジションに到達するまでの、昇進・昇給モデルとして示されるプロセスを指します。例えば企業側は、自社内における複数のキャリアパスを提示し、スペシャリストやマネジメント層など、個々の社員が希望するキャリア形成、ゴールへの道筋を示すといった具合です。
ただキャリアパスの考え方は、一つの企業内にとどまるものではありません。転職においても、個人がキャリアパスを描くことで、自分の目標や到達すべき姿を実現できる転職先を選ぶ判断材料となります。キャリアパスに従った方向へと進みながら、企業の枠を超えて自分の理想へと近づいていくことが期待できるでしょう。
この場合のキャリアとは、単なる職歴ではなく経験やスキル、保有する能力、人間力といったトータルでの価値ととらえることもできます。
キャリアパスの考え方の例
年代により描くべきキャリアパスも変化していきます。30代IT系の人材を例に見てみましょう。
人材例: 20代でIT担当者としての基本スキルを身につけ、実務遂行能力、業務上の問題解決能力を習得。チームリーダーなどを一通り経験。30代以降のキャリアパスを模索している。 |
キャリアパスは、最終的にどの領域でどのポジションをゴールとするのかによって方向性が決定づけられます。例えば、まずこの人材の場合はITコンサルタントや、プロジェクトマネジメント、ITスペシャリストなどで目指す方向性が分類できるでしょう。
ここで、ITコンサルタントの道に進み、最終的には自社の経営、及び業界をリードする人材になるという目標を設定するとします。その場合、さらに業種・業界の知識を深耕していき、特定業界の知見を身につけたインダストリーコンサルタント、特定業務領域に特化したビジネスファンクションコンサルタントなどを目指していきます。
それから30代、40代と経験を積み、コンサルタントの中でもプロジェクトを牽引するマネージャーや事業運営の中枢の役割を担う経営層として、キャリアをステップアップしていきます。
キャリアパスを構築するうえでは、目指すゴールに向けて、各フェーズで求められるスキルレベルを理解することが必要です。「具体的にいつまでに何を習得すべきか」について明確化していきましょう。
キャリアパスの必要性(背景)
キャリアパスは、大企業だけではなく中小企業でも重視されるようになってきました。ここでは、キャリアパスという考え方が、社会に浸透してきた背景とその必要性を解説します。
キャリアパスの背景にある変化
過去の日本企業では一度正社員として就職できれば、定年までエスカレーター式に昇進していくことができました。キャリアパスが提示されていなくても、先達を見ればある程度自身の将来も予測可能な時代だったといえるでしょう。
しかし現代では、終身雇用や年功序列制度の行き詰まりを迎えています。能力主義を採用する企業も増え、年齢を重ねたからといって昇進していく保証はありません。
また、転職に対する抵抗感が薄れ、社会全体が流動化しつつあります。働き方に多様性が生まれ、キャリアのあり方が多彩になっていることも、キャリアパスが注目される要因の一つです。
キャリアパスの必要性
個人が企業で能力を発揮し続けるためには、モチベーションが必要です。仕事に対する意欲が失われれば、業務効率や生産性の低下を招きかねません。キャリアパスの構築を通じて、キャリアをより深く考え目標が定まるため、モチベーションの維持や向上が期待できるでしょう。
キャリアパスを描く際には、各段階で必要とされるスキルが明確化されます。比較要素があることで、自分の強みや足りないものを把握しやすくなり、具体的なスキル向上に着手することが可能です。キャリアを見通すことは、自分の人生をどのように生きていくのかという根本的な命題にもつながります。
キャリアパスを考えることにより、人生設計もしやすくなるでしょう。実績と経験を持つハイクラス人材であれば、今後それをどのように活かし、目指すゴールに到達するのかをより明確にイメージしていくことが大切です。
自身の市場価値を把握しながら、しっかりとキャリアパスを設定していきましょう。
キャリアアップ、キャリアビジョン、キャリアプランの違いは?
キャリアパスと混同されやすい言葉について、各用語の意味、違いを解説します。
- キャリアアップ
基本的に、所属している企業や組織で「役職に登用される」「昇進する」といったことを指します。資格取得などにより特定分野での専門知識を習得することで、職域を拡大したり裁量権を得ることなども、キャリアアップに含まれます。 - キャリアビジョン
仕事以外の生活や、プライベートを含めた人生全体の見通し・未来像のことです。例えば海外移住や結婚・出産・子育て、不動産の購入など、ライフステージの変化や大型のライフイベントを考慮に入れたキャリア設計を意味します。
▽キャリアビジョンについてはこちらで詳しく解説しています。
【例文付】キャリアビジョンとは?立て方や転職面接での答え方 - キャリアプラン
企業の中だけではなく、転職や独立などを視野に入れた職歴全体のプランニングを指します。キャリアパスと似ていますが、キャリアパスの場合はゴールに至る道筋であり、計画とは異なる点に注意が必要です。
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キャリアパスを作成する方法(基本的な流れ)
キャリアパスに関する考え方や必要性について理解できたでしょうか。ここからは、実際に自分のキャリアパス作成を行う際の流れと、注意点について解説します。
キャリアパス作成の流れ
- キャリアのゴールを設定する
キャリアパスは、目標への道筋です。適切なゴール設定が、順調にキャリアを形成するための重要なポイントとなります。ゴールを考える際には役職名やポジションだけではなく、できるかぎり具体性のあるゴールを設定しましょう。 - 自身の現状や適性を理解する(自己分析)
どのようなゴールを置くのも個人の自由ですが、実現できなければ意味がありません。自身の現状や適性を自己分析によって深く理解し、現実的なキャリアパスを構築できるようにします。経験によって得た能力やスキル、得意・不得意な分野、やりがいを感じられる業務、興味関心など、あらゆる側面から分析していくことが大切です。 - 達成に必要なことや課題、不足している事項をまとめる
目標達成に必要となることや課題を整理し、具体的にやるべきことをまとめます。「〇歳までに××のポジションに就くために、△△の資格(経験)が必要」など、より具体的であれば、今なすべきことも明確になるでしょう。資格取得までにかかる時間を逆算し、余裕を持って着手することが大切です。 - キャリアパスと現状にズレがあれば転職を考えるも一つの方法
自分が描くキャリアパスが現状と一致しない場合もあります。現在の企業ではどうしてもかなえられなかったり、自分の希望とのズレがあったりする場合は、転職を視野に入れることも方法の一つです。
キャリアパスを作成する際の注意点
- 短期的にではなく長期的な視点でキャリアパスを作成する
キャリアパスは短期目標ではありません。現在の地点から着実にステップアップすることで到達できるゴールです。そのため、現在の立ち位置を見て焦るのではなく、長期的な視点を持って何をすべきかを考えていくことが重要です。
- キャリアの選択肢が狭まってしまう可能性があるので、複数の道を検討する
企業からのキャリアパスは、複数提示されることもあります。自分で考える際もたった一つの道筋に執着しすぎず、複数のキャリアパスを設定しましょう。現代は次に何が起こるのか予測不可能なことも少なくありません。一つのキャリアパスの道がふさがれても、臨機応変に考える柔軟性も大切です。
転職活動でも重要となるキャリアパス
キャリアパスは、企業内だけではなく転職でも重要な要素です。そのため、採用面接でキャリアパスを聞かれることも想定しておかなければなりません。企業側でも可能なかぎりミスマッチを回避しようと努めます。
キャリアパスを聞くことで、配属先の業務内容や将来的な希望との整合性が確認できるでしょう。
求職者自身も転職に向けて、事前にキャリアパスと応募先の条件が合っているかを調べておくことが必要です。キャリアパスと転職先での仕事をすり合わせていくことで、転職後の姿をより具体的にイメージできるようになります。
転職先で長期に活躍し、キャリアのゴールに到達するためにも、キャリアパスを入念に設計しておくことが大切です。
自分の目指すキャリアパスを描いて、転職活動をしよう
キャリアパスを描くことは、自分がなりたいゴールに向かっていくための大きな力となります。またキャリアパスの設計段階で自分の状況を客観的に把握し、自身が本当に求めているゴールに気づくことも期待できます。
転職をキャリア形成に活かしていくためにも、キャリアパスを描きゴールへの方向性を定めておきましょう。
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