転職に迷う理由と対処法は?ミドル層がキャリアを考える上での判断軸を解説

「現在の職場で一定の成果を上げたので、さらなるステップアップを目指したい」「キャリアも中盤に入り、家庭と仕事の両立を重視した働き方をしたい」など、転職を意識し始めたものの、行動に移すかどうか迷っているミドル層の方は多いのではないでしょうか。
この記事では、主にミドル層の方に向けて、転職するかどうか悩む主な理由や、決断のために考慮すべきポイント、知っておきたい転職市況などについてご紹介します。転職に踏み出すか現職にとどまるのか、判断する際のヒントにしてみてください。
転職するかどうか迷う主な理由は?
転職に興味はあっても活動に踏みきれない、という方は多いと思います。このパートでは、特にミドル層の方が転職するか悩む主な理由についてご紹介します。
転職に成功する自信がない
転職を考えても活動が進まない理由の一つは、希望する企業から採用されないのでは…という怖さがあるためです。実際にはタイミングや条件が折り合わずに採用されなかっただけでも、自身が否定されるような気持ちになってしまうのです。
特に、新卒から1社で長く働いてきたミドル層の方の場合は、初めての転職となります。これまで積み上げてきたものが多い分、新たな環境で一からスタートすることへの不安を覚える場合もあるでしょう。
今が適切なタイミングか分からない
業界動向や自身のライフイベント、家庭の事情など、多くの要素が転職のタイミングを左右します。ミドル層やハイクラス層の方は現職で責任のある立場に就いている方も多く、現職の会社の状況や事情にも留意しなければなりません。最適なタイミングを見極めきれず、悩む人も多いといえます。
必然性やメリットを感じられていない
転職の必然性やメリットが十分に感じられていない場合も、活動が進みにくいといえます。特に30代中盤から40代以降のミドル層は、キャリアも中盤に差し掛かる時期であり、豊富な経験とスキルを積み上げてきています。現職で役職に就いていたり、スペシャリストとして活躍していたりと、待遇面や裁量面で評価されている方も多いでしょう。そのため、転職したい気持ちはあっても、これといった決定打がなく、転職という選択肢をとる必然性を感じられず、活動に踏みきらない方もいます。
今後のキャリアの見通しが立っていない
どのようなキャリアを築きたいのかが定まらないと、転職の軸や優先順位が不明確になり、迷うことになります。特にミドル層にとって、転職はこれからの20年・30年の仕事人生をどう設計していくかを考えることにもなります。自身が今まで築き上げてきた、スキル・経験・人脈を今後のキャリアでどのように活かしていくか整理できていないと、なかなか次のアクションにつながりません。
転職先に適応できるか分からない
新しい職場の人間関係や業務内容に適応できるかという不安は、転職を考える際の障壁となります。特に一つの会社に長く在籍している場合、組織のカルチャーやビジョン、コミュニケーションのあり方、慣習になじめるかという不安が起きやすいといえます。
ハイクラス転職においては、重要なポジションやミッションを担う役割として採用されるケースも多いでしょう。その場合、上層部の考え方やミッションそのものに共感ができるか、イメージしている裁量や管掌範囲なのかなど、確認すべき点が多く、ミスマッチとなるリスクを意識してしまうケースがあります。
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年代・役職によって生じる転職への迷いどころは?
ここからは、年代別・役職別で転職するか迷う理由にどのような違いがあるのか見ていきます。
30代の迷いポイント
30代は、家庭を持つなどでライフステージが変わることが多いため、それをきっかけに収入や働き方などの条件を変えたい、と希望する人が多くなります。一方で、任される仕事の裁量も大きくなり、やれること・やりたいことが増えていくのもこの年代。このように条件面や仕事内容のバランスで葛藤し、転職を迷うことも。
なお、詳細は後述しますが、現在の転職市場では30代の場合、転職前より転職後の年収が高い傾向が出ています。転職市場の状況を把握することで、転職のタイミングを計ることもできるでしょう。
参考:転職サービス「doda」、「年代別 転職時の年収変動レポート」を発表 ~2024年度上期 20代の平均決定年収額は19年度同期比で111%アップ。30代40代も105%以上の上昇~
40代の迷いポイント
自分の過去の感覚値から、20代、30代に比べて、40代の転職は難しいのでは? と感じている人も多いのではないでしょうか。仮に転職するにしても、同業界や同じ職種にしかできないのでは、と可能性を狭めてしまっている人も多いです。
しかし当社調査によると、実際には「doda」のエージェントサービスを利用して転職した40歳以上の個人のうち、65.2%が異業種へ転職しています。また、職種別で見ても、同期間に40歳以上の3人に1人は新しい職種への転職にチャレンジしていることが分かっています。このことから、自身のスキルや経験の活かし先を視野を広げて検討することが40代以降の転職においては重要といえるでしょう。
参考:転職サービス「doda」、 「ミドル層の異業種・異職種転職実態レポート」を発表 ~40 歳以上の転職希望者数は 6 年で 1.5 倍以上に。 約 65%が異業種、3 人に 1 人が異職種へ転職~
50代の迷いポイント
50代は、定年退職までの道筋をより具体的に考え始める時期です。残りの社会人生活を送る上で、これまで築いてきたキャリアや居場所を手放す不安から迷うことも。より良い条件を求めると求人が見つかりづらい場合があり、転職活動が長期化することも考えられます。
とはいえ、近年はミドルシニアの転職市場は活発化が予想されており、組織や事業成長に必要な知識・経験が豊富なミドルシニア層を求める企業が増え、採用が進むと想定されます。
現職でどのようなポジションに就いているかによっても、転職に迷う理由は異なります。ここからは、役職別で転職に迷う理由をご紹介します。
課長職の迷いポイント
プレイングマネージャーとしての忙しさもあり、本腰を入れて活動すると決断するまでのハードルが高いといえます。新卒で入社した会社で課長職を経験したものの、頭打ち感が出てきて転職を検討する場合は、転職時のポジションや待遇、裁量など考える観点が多く、足踏みしてしまうことも。
部長職の迷いポイント
ハイクラス求人となると求人数自体が少ないこともあり、自分にフィットした求人に出合うまでに時間がかかることも。また、現職での役割が大きい方ほど、後任のことを考えたり会社への恩義を感じたりするため、転職に踏みきれないこともあります。
転職するか迷うときに考えるべき観点
転職をするかしないか迷っている方に向けて、整理するとよい観点をご紹介します。
転職した場合としなかった場合のメリット・デメリットは?
まずは、転職した場合としなかった場合のメリット・デメリットを整理することが重要です。メリット・デメリットを洗い出す上で、整理すべき観点は、年代によっても異なります。一例ではありますが、ミドル層においては下記のようなポイントが考えられます。
キャリアビジョンとの接続性
・現在のキャリアに対して停滞感を感じている場合、現職でその解決は望めそうか? それとも転職したほうが解決につながりそうか?
・現職で働き続ける場合、この先5年、10年後のイメージが湧くか、またそれは自分の望んでいるキャリアビジョンと近しいか?
希望の給与・待遇・ワークスタイルの実現
・どのような労働環境が理想的か? また、それをかなえることはどれぐらい重要度が高いか
・上記の中でも重要度が高い項目において、現職での実現は可能か?
・どのような給与・待遇が理想的か? 譲れない基準ラインはどの程度か?
・上記の中でも重要度が高い項目において、現職での実現は可能か?
そのほか抱いている不安や不満の解消
・転職するかどうか迷っている根本的な要因はどこにあるか?
・現職の不満やキャリアへの不安は一時的なものか恒常的なものか?
根本的な解決につながるかどうかも転職をするかしないかを判断する上で重要な観点といえます。また、キャリアへの漠然とした不安がある場合は、転職活動をしてみることで、自身の現在地を把握でき、不安の軽減につながる場合があります。まずは行動してみるという選択をとるのも一つの手でしょう。
転職市場の現状や、自分の市場価値を理解しているか?
長らく転職活動をしていない人ほど、転職市場や自身の市場価値をまずは知ることから始めましょう。転職市場の現状を把握することで、転職すべきタイミングも見えてきます。特にミドル層の方であれば、今後のキャリアの可能性を広げて戦略を立てる上でも、市場のキャッチアップは定期的にしておきたいところです。自分のスキル・経験を今の業界のみでなく、他業界でも活かせる可能性があります。
まずはスカウトサービスなどを利用して、自分にはどのようなスカウトが届くのかを把握することがおすすめ。自分の経歴やスキルを見てどんな企業やポジションの声がかかるのかを知ることが自分の市場価値を知る第一歩となります。
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転職活動を検討したほうがいいケース
ここでは、転職活動が推奨されるケースを具体的にご紹介します。
現職での状況がキャリアプランと合っていない場合
現職でのキャリアパスが自身の将来のビジョンと合致していない場合、目指したいキャリアを実現できる企業への転職を検討したほうがいいといえます。年齢が上がっていくにつれ、キャリアプランの大幅な変更は難度が高まります。特にミドル層の方であれば、方向転換をするなら早いほうが可能性が広がることも。
現職への不満や不安が解消される見込みがない場合
仕事や会社への不満に感じるポイントは、年収などの待遇面や人間関係、会社の業績や働き方、企業風土などさまざまな要素があります。それを「解消可能なもの」と「解消されないもの」に分類し、後者が多い場合は転職を検討してみてはいかがでしょうか。例えば、「年収をもう少し上げたいけれど、来年度以降は昇給の見込みが立っている」のであれば「解消可能なもの」ですし、「会社の業績不振が続き、経営方針としても、チャレンジングな取り組みに力を注げる状況にない。また業績改善の兆しがない状態が続いている。」なら「解消されないもの」といったようなイメージです。
企業・業界の将来性がないと感じられる場合
前述した事柄にも関連しますが、現在所属している企業や業界に発展的なビジョンが見えず、それに不安や不満を抱え続けている場合は、より成長を見込める企業や業界への転職を検討するのも一つの手です。特に、近年では各社が生き残りのために新たな分野への参入や新規事業の推進を行っています。この流れを踏まえて、今いる業界だけでなく、異業種への転職も視野に入れるとよいでしょう。他業界でこれまで培ってきた自身のスキルが活かせる可能性もあります。
心身の健康に支障をきたしている場合
仕事のストレスなどで心身の健康を損なっている場合は、段階的に解決を試みましょう。有休取得や業務整理を試しても改善が難しければ、上司や人事、医療機関に相談しつつ、休職や転職を検討するのも方法の一つです。
転職に慎重になったほうがいいケース
一方で、転職には慎重になったほうがいい場合もあります。具体的には、以下のとおりです。
会社への不満や不安が「解消可能」な場合
一時的な不満から転職を考えている場合、冷静になって今の状況を分析することが重要です。今感じている不満がタイミングや自分の意思、工夫で変えられるものであれば、転職だけが解決策とはいえません。例えば、年収など待遇面の悩みなら昇格へのステップを上司と相談することで変わるかもしれませんし、仕事内容の悩みなら、異動希望を出してみてもいいかもしれません。長期的な視点で判断するために、現職での解決ができないか考えることも大切です。
転職によって解決したいことが明確でない場合
転職を考えていても、具体的に解決したい課題が見えていない場合は、自身の真のニーズを見つめ直すことが重要です。「転職するか迷うときに考えるべき観点」を検討した上で、転職するか判断しましょう。
特にミドル層の方は、年収などの条件面も重要ではありますが、待遇の良し悪しのみを判断軸に次の転職先を決めてしまうと、ミスマッチが起きる可能性も高まってしまいます。
転職したばかりの場合
短期間に複数回の転職を重ねてしまうと、企業側は「またすぐに辞めてしまうのではないか?」という懸念につながります。納得感のある理由や経緯を説明し、その不安要素を払拭できれば問題ないものの、一度慎重に今後のキャリア設計を踏まえて検討することも大切です。
転職を迷う際に知っておきたい転職市況
ここからは、転職するか迷っている方へ向けて、知っておきたい転職市場の状況をご紹介します。
求人数増加で転職市場は活発化
2025年上半期の転職市場全体における求人数は、多くの分野で増加・好調となると予想されており、転職のチャンスが広がる見込みです。好調の理由はさまざまですが、一つは「新規事業創出や既存事業拡大などの推進にあたり、十分な知見や経験を持つ人材の中途採用に力を入れる企業が増えていること」が挙げられます。この状況は、特にミドル層の方にとって追い風となるでしょう。
20〜40代では転職で賃金が上昇する事例が増加
当社調査において、転職時に企業が転職者に提示した年収を分析したところ、過去5年間(2019年度から2023年度)で32万円もの増加が見られました。特に技術職、営業職での上昇が顕著です。
参考:転職サービス「doda」、「2023年度 職種版 決定年収レポート」を発表 昨年度から最も上がったのは、「組み込みエンジニア」で+14万円 IoTやAIの普及によるニーズの高まりが影響
また、年代別および年収帯別の傾向を分析した調査データによれば、30代の転職成功者において、年収600万円以上で転職を果たした人の割合(決定年収600万円以上の割合)は、2019年度と比較して2024年度は8%増加しています。同様に、40代の転職成功者においても、年収800万円以上の割合が6%増加していることが明らかになりました。
参考:転職サービス「doda」、「年代別 転職時の年収変動レポート」を発表 ~2024年度上期 20代の平均決定年収額は19年度同期比で111%アップ。30代40代も105%以上の上昇~
異業種転職のハードルが下がっている
40歳以上の転職者のうち、約65%は異業種へ転職しているという調査結果もあります。この背景として、前述のとおり新業態へ参入する企業が増加し、知見のある人材ニーズが高まったことが挙げられます。
参考:転職サービス「doda」、「ミドル層の異業種・異職種転職実態レポート」を発表 ~40歳以上の転職希望者数は6年で1.5倍以上に。約65%が異業種、3人に1人が異職種へ転職~
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