カジュアル面談とは？必要な準備や一般的な流れを解説

近年、採用選考とは別に、「カジュアル面談」の機会を設ける企業が見られるようになりました。カジュアル面談は、通常の面接とどのような点が異なるのか、どのような準備が必要なのかなど、気になっている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、転職活動シーンで行われるカジュアル面談と通常の面接の相違点のほか、企業がカジュアル面談を実施する理由と、カジュアル面談を受けるメリットについて解説します。カジュアル面談に必要な準備や一般的な流れもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

カジュアル面談とは、転職希望者と企業が気軽に話して相互理解を図る場のこと

カジュアル面談とは、転職希望者と企業担当者がリラックスした雰囲気で話し、お互いの理解を深める場のことです。転職希望者が求人に応募する前に実施されるケースが多く見られます。転職希望者にとって、興味のある企業と応募前にやりとりすることは、正式に応募するかを判断するための材料となります。

カジュアル面談には人事だけでなく、募集ポジションでの同僚、または上長となる人が同席するケースも少なくありません。対話を通じて、入社した際の役割や業務内容、働き方を具体的にイメージできます。 カジュアル面談の段階では職務経歴書などの書類提出の必要がないことも多く、通常の面接のように合否結果も出ないため、転職希望者にとっては参加のハードルが低い点が大きな特徴です。

例えば、現職が多忙な方の場合、「求人に応募しても、仕事の合間に面接日を調整して、さらに選考に向けた準備が万全にできるか不安」という思いから、応募に慎重になるケースがあるかもしれません。カジュアル面談は、そのような状況の方でも気軽に参加でき、企業への理解を深められるチャンスです。気になる企業の中にカジュアル面談を実施している企業があれば、積極的に活用してみてはいかがでしょうか。

カジュアル面談と通常の面接の相違点

カジュアル面談と通常の面接は、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、採用企業側の視点から解説します。

目的が違う

カジュアル面談と面接では、実施する目的が異なります。面接は、転職希望者側が求人に応募した後、採否を決定するために実施されるのが一般的です。一方、カジュアル面談は転職希望者側が応募意思を示していない段階でも、応募のハードルを下げる目的で実施するケースが多く見られます。

近年の転職市場は売り手市場といわれています。こうした中、「求人を出して待っているだけでは、応募者が集まりにくい」「自社に対する先入観だけで応募を見送られることがある」といった課題を持っている企業は少なくありません。転職希望者との接点を増やし、自社の魅力を伝え、より多くの応募を得たいといった狙いから、カジュアル面談を実施する企業が増えているのです。

実施するタイミングが違う

カジュアル面談と面接では、実施するタイミングが異なります。面接は、転職希望者が応募した後に行われるのが一般的です。しかし、カジュアル面談は、転職サイトなどを通じて参加者を募集するケースもあれば、転職スカウトサービスに登録している方に対し、企業側から打診するケースもあります。

また、経験者採用を目的とした企業説明会を実施した後、転職希望者が希望する場合にカジュアル面談の機会を設けることも少なくありません。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　このように、カジュアル面談の実施方法は、企業の方針や採用スタンスによってさまざまなパターンが見られます。

進め方が違う

カジュアル面談と通常の面接では、進め方も異なります。面接では基本的に、職務経歴書などの応募書類を提出してもらいますが、カジュアル面談では、そういった書類提出を求めないのが基本です。採否を判断するための場ではなく、あくまでも相互理解を深めるために実施するからです。

ただし、転職サービス経由でカジュアル面談に応募してもらう場合は、採用企業側は転職サービスに登録している経歴を事前に把握できます。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　転職サービスに登録している転職希望者は、在職中の企業名や役職、経験業務などの経歴情報が、面談時のヒアリングの参考とされていることをあらかじめ認識しておきましょう。

企業がカジュアル面談を実施する理由

企業がカジュアル面談を実施する主な理由は、転職マーケットが売り手市場となっていることです。多くの企業が人材不足であり、転職希望者が転職先を選べる時代にあって、企業が求人票や採用サイトのみで自社の魅力を存分に伝えることは難しいでしょう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　カジュアル面談は、転職希望者との接点を増やし、多くの人に自社の魅力を伝えて応募を促進する手段となっているのです。

特に、ハイクラス転職の領域では、募集の時点では配属先や職種、担当業務を限定しない「ポジションサーチ」の求人が増えており、どのポジションが転職希望者の希望条件に合致しているのかを見極める場として、カジュアル面談が活用されているケースがあります。　　　　　　　　　　　　　　　　　転職希望者は、興味を持った企業の求人情報に自分に合ったポジションがなかったとしても、カジュアル面談に積極的に参加してみることをおすすめします。それにより、自分に合ったポジションが紹介されるきっかけとなるかもしれません。

カジュアル面談を受けるメリット

転職希望者にとって、カジュアル面談を受けることには複数のメリットがあります。主なメリットは下記のとおりです。

ミスマッチを防止できる

カジュアル面談を受けると、入社後のミスマッチを回避しやすくなります。カジュアル面談には、人事担当者のほか、募集されているポジションの同僚や上長となる人が同席する場合があります。面談を通じて、募集されているポジションや組織のミッション、プロジェクトの進行状況、評価基準などについて情報を得られる可能性があるため、企業への理解を深める上で有効です。

また、インターネットの情報やまた聞きでは判断しづらい、社風や組織文化との相性も事前に確認できるため、入社後のギャップを軽減する効果も期待できます。面接などで聞きにくいことは、カジュアル面談の場で積極的に聞いておくといいでしょう。

面接でアピールするべき点が明確になる

面接でアピールするべき点が明確になることも、カジュアル面談を受けるメリットです。組織の今の課題や、事業の方向性、社風を知ることで、面接ではどういった点が評価されるのか、どのような人材が求められているのかをある程度把握できるからです。

特にハイクラス転職では、事業の方針や今後の戦略といった重要な情報がカジュアル面談で共有されることも考えられます。選考前に企業への理解が深まることにより、面接での質疑応答をしやすくなるでしょう。

リラックスして臨める

肩肘を張らずにリラックスして臨める点も、カジュアル面談を受けるメリットです。　　　　　　　　カジュアル面談は通常の面接と異なり、採否を決める場ではありません。応募の意思があるかを問われることもないため、面接よりも気軽に参加でき、面談後に応募を見合わせることも可能です。

カジュアル面談に必要な準備

カジュアル面談は、リラックスした雰囲気で対話することを目的としていますが、事前に準備しておきたい点はいくつかあります。転職希望者がカジュアル面談を受ける際に必要な準備は、主に下記の4つです。

企業の情報収集を行う

カジュアル面談であっても、企業の情報収集は行っておくことが大切です。企業の公式サイトや新卒・経験者向けの採用ページ、直近のプレスリリースや企業のニュースなども確認することをおすすめします。

質問したいことをまとめる

企業側に質問したいことは、カジュアル面談を受ける前にまとめておきましょう。カジュアル面談には、人事担当者のほか、募集されているポジションで同僚や上長となる人が同席する場合があります。詳しい業務内容のほか、チーム構成や役割分担、職場の雰囲気、平均的な残業時間、企業としての注力方針、事業の今後の展望、目指せるキャリアパスなども、気軽に答えてもらえる可能性があるため、確認したいことは漏れなく聞くようにしてください。

自分のスキル・経験を整理する

自分のスキルや経験を整理し、質問された際には答えられるように準備することが大切です。カジュアル面談では、これまでの業務経験や今後のキャリアの展望について質問を受ける場合があるからです。また、そもそもなぜカジュアル面談に参加することにしたのか、主な動機についても整理することをおすすめします。

転職の判断軸を整理する

転職の判断軸を整理することも、カジュアル面談に必要な準備です。カジュアル面談は、求人に応募し、入社した後のミスマッチを防ぐための場。転職で実現したいことや今後取り組みたい仕事、求める職場環境などについて整理すると、自分の希望にマッチする企業かどうかを判断しやすくなります。

カジュアル面談の一般的な流れ

カジュアル面談は、転職希望者と企業担当者が相互に理解を深めることが目的であるため、決まった話題はありません。ここでは、カジュアル面談の場でよくある、一般的な流れをご紹介します。

1. お互いの自己紹介

まず冒頭でお互いの自己紹介を行います。企業側は、担当者・同席者の役職や業務内容、企業の基本情報などを紹介するのが一般的です。

転職希望者は、自身の経歴や現在の職務内容について、自己紹介を求められることが多いでしょう。特に強みであるスキル・経験や、これまでの成果などを簡単にまとめて話すようにしましょう。

2. 企業側から人員募集の背景の説明

自己紹介の後は、企業側がどのような目的で人材を募集しているのかを説明するケースが一般的です。人員募集に至った経緯、企業が抱えている課題、どのような人材を求めているのかといった点について説明があるでしょう。

3. 転職希望者側の現状の説明

続いては、転職希望者側が現状について説明します。現職に就いた理由や経緯、転職活動をしている理由のほか、転職への意欲や現在の活動状況などを話すのがよくあるケースです。

4. 質疑応答

転職希望者側からの説明の後には、企業担当者が興味を抱いた点、より詳しく知りたい点などについて、転職希望者に質問することがあります。反対に、転職希望者側から企業に質問することもあります。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　転職希望者は、事前に質問内容をまとめておくことが大切です。

5. 今後の選考の案内

最後に、企業側から今後の選考プロセスについて案内があります。実際に応募するかは、その場で回答する必要がないケースがほとんどです。カジュアル面談でのやりとりを参考に検討し、後日あらためて回答する流れになります。

カジュアル面談を受ける際のポイント

カジュアル面談を受ける際には、いくつか押さえておきたいポイントがあります。主なポイントは下記のとおりです。

選考の参考になっていることを自覚する

カジュアル面談は転職希望者の採否を決める場ではありませんが、選考の参考になっていることは自覚しておく必要があります。企業側が求めている人材かどうかは常に見られており、一定の評価をされる可能性も高いと捉えて臨むことが重要です。

社会人としての服装・マナーは守る

カジュアル面談とはいえ、社会人としての服装・マナーは守りましょう。社外の人と話す際の姿勢や話し方を心がけるほか、オンライン面談の場合は画面の明るさやマイクレベルなどに不備がないか、入念に確認することが大切です。

服装はカジュアルでも問題ありませんが、カジュアルすぎると印象が悪くなる可能性があります。あくまでも選考につながる入り口であることを踏まえて、ビジネスカジュアルに準じた清潔感のある服装を心がけてください。

終了後はお礼のメールを送る

カジュアル面談終了後は、企業側にお礼のメールを送ることが大切です。これは、選考に進む・進まないにかかわらず、行うようにしてください。

カジュアル面談を受けた後の対応

カジュアル面談を受けたら、応募に対する意思に沿って、しかるべき対応を取る必要があります。対応のパターンは、主に下記の2つです。

選考に進みたい場合は案内に従って応募する

選考に進みたい場合は、企業側から届いた案内に従って応募してください。応募方法については企業ごとに異なるため、案内に記載の応募書類を用意の上、面接などの日時を調整します。

選考の案内が届かなかった場合は、募集ポジションと自身のスキル・経験がマッチしていなかった可能性があります。応募意欲があるものの、選考について連絡がなかった場合は、問い合わせてみるのもいいでしょう。

応募の意思がない場合はその旨を連絡する

カジュアル面談を受けて企業側から案内が届いたあと、応募はしないと決めた場合には、その旨を連絡します。電話またはメールで応募を差し控えたい旨を伝えるのが一般的です。　　　　　　　　　　　なお、企業への連絡は、なるべく早めに行うようにしてください。

カジュアル面談を活用し、自分に合った企業を見つけよう

カジュアル面談は、応募意思が固まっていない段階で企業側の担当者と対話し、相互理解を深めるための場です。リラックスした雰囲気で企業担当者とじっくりと話せるほか、場合によっては面接の練習にもなります。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　また、応募していない状態で企業側の事業方針や求める人材像が分かり、面接の対策が立てやすくなる点も大きなメリットです。興味がある企業がカジュアル面談を実施している場合は、ぜひ気軽に受けてみることをおすすめします。

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