異業種への転職の実態は?リアルな事例や何歳まで可能か解説

今後のキャリアを考えたとき、思いきって「異業種転職」にチャレンジしようと考えるミドル層も一定数いることと思います。ただ、異業種となると「希望しても採用されないのではないか?」「年収は下がらないか?」など、さまざまな不安も浮かんでくるのではないでしょうか。

そもそも、「異業種」とは種類の異なる事業のことをいい、業種をまたいで転職することを「異業種転職」と呼びます。

業種とは事業の種類のことで、例えば食料品・医薬品・住宅などを指します。特に「業種」と「業界」は混同されやすいですが、業界とは産業の分類を指し、メーカー・小売り・サービスなどが挙げられます。つまり、「業界」をさらに細分化したものが「業種」です。

今回は、転職のプロの視点から異業種転職の実態や成功のポイント、事例について解説します。

近年の異業種転職の実態

異業種に転職したいと思っていても、「年齢が上がるにつれて、未経験での転職は難しくなる」というイメージから、転職活動に踏み出せないでいるミドル層は少なくないでしょう。しかし実際は、40歳以上のミドル層の多くが異業種転職を成功させています。ここではデータをもとに、ミドル層の異業種転職の実態を解説します。

異業種に転職できるのは何歳まで?

2023年6月~2024年5月におけるdodaエージェントサービス利用者のうち、異業種転職を実現したビジネスパーソンは、全世代で50%を超えていました。

出典:doda「異業種への転職は難しい? 転職成功者のデータから見える傾向

24歳以下の割合が最も高く、68.7%。そこから年齢が上がるにつれて微減していきますが、35~39歳の割合(58.9%)と40歳以上の割合(56.4%)は、ほとんど変わらない結果となっています。このことから、世代にかかわらず、40歳以上でも半数以上が異業種転職を実現できることが分かります。

ミドル層の即戦力人材需要が高まっている

前述の調査で異業種転職した40歳以上の割合が、56.4%と過半数を超えている背景には、アフターコロナにおける転職市場の変化が一部関係していると言えます。

変化の大きい時代に対応しながら、中長期的に収益を確保して企業を成長・存続させるためには、新規事業への参入が欠かせません。ただ、新規事業開発を推進するために即戦力人材を採用したくても、先行きが見えないコロナ禍では採用を一時停止せざるを得ない企業もありました。

しかし、アフターコロナで多くの企業が採用を再開して以来、即戦力人材の需要は高まっています。そのため、即戦力を裏づける経験と高い専門性を持つミドル層を採用する流れが強まっている状況です。

このように、転職市場が変化したことで、転職希望者の認識も変わりつつあります。経済活動が回復に向かったことで売り手市場が強まったことに加えて、働き方やキャリア形成の仕方が多様化していることから、40代以降も転職への抵抗感が小さくなっていると考えられます。

ミドル層の転職は「異業種×同職種」が最も多い

次に、40歳以上で転職した人の業種と職種を見てみましょう。最も割合が高かったのは、「異業種×同職種(39.7%)」でした。

出典:パーソルキャリア「ミドル層の異業種・異職種転職実態レポート

家庭を持つ人も増える40代以降は、新しい環境に挑戦したくても、なりふり構わず飛び込みづらい年代です。そこで、将来的なキャリアを考えてどこまで新しいことに挑戦するのかという「攻め」と、生活を維持するのに必要な年収を稼ぐために譲れないものは何かという「守り」のバランスを意識しながら、転職活動を進めることになります。

その結果、これまでとはまったく違う環境で働くことになる「異業種」に挑戦しつつも、前職での知見や経験を転職先でも再現しやすく、前職よりも年収が下がりにくい「同職種」を希望する方が多くなっていると考えられます。

また、同職種に転職すると、業務内容にギャップを感じにくいことも理由でしょう。

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異業種からの転職の割合が高い業種は?

次に、異業種からの転職が多い業種に目を向けてみましょう。

dodaが保有する2023年6月~2024年5月のデータでは、全年齢で異業種からの転職が最も多い業種は84.8%で「商社」でした。次いで、「インターネット/広告/メディア」が70.8%、「サービス」が68.6 %でした。

出典:doda「異業種への転職は難しい? 転職成功者のデータから見える傾向

「商社」の割合が最も高い理由としては、商材や客層、営業手法が幅広い商社は、異業種からの採用に積極的だからだと考えられます。

また、次に「インターネット/広告/メディア」が多い理由は、はじめから専門性を必要とする業種に比べて、比較的、受け入れに寛容な業種であるからだと推測できます。

異業種転職のメリット・デメリット

異業種転職にはメリットもデメリットもあるため、後悔のない転職をするためにも、その両方をしっかりと把握した上で、将来のキャリアプランを考えましょう。

異業種転職のメリット

メリットとしては、主に次の3つが考えられます。

年収アップの可能性がある

異業種転職をすることで、前職よりも年収がアップする可能性があります。実際に、パーソルキャリアの2024年3月の調査データでは、異業種へ転職した40歳以上で、年収が上がった人は50%以上もいることが分かりました。

出典:パーソルキャリア「ミドル層の異業種・異職種転職実態レポート

異業種転職で年収が上がった理由としては、即戦力としてこれまでの経験や知見が評価されたり、年収水準が高い業種に転職したりしたことが挙げられます。また、前職よりも上位の役職に就いたことで、年収がアップしたケースもあります。

新たな知見ややりがいが得られる

希望する業種で新たな挑戦ができれば、仕事のモチベーションアップにつながるでしょう。また、今までとは違う仕事のやり方が求められるため、新たな知識・スキルが身につくはずです。さらに、新しく身につけた知見を既存の知見と組み合わせることによって、自身の市場価値を高められます。その結果、将来の選択肢の幅が広がり、キャリアアップもしやすくなるでしょう。

働く環境を変えられる

働き方は、業種によっても特色が出る部分です。そのため、業種を変えることで働き方を変えられる可能性があります。リモートワークやフレックスでの勤務がしやすい業種に移れば、場所や時間の自由度を上げられるでしょう。子育てをしている人も多いミドル層にとっては、大きなメリットになります。

異業種転職のデメリット

一方で、デメリットは主に次の3つが考えられます。

業界がミスマッチの可能性がある

同業種であっても会社とのミスマッチは起き得ます。しかし特に異業種の場合は、その業種ならではの慣習や文化、日々の業務を具体的にイメージしにくいため、ミスマッチがより起こりやすいと言えます。そのため、実際に働いてみたら、「期待していたような活躍ができなかった」「全然なじめなかった」などのギャップが生じる可能性もあります。

仕事に慣れるまでに時間がかかる

異業種に転職した場合、その業種の慣習や仕事の進め方・内容に慣れるまでに時間がかかる可能性があります。また、これまでに培ってきた知識やスキルが通用しないこともあり、戸惑う場面もあるかもしれません。加えて、その業種での人脈も一から築く必要が出てくると、慣れるまではストレスを感じることもあるでしょう。

年収が下がる可能性がある

メリットとして年収が上がる可能性について触れましたが、逆に年収が下がってしまう可能性もあります。

年収水準が低い業界へ転職したり、異業種×異職種で転職したりするケースがあるでしょう。前職で管理職に就いていたとしても、転職後に役職が下がって年収も下がることがあります。

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異業種転職を成功させるためのポイント

40代以上で異業種転職を実現するためには、次の3つのポイントを押さえておきましょう。

同職種で転職する

異業種に転職したとしても、やはり同職種のほうが知見を活かしやすいと言えます。また、取引先や扱う商材(有形商材・無形商材)の種類を合わせることを検討しましょう。少しでも、自身の知見やスキルを活かせる選択をすることが肝心です。

ポータブルスキルを活かす

知識やスキルがほとんどゼロベースになってしまう異業種では、いかに「ポータブルスキル」を発揮できるかが鍵になります。

例えば、異業種からプロジェクト推進を支援する会社へ転職を希望した場合、それまでに培った関係各所を取りまとめる力やマルチタスクスキル、物事を体系立てて進める推進力などのポータブルスキルが評価され、採用に至るケースもあります。

そのため、まずはポータブルスキルとそれに伴う実績を棚卸ししてみましょう。その上で、自身の強みや異業種に挑戦したいという思いの強さ、必要な知識を勉強している姿勢などを採用企業に明確に伝えてみてください。

業界・業種を事前にリサーチする

「デメリット」の項目でも書いたように、業界・業種をよく知らないまま転職してしまうと、想像と現実との間に大きなギャップを感じてしまう可能性があります。せっかく苦労して転職したのに早期離職してしまった、ということがないように、業界・業種のリサーチは入念にしておきましょう。

実際にその業界・業種にいる人に話を聞くのが一番ですが、転職サービスのヘッドハンターやキャリアアドバイザーに話を聞くのもおすすめです。多くの転職者を見ていることから、業界・業種についてフラットに教えてくれるでしょう。

異業種転職した人のリアルは?実際の事例を紹介

最後に、実際に異業種転職を実現した人の事例を紹介します。

とあるミドル年代の男性のケース(異業種×異職種)

<男性・ミドル年代 素材・部品メーカー・人事職へ転職>

転職前(1社目):金融系企業 個人・法人営業

転職前(2社目):大手人材会社 キャリアアドバイザー

転職後:大手素材・部品メーカー 人事

基本的には、同職種へ転職したほうが成功確率は高まりますが、「異業種×異職種」で転職できるケースもあります。

成功の要因として、この方が転職先から評価された点は2つあります。1つは、2社目の大手人材会社でRPO(採用業務の代行)を経験し、企業側と求職者側の双方のニーズを認識していたことで、即戦力になると期待されたことです。もう1つは、応募企業の強み・弱みをしっかりと分析した上で選考に臨んだことです。

結果、前職でのスキルや経験を活かすことができると判断され、ポテンシャルも高かったことから採用に至りました。

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まとめ

変化の時代に対応しながら自社を成長・発展させていくために、新規事業への参入や業態変革を模索する企業は増加しています。その流れを受けて、異業種の人材が持つ視点や経験、知識を必要とする企業も多く、即戦力として期待されるミドル層のニーズも高まっています。

追い風とも言える状況ですが、難度も高い異業種転職を成功させるには、十分な戦略が必要です。「doda X」では、ミドル・ハイクラス層の転職を実現するためのサポートを行っています。

まずは、転職市場をよく知るヘッドハンターを通して、異業種転職の可能性を探ってみてはいかがでしょうか。

林大智

林 大智(はやし・だいち)

dodaキャリアアドバイザー

医療専門人材エージェントを退職後、2017年にパーソルキャリア株式会社に中途入社。個人向けのキャリアアドバイザーとして、累計2,500人以上の方を担当。20~50代までの幅広い年齢層の転職に伴走し、納得感ある支援ができたらと考えております。

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