データサイエンティストとは?役割や資格、キャリアパスを転職のプロが語る

データサイエンティストとは?役割や資格、キャリアパスを転職のプロが語る

データドリブン経営が加速する現代では、データサイエンティストの需要は日本でも急速に拡大しています。本記事では、データサイエンティストの具体的な役割や必要なスキル、関連資格や転職市場での戦略も解説します。特に、キャリアアップを目指すハイクラス層の方々に向けて、実績を積むための具体的なアプローチ方法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。

データサイエンティストとは?

データサイエンティストとは、膨大なデータを解析し、その結果を活用して企業の課題解決に寄与する専門家を意味します。略称として、「DS」「D.S.」「DSci」などが使われることもあります。

データサイエンティストという職業が注目されるようになった背景には、デバイスの進化やコンテンツの多様化によるビッグデータの爆発的な増加と、企業内でデータを有効活用して得られる競争優位性の重要性が高まったことがあるでしょう。

2000年代初頭から、インターネットやデジタル技術の普及により、データの生成および収集の活動が飛躍的に増加しました。

これに伴って「データサイエンス」という言葉が使われ始め、データを効果的に解析し、ビジネス価値に変換する能力に高い価値が生まれるようになります。

このニーズに応えるために、データ解析の専門知識とビジネス理解を兼ね備えたデータサイエンティストの重要性も高まっています。

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データサイエンティストの仕事内容

データサイエンティストが具体的に実践する仕事内容について、分析目標の策定、データモデリング、効果検証〜実装の3つのプロセスに分けて解説します。

分析目標の策定

第一段階として、企業のビジネス課題を明確にし、それに基づいてデータ分析の目標を設定する必要があります。

分析目標の策定プロセスでは、経営陣や各部門と連携して、具体的な課題解決策や改善目標を共有します。データをもとに事業領域の拡大の可能性を探るなど、企業の戦略に直結する目標が設定されます。

この段階での綿密な計画が、後の分析作業の精度と効率を左右します。

データモデリング

データモデリングは、収集したデータをもとに予測モデルや分類モデルを構築し、ビジネスインサイトを得るためのプロセスです。

データサイエンティストは、統計学や機械学習の手法を駆使して、データから有用なパターンや傾向を抽出します。

例えば、顧客の購買行動を予測するモデルや、不正検出のための異常検知モデルなどが挙げられるでしょう。

効果検証~実装

モデルの構築後は、その効果検証と実装が行われます。

効果検証では、モデルの精度や予測力を検証し、必要に応じてチューニングを行います。具体的には、テストデータを用いてモデルのパフォーマンスを評価し、過学習や学習不足の問題を解決します。

実装フェーズでは、データサイエンティストがIT部門と協力し、モデルをビジネスに組み込み、その後も定期的に見直しを行ってビジネス価値を最大化します。

特にハイクラス層は、データサイエンスにより導き出した答えを実装し、課題解決のためにビジネスへ応用していく役割が求められるでしょう。

データを扱う他職種との違い

データ処理の切り口により、データアナリスト、データエンジニア、機械学習エンジニアといった類似職種が存在します。

これらとデータサイエンティストの違いを区別するため、各職種の役割を以下に解説します。ただし企業によって解釈が異なる場合があるため、一般的な内容としてご理解ください。

データアナリスト

データアナリストは、統計解析やデータ可視化ツールを使用してデータ分析を行い、ビジネスの意思決定を支援する役割を担います。業務として、企業の現状やトレンドを把握し、レポートやダッシュボードを作成して経営層や各部門に共有する活動などが挙げられます。

データサイエンティストと比較すると、データアナリストは一般的に分析結果を報告することに重点を置き、モデル構築や予測分析よりも、現状分析や現時点にあるデータの可視化に特化しているといえるでしょう。

データエンジニア

データエンジニアは、大量のデータを効率的に収集、処理、保存するためのインフラを設計、構築、管理する職種です。データサイエンティストが分析業務に集中できるように、データ基盤を整備する重要な役割を担います。

データサイエンティストよりもプログラミングやデータベースなどの技術分野で専門知識が求められる傾向にあります。

機械学習エンジニア

機械学習エンジニアは、人工知能(AI)開発で中核となる機械学習アルゴリズムを開発し、データサイエンティストと協力して既存のシステムに適用する職種です。

具体的には、アルゴリズムの選定、パラメータのチューニング、機械学習モデルのモニタリングや改善、そして実装・構築までを担当します。

データサイエンティストがデータの探索や初期分析を行うのに対し、機械学習エンジニアは、より高度で複雑なモデルをビジネス環境に統合し、持続的に運用できるようにします。

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データサイエンティストに必要なスキル

データサイエンティストとして成功するためには、専門知識に裏打ちされたスキルが必要です。

ここでは、特に重要なデータベース、基礎数学や統計、AI・機械学習の3分野の知識と、それぞれの重要性について解説します。

データベース言語や設計のスキル

データサイエンティストは、大量のデータを効率的に取り扱うために、データベース関連の知識が必要です。データベース言語のSQLを用いたデータの抽出や操作、データベース設計の基本原理を理解することは、データの管理や分析をする上で重要なスキルです。

また、NoSQLデータベースや分散データ処理システムなど、新しいデータ技術にも精通していることが求められます。

基礎数学や統計スキル

データサイエンティストにとって、確率論や線形代数学、統計的仮説検定をはじめとした数学や統計の知識は不可欠です。

これらの知識を応用して、データのパターンを理解し、予測モデルを開発することが求められます。

さらに、ビジネスの課題解決に直結する分析を行うためには、データの背後にあるビジネスロジックを理解し、適切な数学的手法を選択する能力が重要です。

AI・機械学習のプログラミングや活用スキル

AIや機械学習の知識は、機械学習アルゴリズムの理解と実装能力に直結します。

PythonやRといった言語を使ったプログラミングスキル、機械学習ライブラリの活用能力は特に重要となります。

知識の裏付けがあってこそ、データサイエンティストは高度な予測モデルや分類モデルを構築し、ビジネスの意思決定に貢献できます。

データサイエンティストに向いている人とは?

データサイエンティストは技術的専門知識だけではなく、ビジネスの文脈を理解し、分析結果を実践的にビジネスへ還元する能力も年収アップやキャリアアップの鍵となります。

これを踏まえ、データサイエンティストに向いている人の特性を見ていきましょう。

情報収集力が高い

データサイエンティストに向いている人は、常に最新の情報を収集する力が高い傾向にあります。技術の進歩は日々急速に進んでおり、新しいアルゴリズムやツールが次々と登場します。

最新の研究論文を読んだり、業界の動向を追ったりして、最先端の知識を身につけることが重要です。

論理的思考力が高い

データの解釈やモデルの構築には、既存の概念や過去の経験則にとらわれない論理的な推論と問題解決のスキルが必要です。

複雑なデータを分析し、問題を解決するためには、データのパターンを正確に理解し、因果関係を明らかにする論理的思考力が求められます。

ビジネスへの応用力がある

データサイエンティストは、データから得られた分析結果を実際のビジネスに応用して初めて仕事の結果が評価されます。

単なるデータ分析にとどまらず、その結果をどのようにしてビジネスの価値に変換するかを考える応用力と、経営の視座を意識した思考も重要です。

ビジネスの現場で直面する課題に対して、データを活用して具体的な解決策を提案し、社内調整を行った上で実行に移す力が求められます。

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データサイエンティストに関連する資格

資格を保有していなくてもデータサイエンティストの仕事に就くことは可能です。

ハイクラス人材の転職市場では資格の有無よりも実績が重視されますが、経験が浅い場合には、それを補うために関連分野の知識が重要です。

資格取得で基礎知識と専門性を高めることは、データサイエンティストとしてのキャリアを築く手助けになるでしょう。

以下に、キャリアアップや転職時に有効な資格を6つ紹介します。

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は、ITに関する基本的な知識を証明する国家資格です。

プログラミングやデータベース、ネットワークに関する基礎を網羅しており、データサイエンティストとしての基礎力を固めるのに役立ちます。

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験の上位に当たり、ITの応用力を証明する国家資格です。

基本情報技術者試験の内容に加え、システム開発やプロジェクト管理など、より高度な知識が求められます。

データベーススペシャリスト試験

データベーススペシャリスト試験は、応用情報技術者試験のさらに高度な領域に当たる、情報データベースの設計・運用に関する専門知識を証明する国家資格です。

大量のデータを効率的に管理し、分析する能力が求められるため、データの取り扱いに関する重要なスキルを証明できます。

データサイエンティスト検定™ リテラシーレベル

データサイエンティスト検定™ リテラシーレベルは、データ分析の基礎から応用までを網羅し、データサイエンティストとしての専門性を直接的に証明するために有効な資格です。

統計学、プログラミング、データマイニングなどの知識を評価します。

統計検定

統計検定は、統計学の知識と応用力を評価する資格です。統計データの分析や統計手法の理解を証明することで、データ分析に関する信頼性を高めます。

データサイエンティストとして、統計の基礎力をアピールするために有用です。

G検定(ジェネラリスト検定)・E資格(エンジニア資格)

G検定(ジェネラリスト検定)は、AIに関する知識を評価する資格であり、E資格(エンジニア資格)は、機械学習に特化した知識を評価します。

どちらもAI関連技術の理解と応用力を証明する資格であり、データサイエンティストに必要な知識を証明するものとして価値があります。

データサイエンティストでキャリアアップするポイントは?

データサイエンティストとしてキャリアアップを目指すために、いくつかの重要なポイントを押さえておきましょう。

大規模なデータセットを扱う能力や経験は、企業にとって高い価値があるため、基幹人材として評価されやすくなります。

また、経営に近いポジションで活躍することもキャリアアップの大きなポイントです。

経営や事業上の判断に直接影響を与えるようなデータ分析や戦略提言を行うことで、企業の意思決定プロセスに深く関わることができ、結果としてキャリアの飛躍につながります。

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データサイエンティストのキャリアパスと転職のポイント

データサイエンティストとしての転職を前提としたキャリアパスのポイントについて、同職種での転職と、異職種からの転職という2つのパターンにフォーカスして見ていきましょう。

それぞれの転職でのポイントや事例を交えつつ、成功するための戦略を解説します。

同職種で転職する場合

同職種で転職する場合、即戦力であることをアピールするのがポイントです。               

職務経歴書や面接では、これまでのデータサイエンティストとしての実績を伝え、転職後すぐに戦力として働けるイメージを採用担当者に持たせられるよう意識します。

どのようなプロジェクトに携わり、どういった役割を担い、どんな結果を出せたかを、数字などを用いて具体的に説明しましょう。また、扱うデータの規模が大きいほど、年収帯は高くなる傾向にあります。

年収アップのほか、「より膨大なデータ活用に携わりたい」「予算が潤沢にある環境で     データサイエンスに取り組みたい」というような理由での転職を考えている場合、事業規模が比較的大きく豊富な活用データがあるか、データサイエンスの活用に注力している企業かという点に着目して転職活動を行うことが有効でしょう。

データサイエンスの活用に注力している企業を探す際は、業界の転職事情に詳しい転職のプロに相談するのがおすすめです。

異職種からの転職の場合

未経験者を含む異職種の方がデータサイエンティストに転職する場合、まずは基本的なスキルセットを身につけることが重要です。

プログラミングスキルやデータ分析の基礎を学んだ上で、プロジェクトベースの仕事を通じてビジネスの実務経験を積み、即戦力として働けることをアピールする必要があります。    

例えば、関わってきた案件の詳細や、そこで担った役割、数値も交えた結果を具体的に言葉で説明できるようにしておきましょう。転職後の業務に近い案件例を挙げられると、即戦力になるイメージを伝えやすくなります。

未経験からの転職例としては、マーケティングや営業のバックグラウンドを持つ人がデータ分析のスキルを磨き、ビジネスの現場で即戦力となるデータサイエンティストになるケースが挙げられます。

未経験を含む異職種からの転職は、一般的にはハードルが高いと考えられています。一方で、データサイエンティストは需要の増加に伴い人員不足が叫ばれている状況です。まずは未経験者を採用している企業で一定の経験を積み、希望する条件や働き方をかなえられる企業への転職でキャリアアップを図っていくのが、効率的な方法といえるでしょう。

データサイエンティストの将来性

データサイエンティストの将来性は依然として高いと評価されています。

株式会社矢野経済研究所の調査によると、データサイエンティストを含むデジタル人材関連サービス市場の規模は、2024年度に2019年度の約1.5倍の約1兆4,000億円になると予測されているのです。

ビッグデータの蓄積やAI技術の急速な進化は、企業のデータ活用の幅を広げ、さまざまな業界で新たな可能性を開いています。また現在、多くの企業がデータを収集し、その解析を通じてビジネスの成果を追求しています。

例えば、金融業界ではリスク管理や顧客分析の高度化が進み、医療分野では診断支援や医療データの解析が進化しています。

製造業では、IoTデータを駆使して生産性の向上や品質管理が行われています。データの分析や活用方法を見極め、戦略的にビジネスに貢献できる人材は、未来のビジネスシーンでますます重宝されるでしょう。

まとめ

データ駆動型のビジネス課題解決を担うデータサイエンティストは、幅広いスキルと実務経験が求められる重要性の高い職種です。

現在の日本では、データサイエンティストが不足しているといわれています。大規模なデータを扱うことや経営に近いポジションでの経験は、キャリアアップの点で大きな強みとなるでしょう。

資格取得も有効ですが、実績が最も重視されるため、実務での成果が転職時には評価アップの鍵となります。

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転職を考えている方や今後のキャリアに迷っている方は、ぜひ登録して転職のプロにご相談ください。

大橋 道夫(おおはし・みちお)

dodaキャリアアドバイザー

2008年に株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社し、法人営業として人事向け採用コンサルティングに従事したのち、キャリアアドバイザーとして複数領域で10年以上の経験を積む。
主に、IT領域のエンジニア、管理職の方のご支援を長く経験し、実績としては、400名以上の方の転職をご支援。

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