管理職とは? その定義と役割・向き不向きを徹底解説

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管理職になりたての方、あるいは管理職と役員や一般社員との違いがわからないという方のために、組織における管理職の定義と役割を紹介します。

管理職になりたての方は自分には足りない資質を理解してカバーできるように工夫する、管理職ではないけれど定義や役割を知りたいという方は、向き不向きをチェックして進むべきキャリアの参考にするなど、今後のキャリアに役立ててみてください。

INDEX(読了時間8分)

管理職とは

まずは、「管理職は役員や一般社員とどう違うのか」の説明を通じて、組織における管理職の定義を解説します。

管理職の定義

管理職とは、部や課など自分が管轄する組織内の権限を持っている人のことを指します。一般的には事業部長・部長・課長を管理職といい、係長・主任は管理職とされないことが多い傾向にあります。

役員との違い

会社組織は、大きく分けると経営層と社員の2つで構成されています。役員は社員ではなく使用者で、経営者側の立場。管理職は、労働者の立場という違いがあります。

役員は経営者側に立っているため、経営層としての責任を持ちながら、自分の担当する事業の運営をするのが仕事です。会社とは従業員とは異なり委任契約(使用者に従属していない立場)であるため、大きな失敗をした場合は解任ということもあり得ます。

管理職も責任を負って自分の組織運営をし、成果が良くなければ給与査定が下がるということはありますが、一従業員として雇用契約を結んでいるため、失敗を理由に解雇されることはありません。

一般社員との違い

管理職は自分が管轄する組織成果が評価の対象となりますが、一般社員は自分の成果のみという違いがあります。

管理監督者に該当する管理職であれば、労働基準法で定められた労働時間の制限や休憩・休日に関する規制を受けません。対して、一般社員は決められた労働時間の中でしか働けません。

※労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者のこと(厚生労働省資料より)

役員・一般社員も、管理職とは責任の範囲・立場・働き方が大きく異なるとわかります。

係長、課長…… どこからが管理職?階層と役割

企業にはたくさんの役職がありますが、「どの役職がどういった役割を持っているのか」「どこからが管理職なのか」を知らない方も多いはずです。もちろん企業によって役割に差がありますので、自社がどういった役割を各役職に与えているのか確認は必要ですが、ここでは一般的な違いを紹介します。

部長、ゼネラルマネージャー

部長やゼネラルマネージャーは、部の戦略設計・運営・目標達成・課長を含めた部員のミッション達成・育成・管理監督・評価・部内の環境整備・コンプライアンス遵守・リスクマネジメントなどの責任を持つ役職です。

課長・マネージャークラスは、プレイングマネージャーと呼ばれることがあるように実務と管理業務の両方を求められる場合もありますが、部長・ゼネラルマネージャーは求められないことがほとんどです。

経営側としての自覚を持って、「この先の事業運営のために、今部をこう変えるべき」「事業の方向性を考慮すると、今期にこのミッションを部下に与えるべきだ」などの判断を下して実行させる必要があります。

なお、担当部長や部長代理(補佐)など、企業によっては他にも部長という名のついた役職を設けている場合があります。企業によっても異なりますが、担当部長は部下を持たず、特定の業務を担当する役職であることが多いです。

対して部長代理は部長の代わりに決裁ができる役職です。例えば部長に対外的な仕事が多く、あまり社内にいない場合などに代理という席が用意されます。そして、部長補佐は部長の業務サポートであるため、決済権を持たないことが多いという違いがあります。

課長、マネージャー

課長やマネージャーは課の戦略設計・運営・目標達成・係長を含めた課員のミッション達成・育成・管理監督・評価・課内の環境整備・コンプライアンス遵守・リスクマネジメントなどの責任を持っています。

企業によって上記すべての責任を持たないパターンもあります。また、課の運営管理以外に係長以下が担当するような実務も並行して行うことも多いです。

経営層・部長などが決定した内容をわかりやすく噛み砕いて行動に落とし込み、メンバーに伝えて動かすことが主な仕事です。

また、課長・マネージャーは係長・チーフを介してメンバーのことを知り、動かさなければならないため、情報収集・伝達の仕組みを作っておく必要があります。

なお、近しい役職として課長代理(補佐)・主幹などもあります。課長代理は課長がいないときに決裁できる権利を持った役職で、課長補佐は課長のサポート役。主幹は課長やマネージャーと同等の立場とされていて、官公庁や公共団体、民間企業で使われる役職です。

係長、チーフ

係長やチーフは自分の管轄する班やチームの戦略設計・運営・目標達成・チームメンバーの目標達成・育成などの責任を持っています。係長も課員であるため、課長・マネージャーが示した課の戦略に従い、チームの戦略設計や運営をするのが仕事です。

課の中にいくつかのチームが存在することも多いため、係長・チーフ間で役割分担をして課内のプロジェクト運営を任されることもあります。よりメンバーに近い存在として、課長とメンバーの間に入ってうまく立ち振る舞うことを求められる傾向にある役職です。

主任、リーダー

主任やリーダーは、誰かを管理する必要はなく、一般社員の中のトップ選手という位置づけです。主任やリーダーという役職は設けず、中堅社員という位置づけにしている企業もあります。若手社員が困っているときのサポート役、新人の教育役などの役割を担うことが多い役職といえるでしょう。

紹介した役職の中でも、その役職になりたての人と長く担当している人では役割の範囲が異なる場合も多いです。そのため、管理職になった際は企業の目標設定でどういったことを自分が求められているのかを確認し、客観的な目線を持って自分の仕事を見るようにすると期待値とのズレが生じにくくなるでしょう。

管理職になるには?求められる6つの資質・特徴

管理職になりたいと考える方のために、管理職に求められる6つの資質・特徴とその理由を解説します。

1.リーダーシップ

管理職は自分の管轄範囲(部・課など)を率いていかなければならないため、リーダーシップが必要です。リーダーシップというとトップダウンで厳しいリーダー像を想像する方が多いかもしれませんが、大きく分けると次の3種類ほど存在します。

トップダウンで細かく指示を出すタイプ・部下の意見を尊重して決断するタイプ・部下に任せて必要なときに相談に乗るタイプの3種類です。部下の性質に合わせて、どのタイプにするか選ぶとスムーズな組織運営ができるでしょう。

仮に選んだリーダーシップのタイプが自分の性質と異なっていたとしても、組織ミッションが達成でき、部や課の運営がスムーズにいっていれば問題ありません。リーダーシップの成否は、「あの人の下で働きたい」「あの人と一緒の組織だと働きやすい」と感じさせることができるかで決まります。

客観的に自分を見て、「自分が部下なら一緒に働きたい・働きやすいと思うか」という軸で判断すると、部下の自分に対する感覚とのズレも生じにくくなります。

2.コミュニケーション力

管理職は組織内での問題やトラブルに発展しそうなことを察知し、未然に防ぐ努力が欠かせません。そのため、部員・課員から気軽に相談がくるような心理的安全性をキープできる関係性構築力が求められます。

関係性構築をするには、まず「あの人に相談してみようか」と思ってもらえるようなコミュニケーションを、普段からとれているかが重要です。コミュニケーションの内容・忙しそうに見せない工夫・気にかけて声をかける頻度などに気を配り、部下がちょうどよいと感じる距離感を心がけましょう。

忙しいときでも的確な指示を出す、笑顔で対応する、雑談コミュニケーションを自分から行う、打ち合わせ後に簡単なフィードバック・確認をする・良い点があったらその場で褒めるなど、頻度高く軽めのコミュニケーションをとっておくと徐々に関係性が構築しやすくなります。

3.交渉力

管理職は人を動かして組織を同じ方向に動かす必要があるため、交渉力が必要です。他にも他部署や他の課と連携をとって動く・顧客と調整を図る・クレーム対応をする・上司に交渉をするなどでも、交渉力の有無で組織運営に大きな差が出ます。

交渉力を持っていれば自分と他者の納得するゴール設定ができるので、停滞しがちな仕事もどんどん片付けられます。一般社員よりもタスク量が多く、一つ一つの難易度も上がってくる管理職には、欠かせない資質といえるでしょう。

4.メタ認知力

メタ認知力とは、客観的に自分のことを見る力のことです。管理職になる方は管理職になる前の段階からメタ認知力が必要です。それがなければ、自分が他者からどう見えているか、客観的にどういった能力を満たさなければ管理職になれないのかを把握できません。

管理職は部や課を牽引する存在として、業界の中での自社の立ち位置・競合から見た自社を認知し、部や課の進む戦略を考える必要があります。また、中間管理職として上司から見た自分・部下から見た自分を正しく認識し、今後どう動けばより部や課をうまく運営できるかを考え抜く必要があります。

さらに、このメタ認知力の資質は、部下自身を育成するときに「こういった視点を持つようにすれば、より成長ができる」という助言にも役立てられます。

5.論理的思考力

人に指示を出して動いてもらうシーンが多い管理職には、論理的思考力が欠かせません。論理的思考力があれば、1つの物事を説明するときに「なぜそれをやらなければならないのか」を、上司・部下・お客様に明確に伝え、納得して動かせます。

また、何かを説明するときにも結論・理由・具体例・結論のPREP法を使い、わかりやすく伝えられるため、部下のパフォーマンスが上がるというメリットもあります。

6.メンタル・フィジカルの強さ

管理職は組織ミッションの達成・自組織の戦略や方針の策定/決定・部下のキャリア形成と業務遂行能力の育成・組織課題の解決・クレーム対応・残業時間削減・コンプライアンス管理など、精神的にも負担が大きい仕事を同時並行でこなしていく必要があるため、メンタル・フィジカルの強さが欠かせません。

管理職=管理監督者でもあるケースが多いこと、やるべきことが多いなどの影響で業務負担が増えても、心身ともに健康な状態を保てる方法論をどれだけもっているかが重要です。

管理職に向いていない人の特徴

最後に、管理職に向いていない人の特徴を紹介します。

他人に任せない

自分でやったほうが早い・教えるのが面倒・部下にはできないと思いこんでいるなどの理由で、他人を頼れない・任せない人は管理職に向いていません。

来る仕事すべてを管理職が自分でやっていたら、大量のタスクに対応するだけで組織の管理がままなりません。管理職は組織管理が主な仕事のため、人に権限移譲していく仕事の仕方をしないと管理職としての道は閉ざされてしまうでしょう。

気分で仕事をする

これは管理職に限らずすべてのビジネスパーソンに共通することですが、気分で仕事をすると、相手に余計な気を遣わせてしまいます。気を遣うシーンを想像するとわかりますが、迷う時間が増えるため仕事の速度が下がり、相手の生産性を大幅に下げる可能性が高いです。

さらに、その行動を繰り返すと部下が「あの人にはついていきたくない」と感じるようになってしまうため、組織全体のパフォーマンス低下が予想されます。感情の起伏が大きい方は、感情を抑える訓練に取り組むことをおすすめします。

言動不一致が多い

部や課の方針など、運営・コミュニケーションの根幹に関わる部分で言動不一致があると、周囲からの信頼が得られません。言動不一致の範囲によってはやり方を変更したと捉えられますが、根幹となる部分で言動不一致が多発すると、どの指示に従えばいいのかわからないという不信感から指示をしても誰も動いてくれなくなる可能性もあります。

そうならないように、自分が発言したことはまず自分が守るなど、基礎的な部分に取り組むよう心がけてみてください。

まとめ

管理職になりたての方、管理職の定義が曖昧な方に向けて、管理職の役割・求められる資質・向いていない人の特徴を紹介しました。役員や一般社員との違い、役職ごとに異なる役割などを紹介したので、管理職はどういう仕事をしなければならない立場なのかを具体的にイメージできたのではないでしょうか。

また、管理職を目指す方にとっては、管理職に求められる6つの資質・特徴と向いていない特徴を知って不得意分野に取り組むことで、管理職への道が早く開かれるかもしれません。

今回紹介した特徴は、管理職のみならずビジネスパーソンとして成長するためにも必要な要素です自分自身の成長のためにもぜひ参考にしてみてください。

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