CMOとはどんな役職? 役割やCGO、CSOなど他のCxOとの違い

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グローバル化する競争に打ち勝っていくため、企業にとってマーケティングの重要性が高まっています。そうした中、企業のマーケティング戦略をけん引する最高責任者の役割を担うのがCMO(Chief Marketing Officer)です。

本記事では、CMOとはどんな役職か、その役割や重要性について解説していきます。

INDEX(読了時間8分)

CMO(Chief Marketing Officer)とは

はじめに、CMOの基本的役割や必要とされる背景を解説していきます。

CMOとは

CMOとは、Chief Marketing Officerの略で、日本語では「最高マーケティング責任者」と呼ばれるポジションです。既存のマーケティング責任者(マーケティング部門の部長など)の枠を超えて経営幹部として企業運営に参画し、企業戦略に則ってさまざまな部署を横断しマーケティング業務を遂行します。

主な業務内容

一般的に、CMOは以下のような役割を担います。

マーケティング部門の統括責任者としての役割

企業が市場優位性を持つためには顧客や社会のニーズを適切につかみ、ベストなタイミングで商品・サービスを提供できるかどうかがカギとなります。マーケティングはそれを実現するのに不可欠なものですが、一貫性を持って施策を進めるためには強力なリーダーシップが必要です。

人的リソースや、資金、蓄積されたノウハウや情報を有効に活用し、最大限の効果を上げていくために、経営的視点を持ってマーケティング活動をけん引していくのが、CMOの役割となります。

マーケティング部門と経営層の関係構築

マーケティング部門は、基本的に経営戦略に即したマーケティング戦略を策定・実行します。しかし、時には現場の声を経営戦略に反映する必要もあるでしょう。
その場合に、CMOはマーケティング部門の最高責任者として、経営陣との間に立ち、企業の意思決定を正しい方向に導いていくことが求められます。

自社の強みの先鋭化と人材育成

データマネジメントや、ナレッジマネジメントなどの管理手法を通して、自社のマーケティングを効率的に実施できるよう導くこともCMOの役割です。
また技術的な面だけではなく、自社のマーケティング戦略実行に必要な人材の採用や育成など、足元からの強化策にも大きな力を発揮していく必要があります。

社内外でのマーケティング部門代表としてのコミュニケーション

マーケティング戦略を推進していくうえでは、広報、営業をはじめとしたさまざまな部門との協働が求められます。社内での協力を得ながら、マーケティング戦略を円滑に実施するベースを作るのもCMOの役割です。

また、対外的に一貫したマーケティング戦略を実施していくためには、外部への積極的な情報発信やステークホルダーとの交流も行う必要があります。

CMOが求められる背景と市場の変化

CMOが求められる背景として、主に以下の3つのマーケティング環境の変化があります。

まず1つ目は、「市場のグローバル化」です。インターネットの普及や、国内市場の縮小などにより、販路が海外にも拡大する一方、競争相手も大きく広がりました。

2つ目は、「消費者の購買行動や購買意識、生活様式の変化」です。ITの進化により、ネットショッピングやSNSを起点とした購買など、従来と異なる消費行動が次々に生まれています。個人の好みも細分化しており、年齢や性別など、個人の属性という大きな集団を狙ったマスマーケティングでは個々のターゲットを魅了することが難しい時代になりました。

3つ目は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「デジタル時代の本格化」です。
外出を控える消費者が増える中で、オンラインでサービスや情報にアクセスできる必要性が高まったり、商談や展示会などのオンライン対応が不可欠となりました。いまや業界を問わず、ビジネスのデジタル化が急務となっています。

このように複雑かつ多様化する市場で企業が戦うためには、マーケティング部門のみならず全社的にマーケティング視点を持つ必要があります。そのため、経営層としての視点と横断的な権限を持ったCMOの需要が高まっているのです。

CMOの日本企業での設置率に関して

日本マーケティング学会の論文によると、上場企業2,800社のうち、CMO(マーケティング部長を含む)のポジションを置いている企業は316社で約11.3%、役員レベルにおける狭義のCMOの設置率は、259社と7.9%になっています。

企業によってCMOについての概念は異なりますが、日本の上場企業でCMOを設置しているのは現状8~11%程度と、そう多くはありません。

なお設置率が高い業界は、食品業界、薬品業界、繊維業界などで、設置率の低い業界には、建設、運輸、金融業界などがあげられます。

※「日本型 CMO の現状と展望」日本マーケティング学会

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日本でCMOが浸透していない理由

日本企業においてCMOが浸透していない理由の一つとして、日本企業の体制があげられます。

日本では部門を横断したマーケティング組織を置いている企業はあまり見られません。これは日本企業におけるマーケティングの定義が、集客・リード獲得といった狭い範囲で定義されていることが多いためです。

また、以前は高品質な商品を作りマス広告を打てば売れると考えられていたことから、マーケティングよりも商品開発により重点を置く企業が多かったことも、経営に明るいマーケターの輩出が進まなかった原因と考えられるでしょう。

なお、マーケティング先進国のアメリカでは、企業活動のすべてをマーケティングに関連付けているため、経営的視点を持った優れたマーケターが多数存在します。

アメリカではCGOという役割も登場

アメリカではCMOに代わるポジションも登場しています。それが、CGO(Chief Growth Officer)「最高事業成長責任者」です。
CGOは、マーケティングに特化せず、すべての分野を通じた成長戦略の実行を担っています。次の章では、CGOやCSOをはじめとした「CxO」と呼ばれるポジションについて解説していきます。

CGO、CSO、その他のCxOの違いについて

ここでは、CMOに関連性のある、もしくは日本でも比較的目にするようになった「CxO」ポジションについて解説していきます。

CGO(Chief Growth Officer)「最高事業成長責任者」

企業成長を目標として、長期的なビジョンと成長戦略を策定し、その責任を負うポジションです。マーケティングやセールス、研究開発、財務といったすべての部門を通じた最適化を行う立場であり、部門に特化しない点で他の役職と異なる特性を持ちます。
近年、アメリカの大企業では、CMOを廃止してCGOを設置する動きも見られます。

CSO(Chief Social Officer)「最高ソーシャル責任者」

現代のマーケティングにおいて重要な位置づけとなりつつあるソーシャルメディアを、戦略的に実施するための最高責任者です。CMOやマーケティング部門と連携し、マーケティング戦略の中でソーシャルメディアの効果を最大限に引き出し、企業利益に貢献することを目指します。

なお、CSOを「Chief Strategy Officer(最高戦略責任者)」や「Chief Sustainability Officer(最高サステナビリティ責任者)」とする企業もあります。

CEO(Chief Executive Officer)「最高経営責任者」

経営の最高権力者です。企業全体の経営方針を決定、経営戦略の立案や推進を行い、企業の事業計画の策定から利益全般について管理し責任を持つ役職です。

COO (Chief Operating Officer)「最高執行責任者」

企業業務を執行する最高責任者です。COOは実質的に企業を動かすNo.2のポジションです。CEOが示す企業目標達成に向けて業務の執行を行います。

COOについてはこちらで詳しく解説しています。
COOとは? 役割や業務内容、CEOとの違いについて

CFO(Chief Financial Officer)「最高財務責任者」

企業財務のエキスパートとして、経営戦略に即した財務戦略を策定。企業価値の向上を図ります。具体的には、社内の会計部門の統括管理、また投資に際しての資金調達や交渉の役割も担います。

CDO(Chief Digital Officer)「最高デジタル責任者」

企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の指揮をとるエキスパートです。企業の DXを推進し、サービスの刷新、組織改革などを進めます。CMOと連携してサービスの改善を図ることもあり、関連性の高い役職といえます。

CMOに求められる知識や経験

CMOに求められる知識や経験は次の通りです。

データ分析力

デジタルマーケティングが主流となっている現代では、集積したデータをどのように活かすかもCMOの重要な役割です。自社に必要なデータを見極め分析する力はCMOに必須といえるでしょう。

顧客理解(市場理解)

顧客と市場のニーズが読み解けなければ、有効なマーケティング戦略は生まれません。顧客には何が求められているのか、また次の動きはどのようなものなのか、先を読む力が問われます。

経営者視点

マーケティングの最終的な目標は、継続的な企業利益です。経営戦略に従い、企業の中長期的な利益をも視野に入れたマーケティング戦略を策定する力が求められます。

マネジメント/チームビルディングの十分な経験

CMOはマーケティング領域での最高責任者であり、掌握すべき部門は多数あります。そのためマネジメントの豊富な経験や強力なチームビルディングの力が求められます。

また、さまざまな部署と連携しながらマーケティング活動を推進するための世代や組織を超えたコミュニケーションスキルが求められます。

デジタルやITに関する知識

CMOは、データ分析やデータ収集のツールについて理解していることが前提です。現在はマーケティングオートメーションツール(MAツール)の活用機会も増えているため、運用の実績や経験は企業からも求められています。

CMOになるためのキャリアパス

続いて、実際にCMOを目指すにはどのようなキャリアパスがあるか確認しましょう。

マーケティングマネージャーやブランドマネージャーから目指す

マーケティング部門で実績を積みマネージャーとしての経験を積んだ後に、CMOへ就任するのは、王道のキャリアパスの一つといえるでしょう。

また、ブランドマネージャーは、個々のブランド戦略を担当し、マーケティングの第一線を経験します。ブランド戦略の組み立てについて熟知したブランドマネージャーにとって、CMOは目指すべきゴールともいえるでしょう。

マーケティング職のキャリアについてはこちらで詳しく解説しています。
【マーケティングの転職】ハイクラスを狙うならデジタル、グローバル、アライアンスを味方に

マーケティング担当を未経験者から目指す場合

マーケティング未経験からCMOを目指すのであれば、どこかの時点でマーケティング職にキャリアチェンジをする必要があります。

例えば営業職やカスタマーサポート職の方であれば、自社の商品やサービスのフィードバックを聞く機会に恵まれています。

その経験を基に「自分ならば、どうやってサービスに対してマーケティングを行っていくのか」を考え、マーケティング職にキャリアチェンジできれば、その先にCMOを目指すチャンスは広がるでしょう。

自社での昇進が難しい場合は転職してCMOを目指す方法も

「自社での昇進が難しい」「他の企業で力を試してみたい」という場合は、転職でCMOを目指す方法もあります。

ただし、一般的に企業は重要ポジションの採用ほど非公開で進めるケースが多いため、転職サイトでCMOの求人を見つけることは難しいでしょう。
CMOとしてのキャリアを目指すのであれば、ハイクラス人材に特化した転職エージェントやヘッドハンティングサービスの活用がおすすめです。

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CMOの求人実績や将来性について

doda X(旧:iX転職)の過去の実績では、CMOの求人は1,000万円を超えるケースも珍しくありません。
市場のグローバル化、DXの推進により、今後もCMOの需要は続いていくでしょう。

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日本企業でもCMOの重要性はさらに高まる

グローバル化や消費者行動が変化していく中、企業においてマーケティングの重要性は高まる一方です。その際に、部門を横断して継続的なマーケティング戦略を担うCMOは、今後も必要な存在であり続けるでしょう。

今後、より広い裁量と権限を持ってマーケティングや経営に取り組みたい方は、CMOを目指してみてはいかがでしょうか。

 

この記事のポイント

Q.CMOの仕事内容は?何をする人?
A.CMO(Chief Marketing Officer)は企業のマーケティング戦略をけん引する最高責任者の役割を担います。加えて、経営層との間に立ち、マーケティング戦略をもとに企業の意思決定を導いたり、人材採用や育成など、組織の強化も行います。
 
Q.CMOの意味とは?何の略?
A.CMOとは、Chief Marketing Officerの略で、日本語では「最高マーケティング責任者」と呼ばれるポジションです。既存のマーケティング責任者(マーケティング部門の部長など)の枠を超えて経営幹部として企業運営に参画し、企業戦略に則ってさまざまな部署を横断しマーケティング業務を遂行します。

Q.CMOにはどんな知識や経験が必要?
A.CMOには、①データ分析力 ②顧客理解力 ③経営者視点 ④マネジメント・チームビルディングの経験 ⑤ITに関する知識、など多岐にわたる知識や経験が求められます。デジタルマーケティングが主流となっている現代では、集積したデータをどのように活かすか、またどのようなツールを運用して分析するかなど、ITに関する知識も求められるようになっています。

Q.なぜ日本ではCMOが浸透していない?
A.日本企業においてCMOが浸透していない理由の一つとして、日本企業の体制があげられます。

日本では部門を横断したマーケティング組織を置いている企業はあまり見られません。これは日本企業におけるマーケティングの定義が、集客・リード獲得といった狭い範囲で定義されていることが多いためです。また、以前は高品質な商品を作りマス広告を打てば売れると考えられていたことから、マーケティングよりも商品開発により重点を置く企業が多かったことも、経営に明るいマーケターの輩出が進まなかった原因と考えられるでしょう。

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