管理職への転職は難しい? 失敗しないためには? ヘッドハンターが徹底解説

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管理職への転職」と聞くと、通常の転職よりもハードルが高めに感じる方が多いのではないでしょうか。一方で、管理職への転職の実態を知る事は、現実にはなかなか難しいものです。

今回は、ヘッドハンターに聞いた管理職転職の動向と求められるスキルや成功へのポイントなど、参考となる情報をまとめて解説していきます。

INDEX(読了時間10分)

管理職への転職が難しい理由

管理職への転職を成功させるためには、まず採用のハードルが高くなる理由についての理解が必要です。ここでは、管理職への転職の難しさと、転職後の失敗理由について解説します。

管理職への転職が難しい理由

管理職への転職が難しい理由の一つは、「経営に近い求人であるほど公開されていることが少ない」ということがあげられます。転職サイトを見れば、常に多くの求人が並んでいますが、管理職の求人はそのごく一部にすぎません。一般的な求人と比較するとかなり限られていることがわかります。

また、当然のことですが、管理職になるためにはチームをマネジメントする高いスキルが必要です。詳細は、後半で解説しますが、メンバーとして実績を上げていたとしても管理職には適さない場合もあります。

「管理職として認められるための実績アピールが難しい」ということも理由の一つです。管理職は、マネジメント力が問われるため、経験がないと難易度が高くなります。実績を正しく伝えるためには、自分がしたことを冷静に把握し、客観的に自己評価できていなければなりません。

例えば、どういうところを大事にして部下を育ててきたか、あるいは管理者として自分が実現してきたことなど、組織ではなく「自分自身」が成し得た実績を言葉で伝えることが必要です。そのため、管理職未経験者の場合は、それだけでハードルが上がるといえるでしょう。さらに、メンバークラスの求人以上に求められるスキルが企業によって異なります。

企業規模が違えば、管理職のあり方も変わります。例えば、中堅以上の企業では、より専門性の高さが問われ、中小企業では幅広い業務を柔軟にこなす器用さが問われることもあるでしょう。転職先を決める際には、その企業が求める管理職像をしっかりと確認しておくことが必要です。

現在、管理職の場合は、未経験者とは異なる難しさがあります。よほどアピールできる実績やスキルがあれば別ですが、通常は現職以上の待遇の求人に巡り合うのは困難でしょう。また、管理職としての基礎体力があっても、企業によってルールが違うと、思うようなパフォーマンスが発揮できない可能性もあります。

管理職への転職後、すぐに失敗してしまう理由

パーソル総合研究所(旧インテリジェンスHITO総合研究所)が行った「マネジメント職の転職実態調査(2015)」によると、以下のような傾向が見られました。

Q:転職後の自身の変化について「転職は成功だと思える」
・成功を実感している層:45.8%
・成功を実感できない層:13.8%
・どちらともいえない層:40.5%

成功を実感できている層が約半数を占めているものの、どちらともいえない層が約4割もいます。

いままで管理職の経験がない場合は、新しい企業で部下となる社員が納得しないことも予測されるでしょう。そのため、ある程度の規模の企業では、管理職の経験がある方が求められる傾向です。

一方で、マネジメントスタイルが、社風や社内のメンバーと合わないというケースもあります。現在、管理職の場合は、過去の実績によるプライドが邪魔をして転職先で反発を招く可能性も否めません。

未経験者の場合は、「管理職」の肩書きを手にしたことで、周囲が見えなくなってしまうケースも起こり得ます。プレッシャーにより、成果を焦ってしまい冷静な判断ができなくなる可能性もあるでしょう。

先の調査では「募集の背景・目的」といった企業側からの説明が十分なされていると、転職の成功実感が得られやすい傾向が見られます。「入社前に聞いていた仕事と異なることを任された」「裁量のイメージが異なっていた」など、応募先への理解の不足が失敗を招く大きな原因になりそうです。

管理職への転職では、最初の3ヵ月の動き方が大事といわれています。いったん姿勢を低くして、目線を下げ、周囲の状況を観察しながら動き方を決めるくらいの慎重さが求められるでしょう。

管理職の求人の傾向

コロナ禍を経て、管理職の求人はどのような傾向にあるのでしょうか。日系企業、外資系企業を問わず、管理職クラスの求人は新型コロナウイルス感染症の影響によって、減少または募集停止の状況にありました。業務のあり方がコロナ前と大きく変化したことで、企業内の採用フローも改変を余儀なくされている状態です。

そのため、企業運営の軸足が定まるまでは、外部からの登用を控える企業が多く見られました。社会の落ち着きが戻りつつある中、ステイ状態から徐々に動きが見えてきています。ただし、外資系企業については、日系企業よりも遅い傾向があると言われています。

理由はコロナ禍に伴い、半導体価格の高騰や工場の稼働停止などの影響があり、本国での事業をどうするかが、まだ定まっていないケースがあるためです。こういった事から、管理職の求人に関しては、日系企業がようやく動き始めたといったところです。

管理職求人のトレンドとしては、担当業務のプロフェッショナルであるということだけでなく、マネジメント力(特にヒューマンマネジメント)があり、採用から人事制度、定着の促進や教育・研修、部下の満足感の醸成など、全域的な課題に取り組める管理職が理想とされています。

基本的に管理職の求人では、管理職経験やマネジメント経験が求められます。特に、中堅・大手企業では、前職が管理職でない場合、管理職として入社するのは非常に難しい傾向です。

創業間もない中小企業、あるいはスタートアップやベンチャー企業であれば、前職で管理職の地位にいなくても、実績次第で管理職になれるチャンスも期待できます。ただ、その場合は企業規模のサイズダウンを念頭に置くことが必要です。

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管理職とは? 基本について解説

ここでは、改めて管理職の役割を確認し、現在求められているスキルについて解説します。

そもそも管理職とは

管理職とは、名称通り、「部下を指揮・管理する職位」です。企業によっても役職名称は異なりますが、一般的には以下のような役職名で呼ばれるポジションを指します。

・本部長
・部長
・次長
・課長

管理職には、一定の範囲での業務における裁量権が与えられますが、当然責任も付帯します。管理下にある部下の業務についての責任を負い、対処する義務が求められているのです。

管理職に必要とされるスキル

管理職として必要とされる主なスキルは、以下のようなものがあります。

・業務を遂行するスキル
・対人関係に関するヒューマンスキル
・事業全体の動きを見ながら解決策を見出すためのコンセプチュアルスキルなど

管理職への転職は、実績や経験が重視されます。そのため、即戦力として組織で成果を出せる人材であることが重要です。最新の業界知識やスキルを持ち、事業の成長に貢献できる能力がなければなりません。

加えて、業務を遂行する社員の適切なマネジメントを行うためには、優れたコミュニケーションスキルと、リーダーとしての信頼性が求められます。プレイヤーとして非常に優秀な人材でも、管理職には向かない方がいらっしゃるのも事実です。

例えば、営業のハイパフォーマーの場合、「販売実績が上がらない部下の気持ちがわからない」といった面があるかもしれません。管理職は、どのようなタイプの部下に対しても、丁寧に耳を傾け、それぞれの部下の状況を受け止めたうえで成長へと導ける技量が必要です。

管理職やマネジメントの経験や実績は、特に重要となります。職務経歴書では、管理職経験や役職のほか、部下の有無とその人数や人事考課の経験、マネジメント人数など、定量的ファクトが大切です。
企業側が知りたいのは、表向きの実績ではなく管理能力です。前職場でどのような立ち位置で、どのくらいの人数を束ね、業務を回してきたのかというその手腕が問われます。

また、客観的に自分を見ることができ、過少・過大なく自身の市場価値を判断できる能力も求められます。冷静に把握し自己評価できる人材は、管理職としても有能といえるでしょう。

管理職に転職するメリット

管理職へ転職することで得られるメリットには、以下のようなものがあります。

  • 給与が上がる可能性がある
    管理職には手当が付くほか、責任あるポジションということもあり、現職よりも収入を上げられる可能性があります。分野に特化したエキスパートとして認められれば、市場価値に見合うだけの待遇が期待できるでしょう。
  • 裁量権が大きい
    管理職には、「一般社員を管理する責任」「業務上の裁量権」が与えられます。事業全体への提案もしやすくなり、自分の考え方に沿った部下の配置で業務が進められるでしょう。
  • 企業経営に近づける
    上記とも関連しますが、一般社員よりもワンランク上の次元で事業に参画することが可能です。管理職以上の会議では、経営陣と並んで意見を述べる機会が得られるでしょう。同時に、企業の重要情報へのアクセスも可能となるケースもあります。
  • 仕事量と時間のコントロール
    部下のマネジメントだけでなく、自分に関しても仕事量や時間についてのマネジメントが可能となります。優先事項を決め、任された範囲での業務効率化を進めることも管理職であれば容易です。
  • 上位の管理職(役員)へのステップアップ
    管理職を経験しておくことで、将来的なステップアップにつなげられます。例えば、技術系管理職のキャリアパスを見た場合、最終的な目標としてCIOかCTOを狙うことも期待できるでしょう。マネジメントか専門性かのどちらを極めるかで、キャリアパスの描き方が変わってきますが、管理職経験がないと上位クラスのポジションは望めません。

失敗しないために! 管理職への転職を成功させるポイント

求人の傾向でも伝えたように、管理職の求人が転職サイトに多数あるわけではありません。管理職への転職方法として効率的なのは、以下のようなサービスの利用です。

・エグゼクティブの実績を持つヘッドハンティングサービスの利用
・管理職の転職に強い転職サイトの利用
・ハイクラスの転職に特化したエージェントの利用

管理職を含む企業の重要ポジションは、外部に情報を知られるのを避けるため、非公開で募集をかけることが多くあります。
そのため、いずれも非公開求人も多く扱っている上記のようなサービスを利用すると良いでしょう。

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事前準備や調査をしっかりおこなう

どのような転職でも、情報戦略が成否を決めます。求められる管理職像は、企業によって異なるため、応募先企業のニーズをしっかりと理解することが必要です。自身のキャリアの棚卸や、自己分析を行い、企業とのマッチングを確認します。特に、管理職では未経験の業界や職種を避けるのが賢明です。

成功パターンの例では、「管理職」というタイトルにこだわらず、自分が何者なのかがわかっている人材に勝機があります。極端にいえば、「ポジションは要りません、自分で動いてみてから必要であれば後からください」というぐらいの気概が必要です。「現場に入ってみたい」という意志が感じられる人材であれば、企業側の印象も異なるでしょう。

また、経営陣の考え方を理解し、数字や自分が背負うべきミッションを自分自身で想定できる人材であることも重要です。例えば、「3年後の会社がどうなっていて欲しいのか」「それに対して自分として何ができるのか」を伝えられると、管理職としての責務を任せられる人材として評価されるでしょう。

管理職への転職に挑む方は、面接において誰でも語れる美しい回答は求められていません。むしろ、双方の本音を紐解けるような面接であれば、その企業に貢献できる可能性を引き寄せられるでしょう。

管理職未経験者の方の場合は、今すぐ管理職として登用されなくても、管理職候補などの条件にかけることも選択肢の一つです。「管理職の経験がないけど管理職をやってみたい」という方は、自分のキャリアを活かし、中長期的な視点から管理職へステップアップしていく可能性にかけてみてはいかがでしょうか。

実績や経験、自己を振り返り、管理職への転職を実現させよう

管理職への転職は決して容易ではありません。しかし、豊富な実績のあるエージェントやヘッドハンティングを活用することで、ステップアップの機会を得られる可能性があります。重要なのは、自分のキャリアと企業側のニーズとのマッチングです。これまでの実績や経験をしっかりと振り返り、管理職への道を探っていきましょう。

監修

澤本 静
パーソルキャリア(株) エグゼクティブエージェント エグゼクティブコンサルタント

大手人材総合サービス会社にて、法人営業、カウンセラー、新規事業立上げ、マネジメント業務に携わった後、最大手医療ポータル運営会社にて新規事業開発に従事。その後、当社に参画。経営企画・新規事業企画職全般の転職支援に強みを持つ。

竹村 潤
パーソルキャリア(株) エグゼクティブエージェント エグゼクティブコンサルタント

大手企業で営業を経験後、人材業界へ転身。以後、IT/インターネット業界に特化し、求職者、採用企業、双方の転職/採用支援に従事。マネージャーとしてマネジメント業務にも携わりながら、一コンサルタントとしても活躍。2014年より現職。その後、IT/インターネット業界のコンサルタント歴15年のノウハウを活かし、エンジニアやクリエイティブ職に限らず、経営企画等の管理部門職も含め網羅的な支援を行っている。大手メディアでの顧客満足度に関する表彰の受賞歴有り。

[編集・構成]doda X編集部

この記事のポイント

Q.管理職の転職は難しい?その理由は?
A.メンバー層の転職とは違い、管理職の転職は難しい傾向があります。理由は、①メンバー層と比べ、求人数自体が少ないこと、②実績のアピールが難しいことなどが挙げられます。
Q.管理職の転職に失敗する理由は?
A.さまざまな理由がありますが、社風や社内のメンバーと合わない、転職先の業務に対する理解不足、またプレッシャーにより冷静な判断ができなくなってしまう、などが失敗を招く原因に繋がります。

Q.管理職に必要なスキルとは?
A.管理職として必要とされる主なスキルは、次のようなものがあります。
・業務を遂行するスキル
・対人関係に関するヒューマンスキル
・事業全体の動きを見ながら解決策を見出すためのコンセプチュアルスキルなど
Q.管理職に転職するメリットは?
A.管理職へ転職することで得られるメリットには、①給料が上がる可能性がある、②裁量権が大きくなる、③企業経営により近づくことができる、などが挙げられます。

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