米国公認会計士(USCPA)とは? 難易度や活かせる業界・将来性、転職で活かすためのポイント

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公認会計士といえば、会計監査のプロフェッショナルかつ、企業会計に精通するエリートですが、その米国版が米国公認会計士(USCPA)です。経済紙などでも時々目にするため、興味を持っている人もいるのではないでしょうか。

今回は、米国公認会計士という資格についての概要や資格取得の難易度、日本の公認会計士との違い、資格取得により活躍できる業界や転職への影響力について解説します。

INDEX(読了時間8分)

米国公認会計士とは?難易度(合格率)はどれくらい?

米国公認会計士は国際的に知名度がありますが、日本国内ではあまり耳にしない資格です。はじめに、米国公認会計士の基本的な知識と難易度、その他の資格との違いを解説します。

米国公認会計士の概要

USCPA は、「U.S. Certified Public Accountant」の略語で、米国公認会計士協会が認定する会計士資格です。米国各州で認定が行われており、国際ビジネス資格の中でも世界に広く知られています。
資格を取得すれば、会計のプロフェッショナルとしての証が得られ、幅広い分野でグローバルに活躍することが期待できるでしょう。

USCPAは、米国の資格ですが世界150ヵ国以上にわたり約40万人が取得しているのをみても、資格を持つことの優位性が感じられます。

受験資格と難易度(合格率)

2020年における、米国公認会計士の平均合格率は57.7%でした。一方で、2019年における日本在住者の平均合格率は、41.2%と少ない傾向です。全体では2人に1人、日本からでも3人に1人が合格しています。

米国の資格制度の特徴として、取得後のレベルアップが前提となるため、資格取得自体に関しては、極端に難易度が高いわけではありません。米国公認会計士の受験資格は州ごとに定められていますが、受験については特に年齢制限は設けられていません。

受験資格は大きく分けると「学位要件」「単位要件」の2つです。

  • 学位要件
    4年制大学卒で学士号を保有していることが条件となります。一部の州では一定の条件下で大学在学中でも受験可能です。
  • 単位要件
    会計単位とビジネス単位の一定数以上保有が必要です。日本の大学を卒業している場合、米国の各州が求める会計単位を満たしていない傾向があります。複数の教育機関の単位を合わせてカウントできるため、受験を目指す場合にはビジネススクールなどに通い追加で取得しましょう。

試験科目は、以下の4つとなっています。

・財務会計:FAR(Financial Accounting&Reporting)
・企業経営環境・経営概念:BEC(Business Environment&Concepts)
・諸法規:REG(Regulation)
・監査および諸手続き:AUD(Auditing&Attestation)

実務レベルの基本的な問題が広く出題され、18ヵ月以内に4科目を受験し、全科目合格すれば資格を取得できます。18ヵ月で合格が失効するため、間に合わなかった場合は再度受験が必要です。

日本の公認会計士との違い

日本の公認会計士は国家資格であり、国内で公認会計士として働くための必須資格です。そのため、米国公認会計士の資格だけでは、日本の公認会計士に認められている監査などの独占業務を国内で行うことはできません。

米国公認会計士は、認可した州や国際相互承認協定(MRA)参加国となっているオーストラリアやカナダ、香港などで会計士として働くことが可能です。

難易度の比較では、米国公認会計士の合格率が全体で30%前後といわれているのに対して、日本の公認会計士の合格率は10%程度と日本のほうが合格率は低い傾向です。合格するための準備についても、公認会計士は3,000時間程度、米国公認会計士は1,000~1,500時間程度とされています。

国際会計検定(BATIC)の違い

米国公認会計士と似ている資格に、国際会計検定(BATIC)があります。
大きな違いは、扱う会計基準が異なっている点です。米国公認会計士では、米国会計基準(USGAAP)をベースとしていますが、国際会計検定は国際会計基準(IFRS)ベースです。

ただし、米国会計基準と国際会計基準の違いは、現在2~3割程度です。米国公認会計士で、米国会計基準をしっかりと押さえてから、知識を補完していくことで国際会計基準の習得も目指せるでしょう。

米国公認会計士を取得するメリット

米国公認会計士は日本国内で公認会計士として働くことはできません。しかし取得することで得られるビジネス上のメリットはあります。
ここでは米国公認会計士を取得することで得られる3つのメリットについて解説します。

活躍の場を世界に広げられる

米国公認会計士の資格を保有することで、米国会計基準について深く理解することができます。
外資系企業で働く場合に強い武器となる点はメリットです。米国公認会計士の資格が、活躍の場を世界に広げるためのチャンスを与えてくれるでしょう。

米国の監査法人・会計事務所などを目指す際には、米国公認会計士が必須です。
日本国内でも海外との関連性が深い企業・監査法人などのコンサルティング業務や会計専門職ならば、十分に資格を活用できます。相互承認制度の対象国であるオーストラリア・カナダ・香港などでは、会計士として働くことが可能です。

三大国家資格なので独占業務ができる

米国では米国公認会計士が、医師や弁護士と並ぶ三大国家資格と見なされています。日本と同様に、企業や組織に対する監査業務は公認会計士のみに許された独占業務です。
米国および、先にあげた相互承認制度の国々であれば、こうした独占業務を実施することが可能となります。

英語を使った会計業務が行えることを証明できる

米国公認会計士の資格を保有していることは、一定の語学スキルを持っている証にもなります。
米国公認会計士を取得するには、英語での会計実務知識が必要です。海外でのビジネスシーンに通用し、会計業務における専門用語を自在に使いこなす人材として認められることが期待できるでしょう。
日本の企業でも財務に詳しく、語学に堪能な人材はどの分野でも重宝されます。

米国公認会計士を活かせる業界とは?

米国公認会計士取得後は、どのような仕事で活躍できるのでしょうか。資格が活かせる業界としては、以下のような分野があります。

コンサルティングファーム

M&A業務やクライシスマネジメントなど、米国公認会計士の資格取得で培った知識を活かせる仕事が多数あります。M&Aでは監査に通じるデューデリジェンス、クライシスマネジメントでは調査やリスク対応などが米国公認会計士との親和性の高い業務といえるでしょう。

監査法人や会計事務所、金融機関

会計監査やアドバイザリー業務について、米国公認会計士の知見を活かすことができるでしょう。監査そのものは、日本の公認会計士の資格がなければできません。しかし、監査にまつわる知識を持つ人材は、監査に付帯する業務や、監査への対応業務を受け持つことが可能です。

外資系企業や海外に拠点を持つ日系企業

外資系企業や日系企業の海外拠点における、経理や財務、予算作成、経営分析、経営企画といった部門での活躍が期待できます。これらの仕事では、企業会計の知識に加え、英語力が求められることも多いため、米国公認会計士の資格に裏付けされた語学力とあわせてスキルを活かせるでしょう。

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転職市場における米国公認会計士の将来性・求人動向

米国公認会計士の資格を活かした仕事は、単なる計算やデータの操作でできる業務ではありません。状況や市場の変化に合わせた対応は自動化が難しいため、簡単にAIやロボットに代わる仕事ではないといえます。

市場のグローバル化が急進する中、日本企業でも会計業務を国際基準に合わせる動きが大きくなってきています。海外との取引も増え、米国公認会計士の知見が求められる場は少なくありません。
会計・財務知識に加え、英語力にも秀でた米国公認会計士保有者は、今後も転職や昇進においてアピールできる資格の一つといえるでしょう。

米国公認会計士は転職に有効か?よくある疑問について解説(Q&A)

米国公認会計士の取得は、転職で有利にはたらくのでしょうか。転職でよくある疑問を解説していきます。

米国公認会計士は外資系企業への転職で有利になるのでしょうか?

米国公認会計士保有者は、外資系企業へ転職する際のアピールポイントになると考えられます。外資系企業では標準となる英語の財務諸表も読めるため、一定の英語力があることの裏付けにもなります。

また、MRA(国際相互承認協定)という制度により、対象国であれば公認会計士として働くこともできます。外資系への転職を考える際は、米国企業以外も視野に入れて検討することが可能です。

米国公認会計士は日系企業への転職でも有効なのでしょうか?

米国公認会計士協会と日本の公認会計士協会はMRAを締結していないため、公認会計士として国内で業務に当たることはできません。しかし、グローバル化の波によって国際的に通用する米国公認会計士の需要は高まっているといえるでしょう。

海外進出や海外企業との取引の際、米国公認会計士の知識は非常に役立ちます。

米国公認会計士の資格を取得すると年収は上がるのでしょうか?

単に資格を取得しただけでは必ずしも年収がアップするとはいえないでしょう。冒頭でも伝えたように、米国公認会計士は取得後の実績の積み重ねが前提とされる資格です。

米国公認会計士制度では、試験合格後2年間の実務経験が必要となります。実務経験を経てはじめて米国公認会計士と名乗ることができるのです。資格と知識に裏打ちされた経験により、年収アップを目指していきましょう。

【ハイクラス向け】米国公認会計士を転職で活かすためのポイント

米国公認会計士は、国際的にも認められる企業会計の資格です。しかし、保有しているだけで必ずしも転職が有利になるわけではありません。

米国公認会計士を転職に活かすのであれば、海外進出に軸足を置いた企業の会計税務や、大手税理士法人の国際税務の部門、M&Aコンサルティングなどが挙げられます。自分の希望や適性を見極めながらキャリアを検討しましょう。

ハイクラス転職の場合には特に、資格よりも実績を重視する傾向があります。資格に頼るのではなく、実績を整理して、第三者に論理的に成果を説明できるようにしておくことも大切です。

また、ハイクラスのポジションを探す場合にはヘッドハンティングサービスの利用が効果的です。
企業は重要ポジションであればあるほど、非公開で採用を進める傾向があります。ヘッドハンティングサービスは、秘匿性の高い求人を扱うヘッドハンターから求人のスカウトを受けとることができるため、希望の求人に出会うチャンスが広がります。

米国公認会計士の取得により、国内外で活躍できるハイクラス人材を目指そう

米国公認会計士は、日本の公認会計士とは異なる魅力があります。資格の保有により、キャリアアップを狙う際のアピールポイントの一つとなります。また、米国公認会計士の需要は、今後も続くと予測されます。資格を有効活用しグローバル人材として活躍の場を広げていきましょう。

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