DX人材とは? 需要や求められるスキル・マインドセット、年収やキャリアパスを徹底解説

doda X(旧:iX転職)は、パーソルキャリアが運営するハイクラス転職サービス。今すぐ転職しない方にも登録いただいています。
今の自分の市場価値を確かめてみましょう。
リモートワークの普及やデジタル庁の設置によって、ますます企業のDX化が加速しています。
それに伴い、どの企業でもDXを担う人材の採用競争が激化しているのが現状です。
この記事では、DXの基礎知識や今後の展望を踏まえ、企業から求められるDX人材とはどのようなスキル・マインドセットを持つのか、詳しく解説していきます。
- INDEX(読了時間8分)
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
デジタルトランスフォーメーション(=Digital Transformation、DX)とは、広義ではITを浸透させることで、人々の生活をより良い方向に変化させることを指します。独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)によると、日本におけるDXの定義は、
AI や IoT などの先端的なデジタル技術の活用を通じて、デジタル化が進む 高度な将来市場においても新たな付加価値を生み出せるよう従来のビジネスや組織を変革すること
とされています。※ デジタル技術を効果的に活用し、企業変革を実現することや、企業価値や利益を高めることがDXであり、現在多くの企業がDXを推し進めています。
※「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」情報処理推進機構(IPA)
DX人材が求められている背景
DXが強く推進されている背景には、日本の労働生産性の向上の必要性が一つ理由として挙げられます。
総務省の資料によると、2019年の日本の労働生産性は加盟国中もっとも低い一方で、一人当たりの就業時間はイタリア、アメリカに次いで3位と、生産性を長時間労働で補っている実体が浮き彫りになっています。※
そこで、DXによる生産性向上を国としても推進しているのです。さらにコロナ禍でリモートワークが進む中、さまざまな企業でDX人材を採用する必要性が高まり、採用競争が加速しています。
※「企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーション の現状と課題」総務省
doda X(旧:iX転職)に登録してヘッドハンターからスカウトを受け取る |
DX人材が担う主な職種(仕事内容)
経済産業省が2020年に発表した「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」において、DX人材として定義したのは、以下の7つの職種です。
プロダクトマネージャー | プロダクト(DXやデジタルビジネス)の実現を主導するリーダーであり、プロダクトのマーケティング全体を見通す責任者。管理職クラスが相当 |
ビジネスデザイナー | DXやデジタルビジネスの事業として成立させるためのビジネスモデルを設計し、アイディアをマネタイズするシステムを構築する人材 |
データサイエンティスト | 自社の事業・業務に精通し、ビジネスに活用するためのビッグデータ分析、解析を行う人材 |
テックリード | DXやビジネスに関するシステム設計から、開発、実装までを行うエンジニア |
エンジニア/プログラマー | テックリードの指揮下でシステムの実装やインフラ構築、保守などを担う人材 |
UI/UXデザイナー | ユーザー向けのデザインを担当し、DXやデジタルビジネスのシステム面におけるユーザーインターフェースを設計する人材 |
先端技術エンジニア | 機械学習やブロックチェーンなど、先進的なデジタル技術の開発と研究を担うエンジニア |
ひとくちにDXといっても、企業によって求める要素が異なるため、どの職種も全般的に需要が伸びているといえるでしょう。
特にハイクラス領域では、ビジネスの推進やプロジェクトの牽引を期待するため、プロダクトマネージャーやビジネスデザイナー、テックリードに対する需要が高い傾向があります。
DX人材に求められるスキル・マインドセットとは?
では、DX人材にはどのようなスキル・マインドセットが求められるのでしょうか。
DX人材の適性である6つの因子
情報処理推進機構 (IPA)では、DXを推進する人材の適性因子として、以下の6項目を挙げています。まずはそれぞれ具体的な内容を確認していきましょう。
- 不確実な未来への創造力
・新しい分野への取り組みに対する積極性
・取り組む領域を自ら定めて、ありたい未来を描き、現状の問題を発見し、チャレンジする姿勢 - 臨機応変/柔軟な対応力
・変化を先読みする先見性
・計画に縛られず、さまざまな状況変化に対して柔軟に対応しながら、目標を見失わずに結果に辿り着くマネジメント能力
- 社外や異種の巻き込み力
・周囲のメンバーを巻き込むだけでなく、外部とも関わり、自分の成長や変化の糧にできる、多様性の受容力
・複数の組織に横断的に関わる調整力 - 失敗したときの姿勢/思考
・失敗を成功のための過程と捉え、立ち止まらない姿勢
・成功体験ではなく失敗体験を活かし、成功への道筋を作る力 - モチベーション/意味づけする力
・取り組みたい課題について考えを落とし込んで言語化し、解決に対して前向きに自分自身の動機付けができる姿勢
・主体性や好奇心の強さ - いざというときの自身の突破力
・解決困難と思われる状況に対し、さまざまな打開策を模索し、壁を突破するための指揮力
・責任感や当事者意識の強さ
出典:「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」独立行政法人 情報処理推進機構 (IPA)
職種によって求められる適性は異なりますが、「不確実な未来の先にある目的を見据え、柔軟に対応しながら、周囲と協力し、自分自身でモチベーションを高め、失敗してもそこから学び、困難を突破する」ことが、DX人材に期待されているといえるでしょう。
DX人材として大切なのはビジネスをデザインする力
DXによって企業に新しい価値を与えることは、DX人材として求められる基本的な要素です。特にハイクラスのポジションであれば、経営者目線でDXを活用したビジネスをデザインできることが重視されます。
ビジネスデザインとは、デザイナーのように考える「デザイン思考」によって課題の解決に取り組むことで、今までにないサービスや価値の創出に繋げることです。
従来の製品やサービスは、「利益につながるのか」あるいは「技術的に可能か」といった、提供側の都合が優先されてきました。
しかし今後、DXを推し進めていく中で企業価値を高め、収益性に結びつけるためには、ユーザー視点で抱えている問題を明確にし、解決に取り組むデザイン思考が欠かせません。
一方で上記を意識しIT技術と連携したビジネスデザインができるDX人材は現状少なく、今後さらなる不足が予測されていることから、需要の高いスキルなのです。※
※「デジタルトランスフォーメーションに必要な技術と人材」独立行政法人 情報処理推進機構 (IPA)
doda X(旧:iX転職)に登録してヘッドハンターからスカウトを受け取る |
異業種や未経験でもDX人材として活躍できる?
DX人材は上で述べた経済産業省が定義した職種のみに必ずしも限られません。
前述のように、ビジネスデザインはDXが進む中で、企業経営に寄与する大きな要素と考えられています。ITやデータサイエンスに関する知見を身に着け、自分の培ってきた専門スキルにITを活用してビジネスを推進できれば、異業種からでも広義ではDX人材として活躍するチャンスがあります。
マーケティング出身の人がECに関連する業務で成果を発揮する、というのもその一例でしょう。ビジネスを創造・成長させていくマインドに、ITに関する知識をかけあわせていくことで、仕事の幅やキャリアの選択肢が広がるのです。
DX人材の需要や年収とは?
高いニーズを持つDX人材、今後はどうなるのか
「DX人材が求められている背景」の章で解説したように、DX人材が不足している現状、今後も高い需要が続くでしょう。
しかし、DXもいずれコモディティ化する可能性があります。ハイクラス人材であれば、今後DXが進んだ先に訪れるアフターデジタルを見据えたキャリアを考えていく必要があります。
その際に重要性の増すスキルとしては、「デザイン」に関するセンスが一つ挙げられるでしょう。
ユーザーは、仮に同じようなサービスや商品が提案された時、よりユーザー体験が優れたものを選択します。そのため、よりクリエイティブな視点でビジネスを創造できる力へと、需要が移っていく可能性があるのです。
DX人材の年収は?
DX人材の年収は、CIOやCTOに就任することで、企業規模によっては数千万円に至るケースもあります。一方、企業規模が小さいスタートアップ企業では、同じCTOであっても比較的に報酬は下がります。
但し、ハイクラスのDX人材の場合、年収よりも自分がしたい経験によって企業規模やポストを選び、キャリアを積むケースも少なくありません。
早い段階でCTOを経験したいのであえてスタートアップ企業を選ぶという人もいれば、大きいプロジェクトを動かしたいので大手企業を選ぶという人もいるため、自分の優先順位を考えることが肝要です。
DX人材のキャリアパス
DX人材のキャリアパスは、経営人材、CxOや、技術マネジメント責任者(VPoE)などさまざまです。
年齢でみると、DX人材として企業が求めるのは30代~40代前半が中心ですが、CxOクラスになると40代後半~50代の人が活躍することも珍しくありません。
近年では、多様化する働き方により、正社員ではなく自分が興味関心のある分野にまずは副業から参画するという人も出てきています。
実際に、パーソル総合研究所の調査によると、企業がすでに受け入れている、または受け入れを検討している副業者の職種でもっとも多かったのは「営業」19.6%に続き「ITエンジニア」が15.6%、「情報システム関連」が13.7%と、IT関連職種が上位に挙がっているというデータもあります。※
※「自社の正社員の副業を企業が容認・禁止している割合」パーソル総合研究所
DX人材の求人に応募する際に気を付けたいポイント
続々とDX人材が募集されるなか、実際に求人に応募する際にはどのような点に気を付けるべきなのでしょうか。
同じ職種でも企業によって求めるスキル・マインドセットは異なる
同じ名前の職種でも、企業によって実務上の職域が異なる場合があります。
例えば一言でプロダクトマネージャーといっても、マーケティングに強みがある方や、データに強い方、エンジニア領域に強い方で、ビジネスに対する適性は異なります。
またある程度ビジネスデザインが固まっている企業では、エンジニア領域に強いDX人材を求める傾向が強くなります。
企業ごとに採用背景が異なるため、職種でカテゴライズしただけでは、なかなか相互のマッチングがうまくいかないことも少なくないのが実情です。
スキルセットの先に企業マッチがある
年収800万円以上のハイクラス人材では、スキルセットのマッチングは大前提です。しかし、必要な要素はそれだけではありません。組織とのカルチャーフィットも大切な要素です。
DXを推進するには、さまざまな階層にいる人材、部署を巻き込んでいく力が必要となります。
ハイクラスのDX人材ほど、経営に深く関わるため、カルチャーフィットは重要視される傾向があります。考えがあわない、価値観の違いから衝突しそうという場合は、どれだけスキルセットがマッチしても、採用を見送るケースがあります。
こうしたミスマッチを防ぐためにも、今までに作り上げてきたプロジェクトの詳細や、毎月の利益、企業規模、プロジェクト内での立ち位置などを明確にすることが重要です。また、経歴だけでなく、自身が描くキャリアを明確にしておくことも大切でしょう。
まとめ
DX人材として活躍の場を広げ、キャリアアップしていくためには、横断的なスキル・マインドセット、そしてビジネスを創造・成長させていくことができるビジネスデザインの力が必要です。
決して簡単なことではありませんが、その分やりがいも多い仕事といえます。
ぜひ、これまでの経験を活かし、DX人材としての活躍を目指してみてはいかがでしょうか。
2008年に(株)インテリジェンスに新卒で入社。一貫して人材紹介に従事し、キャリアコンサルタント・リクルーティングアドバイザーとして広告・IT/インターネット業界・コンサルティングファーム業界を中心に大手消費財メーカー・小売流通業界への転職/採用支援に従事。その後、人材開発部門にて新卒・中途の育成・研修業務に従事した後に2018年にエグゼクティブエージェントサービス参画。現在は広告・IT/インターネット業界・コンサルティングファーム業界を中心とした業界軸とPEファンドの経営幹部人材の支援の2軸でエグゼクティブコンサルタントとして支援を行っている。
[編集・構成]doda X編集部
今すぐ転職しなくても、
まずは自分の市場価値を確かめて
みませんか?
変化の激しい時代、キャリアはますます多様化しています。
ハイクラス転職サービス「doda X(旧:iX転職)」に登録して、
ヘッドハンターからスカウトを受け取ってみませんか?