AI人材とは? 年収や求められるスキル、必要とされる背景について解説

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経済産業省は、IT人材の不足が2030年に約79万人に拡大すると予測しました。特にAI等を使いこなし、第四次産業革命に対応した新しいビジネスの担い手となる、高度IT人材の育成が急務であるとしています。
加速するDXにおいて、業務を効率化するAIとそれを扱うAI人材は、中核的存在でしょう。
注目を集めるAI人材には、どのようなスキルセットが必要なのでしょうか。
今回はAI人材の職種・役割・年収について詳しく解説していきます。
キャリアアップを目指している方、AI人材に興味がある方はぜひご一読ください。
- INDEX(読了時間8分)
AIとは
AIとは、人工知能(Artificial Intelligence)の略称です。人間に変わってさまざまな作業を代替し、業務の効率化を支援します。
かつてのAIは、機械的で単純な作業しかできませんでした。しかし現在は、複雑な自然言語処理や画像認識が可能になり、意思決定の分野まで支援・代替しています。
例えば、AIは産業オートメーションや医療研究、自動運転、宇宙開発などの最先端分野で活用され、急速な技術の発展をもたらしました。企業活動においても、業務効率の改善やサービスの品質向上、人材開発など、さまざまな部分で利用されています。
国をあげてDXが推進される中、中核を担うとされるAIは、どの業界でも活用を避けては通れないものと言っても過言ではありません。
AI人材が求められている背景
では、AI人材が求められている背景をもう少し詳しく見ていきましょう。
- 世界でAI研究が激化
アメリカと中国を中心にして、世界ではAIの研究が激しく加速しています。米シンクタンク「MacroPolo」の調査※によると、AIに関わる人材の上位20%を指す「高度AI人材」の多くは、アメリカ国内ないしは外資系企業に就職しており、日本は残念ながらAI後進国となっています。
※「The Global AI Talent Tracker」 MacroPolo
- 世界各国でAI人材が求められる背景
以前から必要性が指摘されていながら先延ばしにされてきた多方面のデジタル化が、新型コロナウイルスによって急激に加速しました。DXを取り込んだ産業構造のデジタル化は日本に限ったことではなく、全世界的に進んでいます。また、産業だけではなく、環境保護にもAIは活用されています。例えばシリコンバレーの主要なテクノロジー企業では、地球環境を守るため、AIベースのソリューションを構築するプロジェクトに資金と人材を投資して、環境問題の解決に取り組んでいます。このような影響を受け、全世界的にAI人材に対する需要が高まる中、もともと日本の生産年齢人口の減少に伴うIT人材の不足が浮き彫りになり、各社が危機感を抱いている状況があります。
AI人材を担う職種・仕事とニーズ
AIの開発と運用に必要なAI人材として挙げられるのは、主に以下の6つの職種です。
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それぞれの役割とニーズについて解説します。
- AIエンジニア
各種のプログラミング言語を用いて、AIを開発します。AI人材の中核ともいえるAI開発エンジニアは、今後も不足すると考えられます。
若手AIエンジニアが一緒に働きたいと考えるような、30~40代の優れたAI開発エンジニアには、多くの企業からオファーが集中する状況です。 - データサイエンティスト
データサイエンティストは、ビッグデータを分析し、分析結果をもとにビジネスに活用するための提案をしたり、意思決定者をサポートしたりするポジションです。
AIの開発と運用に欠かせないこの職種は、昨今のAI人材の需要の中では比重が上がっているといえるでしょう。 - データエンジニア
データエンジニアはデータ基盤の設計・構築・運用をおこない、データサイエンティストを始めとした部署へ適切なデータを提供するエンジニアです。データサイエンティスト同様、AI人材としての需要が高まっている職種の一つといえます。 - AIに関する研究者
AIに関する分野で、今後の技術開発に活かすための研究する、最先端のポジションです。学術機関に限らず、シンクタンクや大手企業内で研究を行うケースもあります。
AI開発エンジニアやデータサイエンティストは、最先端のAI分野で開発を行うと同時に、研究者であることも少なくありません。AIの研究開発に力を入れている企業からの需要は、今後も高い状態が続くでしょう。 - プロジェクトマネージャー
AIの開発や運用に関係するプロジェクトを取りまとめ、牽引するポジションです。時にビジネス的観点からプロジェクトを俯瞰し、AIを企業利益へと繋げていきます。
高いコミュニケーションスキルと、AIに対する知見、問題解決のためのビジネス的視点などを兼ね備えたプロジェクトマネージャーは、企業からのニーズも高い職種です。 - AIプランナー
さまざまな観点から検証し、AIを利用して新しいビジネスやサービスを創出するポジションです。AIを営業利益に繋げる立ち位置と言えます。
AIに関する知識を持ち、事業企画ができる人材は、AIを企業内で円滑に運用する上で重宝されます。
AI人材に求められるスキルやマインド
では、企業が高い年収を提示するAI人材は、どのようなスキル・マインドセットを持っているのでしょうか。
学歴や経歴を備えていることが前提?
AI開発エンジニアは、基本的に大学および大学院で専門的にAIについて学び、研究してきた人材が求められます。
そのため、開発言語のスキルやAIに対する知識など、開発に必要とされる基礎的なスキルセットは元々備えていることが前提となります。
また、どのプログラミング言語で開発経験があるかよりも、学生時代に所属していた研究室や、参画したプロジェクトの内容やその成果、これまでに発表した論文、所持している特許などが評価されます。
一方、それ以外の職種であれば、学生時代のバックグラウンドがなくとも活躍のチャンスはあります。例えば、データサイエンティストは、統計学を社会に出てから学び、そこから実務で活躍されている方もいます。
ほかにもデータエンジニアの場合は、実務経験の中からしか積めない経験があることから、実際の職務の中で、どのような経験と実績を積んできたのかという点が重視されます。
海外の論文を理解し、新しい知識を吸収できる高い英語力
日系・外資系問わず重視されているのが、海外の論文を理解できる高い英語力です。
AIの研究は基本的に、海外の学会や企業でおこなわれており、最新情報は海外の論文から自分でキャッチアップする必要があるからです。
プロジェクトマネージャーやAIプランナーなどの開発以外のAI人材であっても、AI開発エンジニアやクライアントと密なコミュニケーションを取るためには、知識を更新しなければなりません。
読解力に加えて、外資系などで英語が公用語という企業の場合は、会話力も求められます。
実際にAI人材の転職支援を行っているヘッドハンターがスカウトをした人材の多くが、結果的に高い英語力を持っていたというケースも多いようです。
コミュニケーションスキルとビジネスセンス
自社事業、受託開発事業、いずれに従事する場合でも、求められるのがコミュニケーションスキルです。事業会社の場合、現在AIは間接部門で活用されることも多く、設備投資や人件費に対する費用対効果を可視化しにくい部分があります。
そのため、AIの価値や企業利益を他部門にもわかりやすく説明するスキルが必要になります。
一方、受託開発の場合も、クライアントがAIに求めている機能や効果、期待値をヒアリングし、実現可能な内容へ落とし込んで、しっかりとすり合わせが出来るスキルが求められます。
クライアントの期待値を調整して明確なゴール設定ができないと、導入が見送られてしまうケースがあるからです。
他にも、AIを活用したシステムやサービスを企画し、企業利益や事業貢献へ繋げるビジネスセンスも重要なスキルのひとつです。
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AI人材の求人傾向や年収について
次に、現在のAI人材の求人傾向や年収について解説します。
AI人材の需要は今後も続く
優れたAI人材を採用するため、企業側は恒常的に採用を続けています。求められている人材数に対して圧倒的にAI人材が不足しており、また育成に時間がかかるため、人材不足が深刻化しているのです。
経済産業省が2019年に取りまとめた「IT人材需給に関する調査(概要)」によると、AI人材の需要ギャップは2025年には8.8万人、2030年には12.4万人の不足になるという試算となっています。※
※「IT人材需給に関する調査(概要)」経済産業省
開発の実務経験があるAIエンジニアに関して言えば、今後も強い売り手市場が続くと考えてよいでしょう。
国内でも、豊富なビッグデータを収集している大手企業を中心に、AI人材に対するオファーは増加しています。
開発以外のAI人材に関しても、一定数が必要とされている状態が続いています。
例えば近年でいえば、データサイエンティスト、データエンジニアの需要の高まりがあります。
その背景としては、数年続いたAIに対する期待感に先走った求人が落ち着き、実際にAIを活用する現実的な運用面において、ビッグデータを分析し実用化するサイエンティストと運用するエンジニアの重要性が、企業に再認識されたことが理由の一つとしてあげられるでしょう。
そのほかプロジェクトマネージャーも、AIを開発・運用していく上で欠かせないため、AI開発に携わった経験があれば、オファーを受ける機会があります。
優れた人材には高額な年収の提示も
企業は若手AI人材の転職理由になり得る優秀なAI人材の獲得に注力しており、対象となる人材に対しては数千万にも上る高額な年収を提示して獲得競争に乗り出すケースもあります。
若手AI人材の中には、給与や労働環境だけでなく、誰と働けるのかや、研究内容や得られる経験など、技術的・学術的な研鑽の機会を求める人が多いためです。
優秀なAI人材に対するオファー率は非常に高く、1人に対して複数の企業から内定が決まることも珍しくありません。
AI人材の需要は今後も続く可能性大
AIの開発エンジニアとしてハイクラスの求人が求めるスキルは、学歴や経歴を含めて非常に高い水準になります。
しかし、AIは開発だけでは運用できません。現実的にビジネスに活用していくため、近年は開発以外のAI人材に対しても企業ニーズが高まっています。
開発エンジニア以外であっても、ビジネスセンス、AIへの知識、英語力を活かせば、AI開発を支える人材としてキャリアアップを目指すことは不可能ではありません。
AIに関連したキャリアに興味がある方は、まずは自分自身の経歴がAI人材としてどう活かせるのか、棚卸ししてみてはいかがでしょうか。
大手企業で営業を経験後、人材業界へ転身。以後、IT/インターネット業界に特化し、求職者、採用企業、双方の転職/採用支援に従事。マネージャーとしてマネジメント業務にも携わりながら、一コンサルタントとしても活躍。2014年より現職。その後、IT/インターネット業界のコンサルタント歴15年のノウハウを活かし、エンジニアやクリエイティブ職に限らず、経営企画等の管理部門職も含め網羅的な支援を行っている。大手メディアでの顧客満足度に関する表彰の受賞歴有り。
[編集・構成]doda X編集部
この記事のポイント
AIエンジニア/データサイエンティスト/データエンジニア/AIに関する研究者/プロジェクトマネージャー/AIプランナーなど
Q.なぜAI人材は不足している?
A.職種にもよりますが、AIに関する深い専門性が求められるため、学歴や経歴は重視される傾向にあるでしょう。他にも、海外の論文を理解し新しい知識を吸収できる高い英語力や、コミュニケーションスキル・ビジネスセンスなどが求められます。
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