プロジェクトマネージャー(PM)の平均年収は? 役割や役に立つ資格、キャリアパスも解説
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2019年9月、経済産業省は「2025年までにDX化が達成できないと、毎年12兆円もの経済損失が発生する」※1という試算を発表しました。
この試算は「2025年の崖」とも呼ばれ、IT人材※2が圧倒的に不足していることを示しています。
そこで注目されているのがITエンジニアの職種の一つである、プロジェクトマネージャー(PM)です。
プロジェクトマネージャーは、企業側の需要が高いだけでなく、目指す人にとっても多くのメリットがあるポジションです。
大きい職責や権限、高い給与、最新の開発手法が使えるなど、魅力を挙げればきりがありません。
一方で、プロジェクトマネージャーの需要が高い分野が多様化するに従って、キャリアパスも多様化し、求められる資質も大きく変わってきているようです。
以前のように開発現場で経験を積んでいく中で自然とキャリアアップするだけでなく、技術革新の速度に負けず、最新の技術情報をすばやくキャッチアップできる人でないと、プロジェクトマネージャーとしてキャリアパスを拓くのは難しくなったといえるでしょう。
この記事では、企業のDX化の波が到来している今、IT分野におけるプロジェクトマネージャーに求められているのはどのような人材なのか、職責や役割・年収・キャリアプランなどを紹介しながら解説していきます。
※1「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」経済産業省
※2 情報サービス業及びインターネット付随サービス業(IT サービスやソフトウェア等を提供する IT 企業)及び、ユーザー企業(IT を活用する一般企業)の情報システム部門等に属する IT 人材
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プロジェクトマネージャー(PM)の平均年収は?
引用:2019年「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」経済産業省
ITエンジニアの職種の中でも「プロジェクトマネージャー(PM)」は比較的年収が高い職種です。
その理由は、ITアーキテクト(高度SE)やIT技術スペシャリストといった専門性の高い技術職よりも、管理系としてキャリアパスの上位職と考えられているためです。
年収に関して、上記に経済産業省の資料を抜粋しました。図にはIT関連業種における給与水準の実態として「職種別の年収平均とスキル標準レベル」を引用しました。
各棒グラフの左から2番目(全体の中でも2番目に高い年収)がプロジェクトマネージャーで、平均年収は891.5万円(フリーランス・正社員含めた全体平均)となっています。
なお、国税庁発表の「民間給与実態統計調査(2019年分)」によると、給与所得者のうち、正社員の平均年収は503万円です。
それと比較しても、プロジェクトマネージャーの平均年収は高額傾向とわかります。
プロジェクトマネージャーは年収1000万を目指せるのか?
プロジェクトマネージャーの人材不足は加速しており、優秀な人材を企業内部に確保することは、さまざまな業界で経営戦略の面でも重要視されています。
そのため、当職種の需要は今後も右肩上がりが続くでしょう。
先述の通りプロジェクトマネージャーの給与水準は正社員全体の平均年収(503万円)より高く、正社員・フリーランスのどちらでも、この傾向は変わりません。
またフリーランスの場合、案件によっては月収100万円を超えることもあります。
また一方で正社員のプロジェクトマネージャーの平均年収は約664万円※3ともいわれていますが、社会保障や賞与があるのでどちらがよいとも言い切れません。
実務で期待される役割が大きいため、比較的早い段階で昇給が進むのもプロジェクトマネージャーの特徴の一つです。
魅力ある実績があり、IT関連の高い技術力や語学などのスキルを持ち合わせている方であれば、年収1,000万円を目指すこともできます。
実際に、過去にあったプロジェクトマネージャーの高額求人の事例では、年収2,000万円前後だったケースもありました。
※3「平均年収ランキング(職種別の平均年収/生涯賃金)【最新版】」 転職サービスdoda
そもそもプロジェクトマネージャーとはどのような役割なのか?
ここでは具体的なプロジェクトマネージャーの役割や業務内容について紹介した後、必要なスキルについて解説していきます。
そもそもプロジェクトマネージャーは「プロジェクトの責任者」として「進行管理」を担う業務です。主な業務内容は以下のようなものがあります。
- プロジェクトの企画や要件整理・開発計画
- 予算調整や管理、予算確保
- プロジェクトの体制構築
- プロジェクトの進行管理、品質管理
- 顧客をはじめプロジェクト関係者との折衝
このように、単なる管理業務だけでなく、さまざまな角度で責任を負うポジションといえます。
プロジェクトマネージャーに必要とされるスキル
プロジェクトマネージャーの業務には、プロジェクトの進行管理・予算管理・顧客折衝など多岐にわたるため、マネジメント業務のスキルは必須です。
他にもプロジェクトの要所で試される決断力やメンバーをまとめ目標に突き進むリーダーシップは特に重要となります。
また、近年では目まぐるしく変わる技術のトレンドや、次々に登場する最新技術に対するアンテナ感度を上げ、すばやくキャッチアップして現場に落とし込む技術力も求められています。
プロジェクトマネージャーとして特に重要な5つのスキルをご紹介します。
・コミュニケーション(交渉力)
コミュニケーションスキルや交渉力は対人関係能力の中でも特に重要です。
顧客の要望をヒアリングする・要件を整理する、納期や予算の交渉、顧客に対するプレゼンテーション、メンバー(SEやプログラマーなど)に対する説明と指示などが含まれます。
・業界知識
技術スキルはその業務に使用する言語などの理解・把握であり、業務を円滑に進める知識を持ち合わせていることが重要になります。※4
また、業界特有の知識や経験もプロジェクトマネジメントをする上で必要となる場合もあります。
※4 ただし、プログラマーやSEの経験や知識があると指示の質などが大きく変わることもあります。
・技術、スキル
近年技術革新の速度が上がっている中で、クラウドやAIなどトレンドの技術をしっかりとキャッチアップする能力は特に重視されています。
30代から40代前半が人材の中心層にはなりますが、能力重視の傾向があるため、最新技術に強ければ40代後半以上のエンジニアでもプロジェクトマネージャーとして高い需要があります。
・リーダーシップ
多くの人が関わるため、プロジェクトマネージャーはリーダーシップをうまく発揮しなければなりません。
開発各フェーズの進捗管理や決断力が求められるシーンでは、リーダーシップは必須スキルの一つとなるでしょう。
・マネジメントスキル
プロジェクトの全体把握・予算やスケジュールの管理などを行う一方、プロジェクト全体を俯瞰し、目的に向かって推進し、問題発生時には柔軟に対応が求められます。
マネジメントスキルの中でも問題解決能力は特に重要で、トラブル発生時の対応や原因究明などが速やかにできることは、リスク回避につながるでしょう。
プロジェクトマネージャーを目指すには(キャリアプラン)
次に、プロジェクトマネージャーになるための一般的なキャリアパスと未経験からのキャリアパス、関連資格についてご紹介します。
プログラマーやシステムエンジニアからスタートした場合(一般的なキャリアパス)
多くのプロジェクトマネージャーの求人では、ITエンジニアとしての実務経験が求められます。最初はプログラマーやSEとして、現場で開発やクライアントとの折衝などの経験を積みます。
そしてSEとして少しずつ開発の上流に携わる中で大小さまざまなプロジェクトを経験し、プロジェクトリーダーとして仕事に関わっていきます。
このようなプロセスを経て、ほぼ5~10年程度の経験の後、プロジェクトマネージャーになる方が多いようです。
IT業界未経験者の場合(未経験からのキャリアパス)
最近ではIT業界未経験者、異業種からの転職経験者もいらっしゃいますが、同じIT業界かもしくは同じ業界での実務経験を条件にしているケースが多く、成功するケースはまだ少ないようです。
未経験からプロジェクトマネージャーを目指す場合は、関連資格を取得することや、現職でチームリーダーなどを経てマネジメント経験があることをアピールしてみましょう。
顧客との折衝や、提案、改善などで自分がどのように貢献したかを積極的にアピールすることで、企業の目にとまることもあります。
またプロジェクトリーダー、プロダクトマネージャー、グループリーダーなど、未経験でも応募できる職種にまずは就いてみるのも一案でしょう。
このような職種は小規模ながらプロジェクトマネジメント業務も経験できます。
プロジェクトマネージャー以降のキャリアパス
その後キャリアパスとしては、ITコンサルタントが人気のある職種です。
基本的に開発の上流工程へ進むキャリアパスの選択が多く、開発における最上流である情報戦略や、経営戦略を含んだシステム設計へ上り詰めていくパターンが多く見られます。
一方、フルスタックエンジニアや、より高度な開発分野の研究へ進むなど、エンジニアとしてのキャリア構築を進めるパターンもあります。
また、社内SEとして事業会社へ転職するケースや、SaaS系の企業で顧客へのサービス導入をすすめるプロジェクトマネージャーを目指すという転職ケースも昨今増加しています。
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プロジェクトマネージャー関連資格
プロジェクトマネージャーのスキルアップおよびキャリアアップに役立つ関連資格をいくつかご紹介します。
注意しておきたいのは、「取得すればプロジェクトマネージャーになれる」という資格はないという点です。
資格は転職などの際に、「この技術に対して裏付けがある」「しっかりと技術について勉強している」というアピール要素として考えましょう。
・応用情報技術者試験
IPAが実施する、ITエンジニアとしてのレベルアップを図るための資格試験です。
高度IT人材となるために必要な応用的知識・技術をはじめ、技術から管理、経営まで幅広い知識と応用力が身に付きます。
・PMP ®試験
一般社団法人 PMI日本支部による、プロジェクトマネジメントに関する経験や知識に関するプロフェッショナルとしての確認を目的として実施される試験です。
認知度が高く、プロジェクトマネージャーの取得する資格としてはメジャーなものの一つです。
NPO法人である米国プロジェクトマネジメント協会が資格認定を行います。
・AWS認定
Amazonが実施する、AWSを中心としたクラウドの専門知識や技術の認定です。
基礎的なAWSの知識と業界知識を証明するクラウドプロテクショナーのほか、運用経験者に向けたアーキテクト、運用、デベロッパーの分野、さらにはAWSの深い専門知識を証明する認定まで、11の認定があります。
・Google Cloud 認定資格
Googleが実施する、Google Cloudに関する開発知識と技術の認定資格です。
Google Cloudのプロダクトやサービス、ツール、機能などの基礎的な認定資格から始まり、入門者向けのアソシエイト認定資格、実務経験者向けのプロフェッショナル認定資格があります。
・Salesforce 認定資格
セールスフォース・ドットコムが実施する、Salesforceに関する資格一般です。
基本的に基本資格と上位資格で構成されており、基本資格に合格すると上位資格の受験ができます。
資格は多岐にわたるため、必要とする業務に関係する資格だけ集中的に取得するほうが良いでしょう。
また、資格には有効期限があり、更新試験を受ける必要があります。
この他にも、人工知能プロジェクトマネージャー、プロジェクトマネージャー試験、ITストラテジストなどの資格があります。
プロジェクトマネージャーとしてさらなるキャリアアップを
プロジェクトマネージャー(PM)の平均年収や仕事の役割、業務内容や資格について解説しました。
プロジェクトマネージャーをこれから目指される方には、今後のキャリアアップのヒントになったのではないでしょうか。
すでにその職に就いておりこれから年収アップを目指すという方は、外資系企業や大手企業などを選ぶことで、年収だけでなくさらに大きな経験や専門性を深めることができるでしょう。
経験豊富で優秀なプロジェクトマネージャーは、年齢を問わず活躍しています。
しっかりと技術を勉強し、情報のキャッチアップを意識することで、転職市場でも市場価値を高めることができるはずです。
新卒でSIerに入社し、大手金融機関向けにネットワークインフラのソリューション営業に従事。その後、外資系人材サービス会社でITセールス&マーケティング領域の採用支援および転職支援に従事。ベンチャー・スタートアップに特化した採用アウトソーシング会社を経てパーソルキャリアのエグゼクティブ領域に参画。
[編集・構成]doda X編集部
この記事のポイント
- プロジェクトの企画や要件整理・開発計画
- 予算調整や管理、予算確保
- プロジェクトの体制構築
- プロジェクトの進行管理、品質管理
- 顧客をはじめプロジェクト関係者との折衝
A.プロジェクトマネージャーには、コミュニケーション力、業界知識、技術力、リーダーシップ、マネジメントスキルなどが求められます。進行管理・予算管理・顧客折衝など業務内容は多岐にわたるため、マネジメント業務のスキルは必須です。他にもプロジェクトの要所で試される決断力やメンバーをまとめ目標に突き進むリーダーシップは重要となります。
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