「がむしゃらに働く」ことの有効性について—20代、30代のハイパフォーマーに聞いてみた

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“未来を変える”プロジェクトでは、記事の制作段階でさまざまな方と議論し、フィードバックをいただきながら、制作しています。今回は、編集部が30代以上、20代のビジネスパーソンそれぞれに、「がむしゃらに取り組むこと」の捉え方についてヒアリングを行い、深掘りしてみました。
最近、30代以上のマネージャーの方々や経営に携わる方々と会話をしていて、「若い世代に向けて“いまは、仕事にがむしゃらに取り組め”というと、それは違うって受け入れられないことが多くて」と話題に上がる機会が少なくありません。
ビジネス領域で活躍している多くの人に話を聞くと「与えられた仕事、目の前の困難にまずはがむしゃらに取り組むことで、結果的に力がついて周囲の信頼が高まり、それまでに得られなかった視座が得られるようになり、将来に向けた道が開けていく」と話されます。それが、仕事の基本姿勢になっているようです。
一方、そんな彼らからすると、後輩や部下にあたる20代は、「困難に直面すると、がむしゃらに取り組むのではなく、すぐに逃げ出してしまう」と感じてしまうことも少なくないようです。
そこで本記事では、実際に30代以上のビジネスパーソンと20代のビジネスパーソンそれぞれに、「がむしゃらに取り組むこと」の捉え方についてヒアリングを行い、深掘りしてみました。
今回のアウトラインです。
- INDEX読了時間:5分
「がむしゃら」なキャリア開拓のアプローチ

冒頭に出てきた「がむしゃら」に取り組むことで、現在の30代・40代ビジネスパーソンが、どのように仕事上の困難に立ち向かい、それを乗り越え、強くなってきたかを簡単にまとめると、この図のようになります。
仕事上で、何か困難な状況に置かれたり、本人からすると理不尽な状況になったりしたときに、まずはそれができるかできないか、何がそこから得られるのかといったことを考えず、ひたすら集中して取り組む。
それによって、今まではできていなかったことについて、段々と力がついてきて、能力が向上する。そして、取り組んだ結果について、客観的な基準で成功していようが失敗していようが、どちらであっても信頼が増すというのが、このサイクルのポイントとなります。
成功していれば、それに伴って周囲から “次はもっと大きなことを期待しよう” と信頼が向上する。一方で、たとえ失敗したとしても、その取り組みへの熱意やひたむきさが周囲に伝わると、周囲はまた新たな機会を提供したいと思う。
ひたむきさそのものによって、周囲からの信頼は向上し、結果として新たなチャレンジが訪れ、そこからまた「がむしゃら」なサイクルが続くというものです。
実際、現在30代〜40代の面々に、このサイクルを提示すると、以下のようなコメントが得られました。
がむしゃら(の重要性)は、本当に同意です。違う言い方をすれば “待つ” ということかもしれないですね(30代 男性 システム系マネージャー)
自分でチャレンジ設定することも多いのですが、自己設定だと理不尽さや難易度のレベルで本当の意味でのピンチに追い込まれず、成長の伸びしろが程々になってしまうかもしれない、と感じます(30代 男性 金融関係)
私も、がむしゃら派です!結果を出してる人はある面、がむしゃらですよね。我々はピンチをチャンスに変えられます(30代 男性 大手通信関連)
20代にも支持される「がむしゃら」アプローチ
さて、こうした内容を踏まえ、同じことを20代の面々に問いかけてみたところ、30代以降と同様に、基本的には「がむしゃら」に取り組むという仕事のアプローチに賛同する意見が多く寄せられました。
あまりキャリアを考えたことはありませんが、がむしゃらにやるというのは当たり前で、頭は冷静、心は熱くしております(20代 男性)
私もほぼこのがむしゃらのサイクルかなと思っています。まさにいまピンチなのでとにかく立ち向かおうとしている真っ最中でした。大きなチャンスがくるという受け身はありつつ、自分からチャンス、困難を取りに行き、がむしゃらに打ち込むことで自分の器も大きくなっていった気がします(20代 男性 営業職)
がむしゃらに取り組む→ステップアップするというのは、とても共感できる内容です(20代 男性 金融関連)
この他、20代の面々からの回答のほとんどは、「自分自身は、このがむしゃらプロセスに共感するし、やっている」というものでした。
それではなぜ、30代以上のビジネスパーソンから見ると「20代は“がむしゃら”の大切さが通用しない」というように思われてしまうのでしょうか?
選択肢の多さと同世代の可視化に起因する20代の悩み
改めて、こうした20代、および30〜40代のビジネスパーソンからのコメントを確認していくと、ある30代マネージャーからのこんな指摘が目につきました。
正直、いわゆるゆとり世代の面々と僕らにあまり差はないと思います。ただ、彼らの方が、自由にチャレンジして、まわりから認められたい、という傾向が強いように思います。 年功序列ではない世の中で、同世代が偉くなり、そこへの憧れがあるのかなと感じますね。割と周囲の同世代で出来る人の状況がSNSなどで解ってしまうので、頑張ったり、落ち込んだりするのが二極化するのかもしれません。
この、同世代のことがよく分かってしまう、他の選択肢があることを強く感じてしまう、という点は、20代の面々からも指摘が多くありました。
いまの20代は、中高生時代からネットで情報収集することに慣れています。ゆえに、多くの選択があるということを知識として保有しています(20代 男性 ベンチャー)

つまり、20代の多くのひとにとっては、上記のようにさまざまな可能性が可視化され、見え隠れしていることで、目を奪われてしまったりと、「どこを深掘りするのか?」を探しだすことに、最大の困難があるのかもしれません。
1つの領域に閉じこもってしまうのではと悩む30代以降
今回の一連のヒアリングで興味深いのは、先ほどの20代が持つ「どこを深掘りすればいいのか迷う」というテーマと真逆の悩みに、30〜40代が直面していた点です。
その、20代と真逆の悩みとは、「自分の視野の幅を拡げなければならない」ということです。
僕自身の人生としては、同室以外のことに幅を広げるのは会社のアサインではなかなかできなかった、と感じます。本を読んで刺激を受けてチャレンジしたり、周囲に宣言したりしていました(30代 男性 マーケティング)
30代前半までは、社内だけでがむしゃらに頑張っていましたが、社会人大学院に通い、社外を知ってから頑張り方に変化が出ました(40代 男性 大手機械メーカー)
このように、社内での課題だけに取り組むことでは限界があり、他の目線を取り入れることで、そこにさらなる意味を見出すことができるという指摘が数多く寄せられました。
言い換えると、以前は目の前の仕事に向かってがむしゃらに働くこと、一辺倒だったのが、徐々に社外からの観点などを取り入れて、自分が取り組んでいることの解釈を変化させなければ、という悩みの表れと言えるでしょう。

がむしゃらに働く20代、幅を広げる30代以降から学べること
こうしてそれぞれの世代における、キャリアや仕事での「悩み」を見ていくと、20代でがむしゃらに働く面々、そして30代で幅を広げようと取り組む面々からは、多くのヒントを得ることができます。
今回のヒアリングの中でも、20代、30代以降それぞれの面々から、次のような提示がありました。
年代 | 所属 | コメント |
20代 | 金融関連 | (何かにがむしゃらに取り組むとき)そういうときでも、自分がパフォームしないと思ったら、きっぱり諦めて環境を変えるべきだと思っています。 |
ヘルスケアベンチャーCTO | 僕的にはもちろんがむしゃらに死ぬほどやりますが、その前に1回、いろんなひとに話を聞くようにしています。成功の確率が、格段に上がるので。 | |
30代以降 | クリエイター | 僕は案件に取り組むときに、必ず何かいまの自分ではできないミッションを設けています。できることを増やしたいなという渇望と焦燥感と、できると分かっていることをやるのはつまらないと思うとそうなってしまいますね。 |
経営コンサルタント | 個人的には、いまの仕事に飽きてきたら、自分をストレッチさせるために、あえて困難な仕事に挑戦するようにしています。なので、自分でチャレンジを探すパターンもあるかなと思います。 |
この表にある通り、20代で実績を挙げている面々は、自分ががむしゃらに取り組むテーマについて、その選定の段階で「人に話を聞く」など準備をし、なおかつ一定時間取り組み続けて、それでもダメならばきっぱりと次に移るといった工夫をすることで、結果的に目の前のことにじっくり、そしてがむしゃらに取り組めるように工夫をしています。
同様に、30代以降についても、自分が一つの分野でがむしゃらに打ち込み、いつの間にか視界が狭くなってしまうのではないか、という恐怖感に対して、その領域の中にはないことにあえて挑戦していこうという行動をとっています。
いかがでしたでしょうか。あなたの現在の課題意識に、「がむしゃらに取り組めるか?」「どうやったら幅を広げられるか?」は入っていませんか?
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[編集・構成]doda X編集部
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