見落としがちな転職のコツ
2020年3月24日
さまざまなバックグラウンドを持つメンバーのパフォーマンスをいかに上げるか?
doda Xでは、転職サービスのほかに、対話によりキャリアを整理できるサービス「doda X キャリアコーチング」を提供しています。今回は、本サービスの提携先である、業界大手で、これまで延べ5,000人の支援実績を持つエール株式会社 代表取締役 櫻井
将さんに、ダイバーシティが進む職場で、パフォーマンスを上げるために求められるコミュニケーションについて寄稿いただきました。
※ダイバーシティ:人種や国籍、性別、宗教などの違いにとらわれずに多様な人材を生かし、組織の能力を最大限に発揮させようという考え方
さまざまなメンバーとチームで仕事をする時代
こんにちは。櫻井です。今、日本の企業でもダイバーシティが進んでいます。これは、性別や年代といった属性だけの話ではありません。 転職も一般的になりつつあり、異なる企業文化の中で経験を積んできた中途入社者が増えているほか、育児・介護のために時短勤務をしている人、自分より年上の部下、副業で仕事をしている人など、さまざまなバックグラウンドを持つ人が、同じ職場で仕事をするようになったということだと思っています。
このようなさまざまなメンバーで構成されたチームで成果を出すときにも、対話的なコミュニケーションが役に立ちます。
パフォーマンスを「上げる」動機と、「下げる」動機
『マッキンゼー流 最高の社風のつくり方』(日経BP社刊)では、人が働く動機を6つ挙げています。
「楽しみ」=仕事そのものが楽しいから働く
「意義」=仕事による社会的貢献に価値を感じるから働く
「成長可能性」=仕事によってみずからのポテンシャルを高めるために働く
「心理的圧力」=自分自身や他者の期待を裏切らないために働く
「経済的圧力」=報酬を得る、または処罰を逃れるために働く
「惰性」=働いている理由は特に分からないが働く
このうち、前者3つは「直接的な動機」でパフォーマンスを向上させ、後の3つは「間接的な動機」でパフォーマンスを低下させがちという研究成果が紹介されています。
つまり、「必ず明日までにやっておいて」という「心理的圧力」をかけたり、経済的なインセンティブを設けたりするよりも、自分は何を楽しいと思うか、何に意義を感じるか、何をすれば成長を実感するかを動機にして働く方が、メンバーのパフォーマンスは上がりやすい、ということです。
そして「楽しみ」「意義」「成長可能性」はいずれも価値観や信念・セルフイメージのような内面と紐付いており、この動機によって働くためには、まず本人がそれらを自覚する必要があります。以前紹介した「セルフ・アウェアネス」の1つです。
そのため、チームメンバーが自分自身の価値観などに気づくように促すことが、マネジメントとしてチーム全体のパフォーマンスを上げる、1つの方法になるわけです。
価値観が異なる人とも上手く「対話」する方法
メンバーの内省を促すには、対話的なコミュニケーションが必要です。 ですが、メンバーの価値観が自分の価値観と大きく異なる時にも、相手の話を共感的に聞き、対話的にコミュニケーションができるものなのでしょうか?
私の答えは、「できる」です。
対話的コミュニケーションをする上で「共感」がポイントになりますが、実は「共感」には2種類あります。
1つ目は、自分目線での共感。相手の話に対して自分も同じように思う。「あー、そうそう、私もそう思う!」という共感です。
2つ目は、相手目線での共感。相手の考えや気持ちを一緒に(共に)感じようとすることです。「そうなんですね、あたなはそう思っているんですね。」「あなたはそんな風に感じるんですね。」という共感です。
相手と価値観が異なる場合、1つ目の共感をしようとすると共感できません。ただ、2つ目の共感であれば、相手が誰であっても共感することができます。仮に自分が大好きなアーティストのことを、「あのアーティストは最悪」と言っていたとしても、「なるほど、あなたはそう思うんですね」と共感することができるのです。対話をする上では、この人は話をきちんと聴いてくれる人だと思ってもらう必要がありますが、その時にこの2つ目の共感は非常に役に立ちます。
プロフェッショナルであればあるほど、その事柄に精通し、細部の違いに気づくため、自分目線で相手を評価・判断してしまいがちです。 でも、対話的なコミュニケーションをしたい場合、まず最初は「相手目線で」共感する。そしてその後に、自分目線でのアドバイスをする「私としてはこう思うよ」と伝えられると、相手もそのアドバイスをすっと受け入れてくれるはずです。
doda Xでは、転職サービスのほか、対話によりキャリアを整理できるサービス「doda X キャリアコーチング」を提供しています。 「doda X キャリアコーチング」を受けることで、あなた自身の内面が掘り下げられるだけでなく、プロの対話的コミュニケーションを体験することができます。