見落としがちな転職のコツ
2019年12月10日
1on1とは?成果を圧倒的に上げる部下とのコミュニケーション術を解説(前編)
doda Xでは、転職サービスに続き、対話によりキャリアを整理できるサービス「doda X キャリアコーチング」の提供を開始しました。今回は、本サービスの提携先である、業界大手で、これまで延べ5,000人の支援実績を持つエール株式会社 代表取締役 櫻井 将さんにコミュニケーションについて寄稿いただきます。
チームの成果を圧倒的に上げる上司のコミュニケーションのコツとは?
こんにちは。櫻井と申します。いま、ベンチャーから大企業、官公庁まで、多くの組織で「メンバーとの1on1ミーティング(1対1でのミーティング)」が導入されています。このメールをご覧の方の中にも、定期的に1on1ミーティングをされている方は多くいらっしゃるでしょう。しかし、1on1ミーティングの目的や通常の面談との違いをどのくらいの方が正しく理解されているでしょうか。そして、その目的を果たせているでしょうか?
これから、「チームの成果を上げるために、メンバーとどのようなコミュニケーションをとれば良いのか」を前・後編の2回に分けて解説します。前編ではまず、メンバーとのコミュニケーションが、チームにどのように作用し、成果向上につながるのか、その仕組みを理解していきましょう。
「メンバーとの1対1のコミュニケーション」が注目される背景
私たちがひと口に「コミュニケーション」と呼んでいるものは、要素分解していくと大きく4つに分類できます。「面談」「相談」「雑談」「対話」の4つです。
これまでは、上司とメンバーの1対1のコミュニケーションというと、メンバーよりも上司のほうが正しいことを前提に、上司がメンバーを評価し、上司から「正答」をメンバーに伝える「面談」が重視されてきました。
しかし、終身雇用が崩壊して転職が当たり前となりつつある今の時代は、上司からの一方的な厳しい評価や合意していないジョブローテーションなどにより、あっさり会社を辞めてしまう人も少なくありません。そこで「面談」以外の、「相談」「雑談」「対話」的コミュニケーションが注目されるようになったのです。
押してダメなら引いてみる。1対1のコミュニケーションはメンバーの内面に作用する
「面談」は、どちらかというとメンバーの「行動」や「成長」を促します。ただ、とても極端な言い方をすると、これは頭ごなしに「行動しろ」「成長しろ」と言っているようなもの。人間は、人から言われてすぐにその通りに動けるほど単純にはできていません。
そこで、メンバーの内面に働きかけ、メンバー自身が気づきを得ることによって「行動」や「成長」を促す必要があります。それが、相手に共感・傾聴・承認し、良質な質問を投げかけながらメンバー自身を掘り下げる「相談」「雑談」「対話」によるコミュニケーションです。
上司から頭ごなしに言われて思わず身構えてしまっていたメンバーも、上司から傾聴・承認されて「安心」が与えられれば、自ら「内省」し、気づきを得て、そこから「行動」「成長」の道筋を自分自身の力で見いだすことができる。これが、メンバーとの1対1のコミュニケーションがチームの成果向上に作用する要因です。
これまで、上司とメンバーの「相談」「雑談」「対話」は、居酒屋、喫煙所、客先への移動中、深夜のオフィスなど「会社にとっての非日常」の場面で繰り広げられてきました。おそらく40代以上の方は、そういう場で上司と腹を割って話した覚えがあるのではないでしょうか。ただ最近は、さまざまな理由でそうした機会はすっかり減ってしまいました。
そして、それと同じようなコミュニケーションは、なぜか会社の会議室でやろうとすると上手くいかないものです。それは、上司の立場でも、メンバーの立場でも、会議室での「良質な体験」がないから。では、どうすれば「相談」「雑談」「対話」的コミュニケーションのスキルを高められるでしょうか。
次回は、効果的なメンバーとの1対1のコミュニケーションを実践するために必要なポイントについて解説します。