対話と起業家から得た生の情報で、
スタートアップ転職への不安を取り除きたい

フォースタートアップス株式会社・
山本陽平さん

HeadHunter of the Year 2024

ハイクラス 支援人数部門 1位
IT・インターネット(広告・メディア)部門 MVP

山本 陽平

フォースタートアップス株式会社
タレントエージェンシー本部 
シニアヒューマンキャピタリスト

国内のスタートアップ企業を対象とした成長支援を行う、フォースタートアップス株式会社。
起業家とのネットワークを活用して築いたデータベースをもとに、スタートアップ企業が成長するエコシステム構築を目指しています。

同社のヒューマンキャピタリストとして、転職希望者の転職支援にあたっているのが山本陽平さん。doda Xによる「HeadHunter of the Year 2024」にて、「ハイクラス 支援人数部門」で1位、「IT・インターネット(広告・メディア)部門」でMVPを受賞した山本さんに、スタートアップに特化した転職支援の取り組みについて伺いました。

起業家の生の声を受けた、スタートアップ企業への転職支援

—— 山本さんが、転職支援のお仕事を始められたきっかけを教えてください。

一番の理由は、フォースタートアップスのミッション、ビジョン、バリューに共感したことでした。
弊社は日本の再成長を目指し、国内の成長産業セクターに特化して、その進化を全力でサポートしています。成長産業を伸ばしていくためには、やはり人的リソースの支援が重要。その中核を担うフォースタートアップスの事業は、とても意義があるものだと思っています。

—— フォースタートアップスでは、転職支援に限らず、スタートアップ企業を対象にした「成長産業の支援」を手掛けられていると伺いました。

人材支援に加え、ご支援している一部の企業へは資金支援も行っており、人材と資金の支援を同時に行う「ハイブリッドキャピタル」としてスタートアップ企業の支援をしています。

そのほかには、オープンイノベーションを推進する事業として、成長産業領域に特化した情報プラットフォーム「STARTUPDB」の運営や、地方自治体におけるアクセラレーションプログラムの推進などを行うパブリックアフェアーズ、成長産業に特化したカンファレンス事業など、総合的なスタートアップ企業支援を行っています。

フォースタートアップスでは、すべてのスタートアップ企業を支援の対象としているわけではありません。
現在日本にある約2万4,000社(※)のうち、特に私たちが注力して人材支援を行っているのは「日本の進化の中心を行く」ような企業になります。

※フォースタートアップスによる情報プラットフォーム「STARTUP DB(スタートアップデータベース)」に登録されている企業数を参照

—— ほかの人材紹介会社と比較したときの、御社の強みを教えてください。

大きく3つあります。1つ目は、成長性の高いスタートアップに特化している点。2つ目は、成長産業領域に特化した情報プラットフォーム「STARTUP DB」を保有している点です。データベースには、ファイナンス情報や事業内容、詳細な特許情報などに至るまで、幅広い最新情報が記録されています。

3つ目が、フォースタートアップスの社員は、スタートアップの経営層の生の声を聞いている点です。

フォースタートアップスでは、弊社と関わりのある経営者・起業家の方々から、事業や経営についてのお話を伺う「勉強会」を定期的に開催しています。お話を伺うのは年間で200社ほど。そこで起業家として目指している世界や、現在の事業課題などを包み隠すことなく話していただいています。

転職支援を通した当社の最終的な目標は、「スタートアップ企業の成長支援」そして「日本の再成長」。企業を知ってスタートアップ経営の動向や変化を捉えながら、インターネットなどでは得られない情報に触れた上で会社をご紹介できるようになるのが、転職希望者の方に還元できる大きなメリットだと思います。

—— 勉強会で、印象に残っていることはありますか?

これまでたくさんの勉強会を開催し、起業家の方にお話しを伺ってきましたが、どの方にも共通しているのが「“伝えること”に、とにかく本気である」ということ、でしょうか。

起業家の方にとっては自分の事業をアピールするための、限られたチャンスのうちのひとつ。

ですので、すべての方が「どうすれば事業の魅力を伝えられるのか」「どうすれば伝えた内容を転職希望者にアプローチできるのか」に心血を注いで、この場に立たれています。彼らの思いと熱量にダイレクトに触れたことが、私が「起業家のリアル」を身にしみて理解する、大きなきっかけになりました。

スタートアップ転職は、転職希望者の不安解消が第一歩

—— 山本さんが、転職支援の際に大切にしていることを教えてください。

スタートアップ企業を次の転職先として選択肢に拳げてもらうため、転職希望者の方が知らないことや不安なことをしっかり受け取り、説明して、正しい情報を伝えることは特に意識しています。

実は日本の就業者のうち、スタートアップで働いている人は約1.3%(※)。ほとんどの方は、スタートアップ企業について知らないことばかりなんです。経営戦略や働き方などイメージできないことばかりですし、組織として未熟な企業へ転職するなんて、不安に感じるのが当然ですよね。

ですので、私たちの仕事では「こういう求人があります」という情報を提供する前に、こういった「スタートアップに対する不安」を解消しなければいけないんです。

そのためにお伝えするのが、「スタートアップにおける今の市場の状態」「今後伸びていく産業」といった、業界の背景にある情報です。さらに企業のありたい姿と、現状との差分をお話しして、求人ポジションではどういうミッションが求められるのかを解像度高く伝えることで、転職希望者の方に納得していただくことが大事だと思っています。

※総務省による労働力調査(2023)と、フォースタートアップスの調査による

—— 転職希望者に紹介する企業の情報は、どのように収集しているのでしょうか?

当社とお取引のある企業に対して、それぞれに社内の担当者がついています。

担当者はその事業や経営者の人となりを把握するだけでなく、一部の企業では定期的に会社の経営会議にも参加しています。そうすることで、その時々の事業課題や中長期的な目標といった、外側から見ただけでは分からない企業の実態を知ることができます。

担当者が得た情報は、ほかのヒューマンキャピタリストにも共有されます。共有された情報にキャッチアップし続けて、「担当者と同じレベルで、すべての会社を把握する」ように取り組んでいます。

—— 普段の転職支援は、どういった形で行われているのでしょうか。

私の場合、ご自身が将来価値を発揮したいことや、ご自身のWill(やりたいことや、実現したいこと)のヒアリングは特に意識して行うようにしています。

転職希望者の方との初回面談では、企業の求人をあえて提案しないようにしているんです。その方が今までどういった意思決定をされてきたのか、どのようなご経験をされてきたのか。そして、今後どういったキャリアを描こうとされているのか……。初回の面談は、じっくりディスカッションしながら、それらを言語化する時間にしています。

その中でも私が特に意識しているのは、「どのような人と働きたいのか」「どういう経営者の企業で働きたいのか」といった、パーソナリティに対するこだわりです。

私たちは、勉強会を通して年間200名以上の起業家の方とお会いしています。それぞれのパーソナリティもよく理解しているので、「人」という視点で企業をご紹介できるんですよ。「この方は、この起業家と相性が良いかもしれない」「お2人が出会えば、良い化学反応が起きそう」と考えてご紹介することも少なくないですね。

—— これまでに行ったご支援の中で、印象に残っているものはありますか?

初めてのスタートアップ転職だったのですが、年収やポジションではなく、起業家からの期待や一緒に働く人に魅力を感じて、入社を決められた方がいらっしゃいます。

その方は、前職は総合コンサルティングファームにお勤めで、転職する意欲はそれほど高いわけではありませんでした。しかし転職先の企業は、その方の能力やスキルを本当に必要とされている……。

そこで私は、「あなたがこの企業に入られて、経営課題を解決されれば、事業をこれだけ伸ばせます」ということを、半年ほど時間をかけて伝えていきました。

転職の最後の決め手になったのは、経営陣の事業にかける熱量と、その方を必要としている思いが、ご本人に響いたことだったそうです。大手企業をはじめとした他社からの引き合いも多かったにもかかわらず、「ここでチャレンジします」と決められました。

市場や意識の変化が、スタートアップの追い風に

—— スタートアップ転職のトレンドや転職希望者のマインドにおいて、今と昔で、どのような変化があると感じていますか。

政府による支援が増えた結果、スタートアップの採用活動が活発になっている印象です。資金が集まった結果、スタートアップでも大手企業と比べても遜色のない年収が提示されるようになってきたのは、転職を後押しする変化ですよね。

10年前であれば、大手企業に勤めていた方がスタートアップに転職すると、年収が下がるのが当たり前でした。しかし今では、スタートアップの平均年収は大手企業の平均を上回る水準になりつつあり、大手企業がスタートアップの採用競合になっている、という状態が生まれています。

また、個人の意識にも変化が起きています。副業・兼業が活発になり、スキルを磨いて、自身の市場価値を高める目的でスタートアップを選ぶ人が増えている印象です。

—— スタートアップにとっては「追い風」な市場ができつつあるんですね。

とはいえ、実際のところはほとんどの方が「スタートアップについて、ほぼ知らない」状態から転職活動を始めます。

ですので、先ほどお話ししたような不安を取り除くことはもちろん、事業の価値や企業の魅力といった「なぜあなたは、スタートアップに行くべきなのか」を転職希望者の方に理解してもらうのが、私たちの仕事の第一歩なんです。

企業のストーリーを伝え、転職希望者のキャリアに貢献したい

—— 転職希望者の方へのどういった働きかけが、不安の解消につながるのでしょうか。

事業の価値や起業家のメッセージといった「熱い気持ち」を真正面からお伝えすることもありますが、どちらかというと「業界や背景を、しっかり知る」ことで安心される方が多い印象です。

例えばある企業の求人情報に対して、「このポジションを募集するに至った背景は」「今のマーケットと、組織の戦略は」、そして「今後、事業をどう展開しようとしているのか」……それらをご説明した上で、「だからこそ、このポジションには、このスキルと経験を持ったあなたが必要なのです」とお伝えする。

転職希望者の方は、知らない業界を理解するための情報を求めているんです。そういったご要望に対して、企業から直接得た、インターネットや競合他社でも入手できない秘匿性の高い情報を提供すること。それができるのも、当社の強みだと考えています。

—— スカウトサービスを利用されている個人の転職者に向けて、おすすめの利用法や転職活動を成功させるコツがありましたら教えてください。

さまざまなエージェントと話をして、信頼のおけるエージェントを見つけることだと思います。

「信頼できるか」の基準は、「自分のことを、どれだけ真剣に考えてくれているか」。それを見極めるためには、「紹介する企業やポジションの背景と理由をしっかり伝えてもらえるか」「そのほかの求人のラインナップが、将来の『ありたい自分』とリンクしたものになっているか」といった視点を持ってみるのはいかがでしょうか。

ほかにもヒアリングの質や対応のスピードなども含めて、注目すべき点はたくさんあると思います。また、エージェント複数人と並行してやりとりをしてみるのもおすすめです。私のように、紹介領域を絞っているエージェントも中にはありますから。

—— ありがとうございます。最後に、山本さんの今後の展望を教えてください。

私が実現したいのは「挑戦と感謝にあふれる世の中にすること」です。

挑戦には失敗がつきもの。だから臆せずチャレンジしてほしいですし、失敗しても、そこから得られるものは必ずあるはずです。縁があってスタートアップに転職して、「あの時チャレンジしてよかった」と思ってもらえるように、スタートアップのマーケットをもっと大きくして、日本の成長を支える企業を増やしたいと考えています。

転職支援にあたって、私が影響を与えられる範囲はまだごくわずかです。ですので、今後はよりたくさんの方とお会いして、ご支援ができる範囲を広げていきたい。そして広げてもなお同じパフォーマンスを出せるように、常に努力していくつもりです。

文=西谷 忠和/写真=舛元 清香/編集=伊藤 駿(ノオト)

※各記事の内容や経歴は、インタビュー当時のものです。

年収 800万〜2000万
希少な非公開求人多数

  • 大手/優良企業のスカウトが届く 大手/優良企業のスカウトが届く
  • 気になる求人があれば自己応募も可能 気になる求人があれば自己応募も可能
  • 高い専門性を持つヘッドハンターがサポート 高い専門性を持つヘッドハンターがサポート

doda X が転職成功に向けて並走します。

無料で会員登録する